八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百五十話 終わってからその三
「本当にね」
「そうした作品ってあるね」
ジョンはカトリの話をここまで聞いてこう答えた。
「対立する間柄でね」
「それでいて相思相愛でね」
「結ばれないっていう」
「ロミオとジュリエットみたいな」
「あれってね」
ジョンはさらに言った。
「もう王道だよね」
「ロミオとジュリエットって」
「恋愛のね」
「そうよね、ずっと使われてきてるけれど」
「色々な作品にね」
「それでいてね」
実に数多くの恋愛作品で踏襲されているというのだ、シェークスピアの作品でも特にそうであろうか。
「古くないのよね」
「そうだよね」
「本当によくある設定でね」
「展開だよね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「飽きないのよね」
「はまるよね」
「主人公達に感情移入して」
その結ばれない彼等にというのだ。
「応援してね」
「読んでいくよね」
「それでハッピーエンドになったら」
その時はというと。
「よかったねってね」
「主人公達に言いたくなるね」
「ええ」
実際にというのだ。
「その時はね」
「そうだよね」
「まだ終わってないけれど」
その作品はというのだ。
「絶対にね」
「二人は結ばれて欲しいんだ」
「ロミオとジュリエットみたいにね」
「悲しい結末はだね」
「嫌よ、ああしたね」
「二人が死んで終わりとか」
「そういうのはね」
到底と言うのだった。
「嫌よ」
「ハッピーエンドじゃないとね」
「悲劇は短くてね」
カトリはジョンに言い切った。
「そして長く続いたお話はね」
「ハッピーエンドだね」
「それで終わることがね」
それがというのだ。
「最高よ」
「そうだよね、長く続いて」
ジョルジュも言った。
「それで最後は悲しいとかはね」
「嫌よね」
「ずっと読んできてそれだと」
「一気に読める作品だったら悲劇でもね」
それでもというのだ。
ページ上へ戻る