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おっちょこちょいのかよちゃん

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193 映画の怪獣

 
前書き
《前回》
 紂王の屋敷に匿って貰っている一人の「少年」は未だに誰を嫁にするか決められないでいた。その彼の元に赤軍の構成員・和光晴生が訪れる。少年の記憶を介して嫁に相応しい少女を探そうとするのだが、彼の夏休みの記憶の中にある少女が蘇る。一方、かよ子達は謎の怪獣と遭遇していた!! 

 
 かよ子達は怪獣のような物体と遭遇した。
「こ、こんなのもこの世界にいたの!?」
「いや、こんな怪物は何処の世界にもおらぬ!もしかしたら誰かが生み出した術かもしれぬ!」
「あれは・・・、映画のポスターで見た事がある!」
 椎名は思い出すように言った。
「ゴジラだ!」
「ゴジラ!?あの映画に出てくるあのゴジラですかブー!?」
「ああ、間違いない」
「でも、どうしてゴジラがこの世界にいるの!?実在しないのに」
「もう一度言うが、あれは妖だ!誰かが出したものなのだ!」
 石松はもう一度かよ子に説明した。そんな話をしているうちにゴジラはこちらに放射熱線を繰り出してきた。地面が粉砕されていく。かよ子達は羽根の結界が働いた為に無傷だったが、羽根は大きく揺れた。
「おおお〜!さすが映画の怪獣じゃ!」
 友蔵は場違いの感心をしていた。
「兎に角なんとかしねえと!」
「またナポレオンの時のように別れて戦わねばならぬ!鳥橋のり子!お主の人形で瞬間移動させてくれ!」
 次郎長はのり子に頼んだ。
「うん!」
 のり子の人形で各々が分散する。かよ子と次郎長、友蔵は羽根に残ったが、他の皆は別の地に移動した。ゴジラがかよ子を狙って近づきながら放射熱線を浴びせようとする。羽根の結界で防がれたが、撃退しなければ本当の安全ではない。
「あの光線を使えるようにすれば・・・!!」
 かよ子はゴジラに杖を向ける。炎を操る能力を得た。かよ子は炎でゴジラを迎撃しようとした。次郎長も刀を使用してかよ子の杖の力に加勢させた。ゴジラの熱戦とかよ子の火炎放射がぶつかり合う。互角なのか、力に優劣をつけ難い状況となっている。
(これでは持たない・・・!!)
 その時、何かがゴジラの行動を封じた。ゴジラが「ぐおお、ぐおお!!」と呻き声を挙げている。
「あ、あれは一体・・・!?」
 ゴジラの背中に何かが付いている。
「あれは、大五郎の札!あやつ、ここで法力を発動させたか!」
「ああ、あの体が大きい人だね?」
「左様」
 そして、蔓がゴジラに巻き付かれる。
「あれは大野君の草の石の力!」
 各々が攻撃に動いていた。

 大野は石松、小政と共にいた。
「その調子だ、大野けんいち」
 だが、ゴジラが大野達の方向に目を向ける。ゴジラの腕力は余りにも凄く、大野の蔓をいとも容易くちぎってしまった。
「やべ、切られた!」
「よっし、俺も行くぜい!」
 小政が跳んだ。ゴジラが呻き声をまた挙げる。その時には先程跳んだ小政がすぐに戻って来ていた。
「あれ、小政!?もう戻ったのか!?」
「今、斬りつけたでい!」
「小政の居合は雷のように痺れて素早いのだ。では、某も!」
 石松は刀を地面に突き刺した。ゴジラの動きが鈍くなっていく。
「皆の衆!やるのだ!」

 石松の声はかよ子と次郎長にも聞こえていた。
「山田かよ子、今こそ勝機だ!」
「うん!」
 かよ子は火炎放射を繰り出す。ゴジラに炎が燃え移る。
「ぐおお!」
「やった・・・!?」
 しかし、ゴジラから更に強力な火炎放射が繰り出される。
「ええ!?だめ!?」
「逆効果じゃあ~」
 友蔵が真っ青になる。
「奴にとって炎は栄養のようなものなのかもしれぬ!別の能力(ちから)を使うのだ!」
「う、うん・・・!!」
 かよ子はリュックの中から色々なものを取り出したが、どれがいいか分からない。
「どうしよう、どうしよう・・・!?」
「おっちょこちょいをするでない!某の刀を使え!」
「う、うん・・・!!」
 かよ子は次郎長の刀に杖を向け、杖を剣に変化させた。
「羽根を奴の近くに動かすのだ」
「うん!」
 だが、ゴジラはすぐにかよ子の羽根を掴みとろうとした。だが、羽根の結界に何とか守られた・・・、と思いきや、すぐに結界が破られそうになってしまう。
「え・・・!?結界が・・・!?」
「山田かよ子、己の武装の能力(ちから)を羽根に流し込め!」
「うん!」
 かよ子は羽根に手をかざす。ゴジラに握りつぶされそうになった結界がゴジラを弾く。ゴジラが尻餅を突いた。
「はあ、はあ、何とかなった・・・」
「だが、これだけではまだまだだ。すぐに襲い掛かるぞ!」

