イベリス
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第四十話 〆切りその十二
「ああした人は」
「まさに武士ですよね」
「指揮官になったらその下にいる人達が全力で戦うのよ」
「軍人としては駄目だって言う人多いそうですね」
「下にいる人達が全力で戦うのよ」
副部長はこのことを話した。
「そうさせるって凄いでしょ」
「全力で、ですか」
「そう、だから奉天の戦いでも大活躍したし」
この会戦では実は乃木希典率いる第三軍だけで勝ったとさえ言う人がいる、そこまで活躍したのである。
「旅順でもね」
「そこでの采配が酷いって」
「いえ、あそこ堅固な要塞でね」
そうなっていてというのだ。
「攻めるには兵隊さんの数も武器もね」
「足りなかったんですか」
「途中児玉さんが助けに来たけれど」
指揮権を譲り受けて二〇三高地から重砲の砲撃を行わせたのだ。
「五ヶ月で攻め落としたから」
「だからですか」
「これはね」
「凄いことですか」
「そうよ、実は世界中が驚いたのよ」
乃木率いる第三軍が難攻不落と言われた要塞をそれだけの期間で攻め落としたことについてである。
「しかも息子さんお二人がね」
「お亡くなりになってますね」
「そうよ、実は安全な部署に回せたけれど」
「それをしないで」
「他の人達を一緒に戦わせてね」
「戦死したんですか」
「そうもさせたし。実直で私がなくて質素で」
そうした人物として有名であった。
「敵将にも礼儀を護るね」
「立派な人だったんですね」
「まさに武人よ、だからね」
それでというのだ。
「私あの人好きなの」
「そうなんですね」
「それもかなりね」
「大好きですか」
「ええ」
その通りだというのだ。
「尊敬しているわ」
「尊敬ですか」
「そこまで凄い人だから」
そう思うからというのだ。
「自分に厳しく他の人に穏やか」
「それで私がない」
「昭和天皇がご幼少の時にも教え導いているのよ」
「昭和天皇ですか」
「あの方にもね」
「それは凄いですね」
「そうした人だから教育者としても立派だったのよ」
学習院の院長として素晴らしい教育を行ったことでも知られている。
「昭和天皇の恩師よ」
「つくづく凄い人ですね」
「そうなの、悪く言う人はね」
特に左翼に多い、日本自体を悪く言うが乃木希典もその中に入っているのだ。
「わかっていないのよ」
「あの人のことが」
「というか乃木大将駄目で北朝鮮の将軍様はいいとか」
「通じないですよね」
「部長さんも言ってるでしょ、あの国のこと」
「前かなり言っておられました」
事実そうだとだ、咲は答えた。
「兎に角酷い国だって」
「普通はそうよ、戦前の日本なんかね」
「北朝鮮と比べたら」
「天国よ、あんなおかしな国ないから」
「そうですよね」
「自衛隊とか昔の日本の悪口ばかり言ってる人が」
そうした輩がというのだ。
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