八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百四十九話 大団円となりその八
「今も修行をされている」
「解脱して仏になっても」
「悟りを開かれてもな」
「左様ですね」
「それで最終解脱なんてな」
フックは怒って言った。
「本当にな」
「ないですね」
「解脱の最終段階もないしだ」
果てがないのならそうなるというのだ。
「そしてだ」
「それで、ですね」
「最後の解脱者としても」
「その最後もですね」
「弥勒菩薩は五十六億七千万年後だ」
この時に全ての者を救済するとされている。
「その間多くの解脱者が出る筈だ」
「そうなるね」
トムもそれはと頷いた。
「言われてみると」
「そうだな」
「うん、凄い歳月だね」
「地球もなくなるかもな」
「連合の首都星系もね」
「しかしだ」
それでもというのだ。
「それまでにもな」
「解脱する人は出るわね」
「例え稀でもな」
「それだけの歳月があるとね」
「その筈だ、それで最終解脱なぞだ」
「有り得ないね」
「そう自称している時点でおかしい」
フックは言い切った。
「預言者じゃないからな」
「預言者はムハンマドで最後だ」
そのムスリムのギルバートが述べた。
「最高にして最後のだ」
「預言者だったね」
「そうだ、もう後はだ」
ギルバートはトムに答えた。
「預言者はいない」
「それがイスラムだね」
「そうだ」
この宗教の教えだというのだ。
「そうなっているが」
「それを変に入れてかな」
「最終解脱なぞ言ったのかもな」
「じゃあ仏教じゃないね」
「もうその時点でな」
ギルバートはこう考えた。
「既に」
「そうだよね」
「しかもこの宗教は教祖はキリストの髭を生やしていました」
セーラはこのことも話した。
「そうでした」
「キリストの?」
「あの十字架の」
「それってエウロパのキリストだよね」
トムはセーラに問うた。
「そうだよね」
「はい、そうです」
「あのキリストないよ」
トムは一言で否定した。
「絶対に」
「当時ではですね」
「だってあのキリストラテン系の顔だよ」
だからだというのだ。
「もうね」
「その時点で、ですね」
「ないよ、キリストってユダヤ系だし」
「そうですね」
「そしてセム語とかハム語とか」
「あの辺りはそうした地域でしたね」
「ローマ帝国の勢力に入っていても」
それでもというのだ。
ページ上へ戻る