 のり子はまる子、ブー太郎に関東の綱五郎と共にいた。
「のり子とか言ったなブー!お前の人形であいつを止められないかブー!?」
「うん、やってみる!キャロライン!」
 キャロラインが念力を発動する。ゴジラが金縛りに遭う。ゴジラがなぜ己の身体が動かないのか謎に思っていた。
「よし、俺の拳銃で一発ぶちかます!」
 綱五郎が三発、発砲する。一発目は水が溢れてゴジラを溺れさせる。二発目は雷が現れてゴジラを感電させた。そして三発目はゴジラを冷凍させた。ゴジラが動かなくなる。
「こちら富田太郎だブー!ゴジラを綱五郎が凍らせたブー!やるなら今だブー!」
 ブー太郎は通信機で連絡した。
「私の念力もまだ働いてるわ!」
 のり子の人形も報告した。

 かよ子の方に連絡が来る。
「山田かよ子、今なら行けるぞ!その剣に変化したの能力(ちから)であの怪物を倒すのだ!」
「でも、どうすればいいの?」
「拙者の刀の能力(ちから)であの怪物の体内へ瞬間移動させる!」
 次郎長が刀を羽根に刺す。急に瞬間移動され、赤くて暗い内部にあった。
「ここが、ゴジラの身体の中・・・?」
「奴はまだ凍っている状態の筈だ!今しかない!」
「うん!」
 かよ子は羽根で壁まで移動してそこに剣に変化した刀を突き刺す。
「拙者も手伝ってやる!」
 次郎長もまた刀で斬りつける。二人の刃がゴジラの体内を傷つける。そして傷口が更に大きく開いて行く。
「ぐおおお・・・!!」
 かよ子達からは耳をつんざくような悲鳴を挙げた。ゴジラの悲鳴が響いていたのだった。そして体内に大きな振動が起きる。
「山田かよ子、連絡をするのだ!」
「うん!」
 かよ子は通信機を取り出して報告する。
「こちら山田かよ子!今、ゴジラの体の中に入って斬ったよ!今何が起きてるの?」
『こちらブー太郎だブー!大変だブー!綱五郎の凍り攻撃が解けてゴジラがまた熱線を発したブー!』
「ええ!?」
「山田かよ子、拙者にも伝えさせてくれ!」
「うん!」
 次郎長はかよ子の通信機に口を近づける。
「いいか、皆の者!奴に炎の攻撃はあまり効かぬ!別の攻撃を仕掛けるのだ!拙者と山田かよ子は怪物の体内から攻撃する!」
『了解!』

 椎名と関根は神戸(かんべ)長吉(ちょうきち)と共にいた。
「あのかよちゃんと次郎長二人で大丈夫なのかね?」
 関根は心配になった。
「大丈夫だ!我々も奇襲を仕掛ければよい!」
「できるのか?」
「ああ、我が刀で遠隔で攻撃できるぞ!」
 長吉は刀を向けた。
「今だ、椎名歌巌、関根金雄!ここからでもお前達の攻撃は十分通る!」
「よし、分かった!」
 椎名は玉を取り、水撃を試みる。だが、離れた所から水が溢れ、ゴジラを押し流す。
「凄いぞ、椎名!ボクちゃんも!」
 関根が刀を振るう。ゴジラの首の大半が斬られる。
「ぐおおお、ぐおおお・・・」
 しかし、ゴジラはすぐさま傷口を塞ぎ、容易く再生してしまう。
「何たる回復力だ!倒しきれぬ」
「確か映画で見た事があるが、ゴジラは回復力も物凄いらしい!」
「なら、闇雲でも攻撃を続けるしかない!」
「おう!」
 椎名も関根も攻撃を続行する。

 のり子の人形も念力でもう一度ゴジラを封じる。
「うご、うご!」
 ゴジラがまた動かなくなる。
「こうなったら!」
 のり子とキャロラインが同化する。その間に内側からかよ子と次郎長が斬撃を、外側から椎名の水撃、関根の斬撃が続く。そして別の場所から草の手裏剣や茨の槍がゴジラを襲う。そして雷撃も来た。おそらく大野が持っている草の石と雷の石の力によるものだとまる子とブー太郎は勘付いた。
「オイラも行くブー!」
 ブー太郎も水の石の力でゴジラを横に倒す。

 かよ子と次郎長は内部から更に斬りつけ続けている。
「ええい!」
「はっ!」
「かよちゃん、次郎長様、頑張るのじゃあ~」
 友蔵もめいいっぱい応援する。そして内部から別の空気が入る感触がした。気付いた時にはゴジラの体内から外が見えていた。
「ぐおお・・・」
 ゴジラが倒れる。
「やった・・・?」
 両断されたゴジラは体が再生する事はなかった。
「倒したの・・・?」
「ああ、体を両断されてしまえば、この『ごじら』とかいう怪物も再起不能みたいだな」
 そしてゴジラは姿を消した。かよ子は羽根を地面に降ろす。
「皆!」
 かよ子は皆を呼ぶ。
「俺達は無事だ!」
「大丈夫だブー!」
「皆、無傷だったようだな」
「うん、良かったよ・・・!」
 かよ子は安心した。
「まる子お~、無事じゃったか!」
「おじいちゃあ~ん」
 まる子と友蔵は感動の抱擁をした。
[ほう、倒されたか、まあ、少しの足止めにはなったという事か]
「・・・え?」
 どこかから声が聞こえた。聞き覚えのある声だった。
「この声は・・・!レーニン!!」 
 

 
後書き
次回は・・・
「忘れていた恋人」
 かよ子達の元に戦争主義の世界の長が聞こえてくる。そしてその人物によってとんでもない目に遭わされてしまう。その一方、とある少年の記憶を確認した和光は次の段取りへと移行する・・・!! 
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