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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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異色のペア

 
前書き
とんでもないミスに気が付いてしまった件について・・・ 

 
「うわっ!!」

ミネルバさんに押し込まれるがままに入った異空間。すると次の瞬間には別の場所へと移動しており、突然のこと過ぎて着地もままならず倒れるように地面に落ちる。

「キャッ!!」

高いところから落とされたせいで身動きが取れなかった俺。しかもちょうど落ちたところにウェンディがおり、彼女を押し倒すような格好になってしまう。

「ご!!ごめん!!」
「だ・・・大丈夫!!」

慌てて彼女の上から退く。ただ、すごく顔が近づいていた状態になっていたことで恥ずかしくなってしまい、俺も彼女も顔を真っ赤にしていた。

「お前ラッキースケベの素質あるよな」
「今そんなこと言わないでください」

遅れて異空間から姿を現したグラシアンさんからの言葉にそう返すことしかできない。

「シリル!!」
「ウェンディ!!」

俺たちを呼ぶ声がしたためそちらへと視線を向ける。そこには城の外にいたはずのユウキさんたちがおり、心配そうな表情で駆け寄ってくる。

「俺を突き落としやがって!!」
「ふぎゃっ!!」

違った。ユウキさんは城から突き落としたことを根に持っていたらしく顔面に蹴りを打ち込んできやがった。ただでさえダメージが大きいのにこれは辛い・・・

「ユウキくん!!何やってんの!!」
「いてて!!やめてくれ!!」

なおも追撃してこようとした彼をジェリーさんが耳を引っ張って止める。この人たち口よりも先に手が出るタイプだからかすごい怖い。

「そんなことしてないで、お前たちの本拠地に連れていってはくれまいか?」
「一度体勢を立て直さなくちゃいけないだろ?」

騒がしくなってきた俺たちを見ながらミネルバさんとローグさんがそう言う。そこまで来てようやく気が付いたけど、ここは俺たちが城へと向かうために使った地下通路だ。確かにここなら相手にバレずに帰ることができる。

「わかってるって・・・」
「こっちです」

彼らはグラシアンさんに道案内役として先にここへと異空間で飛ばされていたらしく、先導するために歩き出す。よっぽどミネルバさんの目が怖かったのか顔が白くなってたけど、彼女はこれがデフォルトなのであって決して怒っているわけではない。

「レオンは俺が担ぐよ」
「ごめん、ありがと」

止血は終わったものの身動きを取れるような状態ではないレオンをグラシアンさんが担ぎ上げあとに続く。俺たちもそれに付いていくと、彼がこちらを見ながらニヤリと笑った。

「なんですか?」

その視線は明らかに俺に注がれている。そして彼がこういう笑みを浮かべている時は大抵ロクなことを考えていない。

「お前は全然でかくなんねぇんだな」
「ぶっ殺す!!」

俺とレオンの成長速度を嘲笑う彼に飛び蹴りをかますが読まれておりあっさり避けられる。そしてミネルバさんに宥められ仕方なく心を押し殺しながらアジトへと急いだ。
















第三者side

「ウィバリー様、ご報告に参りました」

階下から聞こえてくる声を聞きながら外の様子を見ているバリーザウィッチ。その彼の背後に突如現れる銀髪を短く刈り揃えている男。

「お帰り、どうだった?」

膝をつき頭を下げているその男の方を振り向く青年。それに対し彼は顔を上げて口を開く。

「メーテス様に確認したところ、いくら奴でも現段階ではこの世界の住民。殺すことは得策ではないかと」
「そうか・・・」

欲しかった解答を得られなかったからか残念そうにタメ息をつく。しかし、彼はすぐに頭を切り替えると次の問いに入る。

「じゃあ別の方は」
「そちらに関しては命に別状がなければ・・・大丈夫とのことでした」
「ならいい」

それには満足できたのか数回頷き笑みを浮かべる。彼はそれを聞くと振り向いて外の様子を見る。

「それが分かれば十分だ。お前は先に戻っておけ」
「え?私も共に戦うんじゃないんですか?」

目をぱちくりとさせている男。そんな彼の方を見ることもせず青年は外を向いたまま口を開く。

「向こうは大したことない者ばかりだからな。私一人で片がつく」
「ですが、人数が多い方が確実性は増すはずです。何なら他の者も手伝いに来る用意はできています」

その申し出を受けた彼は男を睨み付けるように目を細める。しかし男は臆する様子もないため、仕方ないといったようにタメ息をつく。

「わかったわかった。じゃあお前と・・・もう一人だけ好きな奴選んで連れてこい」
「私が選んでいいんですか?」
「あぁ。誰が来ても変わらないからな」

一人でも大丈夫だと思っていた彼からすればそれを補助する仲間など誰でも構わない。よほどの無能なら考えるのだろうが、あいにく彼の仲間にそんな者は存在しないのだから。

「わかりました。すぐに手配して戻ってきます」
「あぁ、頼んだ」

そう言い残し即座にその場から瞬間移動する男。彼がいなくなったその場に残された彼は自身の椅子へと腰掛ける。

「やれやれ・・・この世界の住民も天界の部下たちも表に出たい奴が多すぎるな」

自身の邪魔だけはされたくないと考え極力人員の配置は離して考えていた彼からすれば、その提案は邪魔で仕方なかった。しかし、無下にするわけにもいかず、深いタメ息と共に新たに計画を練ることに決めたのだった。
















シリルside

ユウキさんたちの先導により彼らの拠点へと帰ってきた俺たち。そこで俺たちは……

「して・・・なんでそこまでボロボロなのだ?」

ミネルバさんに正座をさせられていた。

「なんていうんでしょう・・・」
「気持ちが入りすぎたから?」
「いや、俺に聞くなよ」

このケガの原因の大半は俺とレオンの潰し合いなんだけど、どうやらそのこともミネルバさんたちは気が付いているらしい。グラシアンさんとローグさんに助けを求めたけど、グラシアンさんは取り合ってくれないにローグさんに至ってはこっちすら見てくれない。

「全く・・・評議院の使者とやらに呼ばれて来てみれば・・・」
「そういってやるな、お嬢」
「あぁ。ひとまず無事だったんだからな」

ようやく彼女の怒りが収まってきたようでホッとひと安心。ここで話題はこの国を納める王へと移る。

「あれが最近噂の天使か?」
「そうみたいです」

フィオーレでは今、天使の出没情報でごった返している。妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チームが完膚なきまでに叩きのめされたことに加え、他のギルドでも遭遇した魔導士がことごとく敗北しているらしい。

「お前らがたいしょできないってことは、噂通りの力はあるってことか」
「そうだろうな。あれだけ力を入れていたはずなのに、奴には一切ダメージが加わっていなかった」

俺たちを逃がすためにローグさんが足止めをしてくれていたけど、その時天使は一切ダメージを受けているようには見えなかった。それだけで奴の防御力の高さがわかる。

「しかし、シリルとレオンでもダメージを与えられるんだな」
「??」
「どういうことですか?」

ミネルバさんは言葉の意味がわからず俺とレオン……他にもウェンディたちも全員が顔を見合わせていた。

「俺たちが聞いていた情報だと今まで天使にダメージを与えられたのは一人しかいなかったんだ」
「え?誰ですか?その人」

レオンは今回初めて天使と遭遇しているし、俺は前回一撃でやられているから攻撃を当てれていない。ナツさんたちも全て弾かれていたって話だったし、となると誰だ?

「わかった!!ゴッドセレナ様だ!!」
「あぁ!!ゴッドセレナ様なら確かに!!」

イシュガル最強の魔導士である四天王の最上位のゴッドセレナさん。確かにあの人なら実力は申し分ないし、天使に一撃食らわせることも可能かもしれない。

「残念だが、外れじゃ」

しかしミネルバさんにあっさり否定されてしまった。となると誰だ?他の四天王の人かはたまたジュラさん?カミューニさんとリュシーさんもありえるか。

「妾の聞いた話だと、ソフィアがその一人らしい」
「「「「「えぇ!?」」」」」

予想だにしなかった名前が出てきたことに驚かずにはいられない。ソフィアはあいつだよね?てかそもそもあいつ攻撃系の魔法使えなかったはずだよな?

「ソフィアのはラッキーヒットだろ?」
「それでもソフィアがダメージを与えたことには変わらない。それだけ返し魔法(カウンター)の力が上がっているということだろう」

事の顛末を詳しく聞くとどうやら敵が放った攻撃をソフィアが弾こうとしたらしい。ただ、跳ね返し切れずコースを変えるだけになったらしいのだが、運良く別方向で交戦していた天使の一人を捉えたらしい。仲間もろともだけど。

「いや、仲間巻き込むなよ」
「レオンが言えたことじゃないよ?」

味方同士で潰し合ってた俺たちが言えたことではないけど、ソフィアの魔法って結構荒いよな。ただ、跳ね返されると自分の魔力にあいつの魔力も上乗せされるせいで一撃必殺になりかねない破壊力も秘めているから手に追えない。

「でも他の魔導士の魔法は当たらないんだろ?」
「当たらないってよりは効いてないっていうのが正確らしいな」
「属性の相性とか?」
「いや、属性も関係ないらしいな」

ここまで交戦した天使たちは何人もいる。しかし、その誰にも魔法が効かず皆お手上げ状態だったところでのソフィアの魔法。さらに今回俺とレオンが通常通り戦闘できていることから、何かヒントが出てくるかもしれない。

「・・・あ」
「何かわかったのか?グラシアン」
「いや・・・」

何かに気が付いたような反応を見せたグラシアンさん。しかし、彼は言いにくそうな表情を浮かべた後、突然笑顔になって語り始めた。

「あいついたじゃん、アルバレスにいた天使」
「お母さんのこと?」
「そうそう」

多分最初は何か違うことに気が付いたんだろうけど、それを誤魔化すように今思い付いたであろうことを述べているであろうグラシアンさん。ただ、よほど言いにくいことなのだろうと察した俺たちはそれを追求しようとはしない。

「でも言われてみれば・・・」
「あの人も天使って話だったよね」

アルバレス帝国で敵として戦ったお母さん(ヨザイネ)。確かにお母さんは天使だったからそこからの戦いで何かヒントを得られるかも?

「ルーファスとオルガの話だと、どんな攻撃をしても一切効いてなかったって話だった」
「そういえばそんなこと言ってたな」

お母さんと交戦したルーファスさんとオルガさん。二人の攻撃は何度か直撃したらしいのだが、全然ダメージを与えられていなかった。

「そういえばブランディッシュさんも魔法が効かなかったって言ってましたね」
「でもナツさんは普通に戦えてたって言ってたような・・・」

ナツさんや俺たちの魔法は効いてルーファスさんやブランディッシュさんの魔法は効かない?一体何が関係しているんだ?

「シリルの攻撃が通用する理由はわかりやすいけどな」
「あぁ、そうだな」
「へ?」

グラシアンさんとミネルバさんの言葉に目をパチクリさせる俺。ローグさんもわかっているようで小さく頷いていた。

「シリルはヨザイネの子。つまり天使でもあるから同胞である天使にダメージを与えられるんだろうな」

言われてみればその通りだ。それにあの天使も俺が他の天使たちへの抑止力になるってことを言ってたから、その見解は間違いではないだろう。

「滅神魔法は?」
「レオンが戦える理由?」
「うん!!あたしもディマリアと戦った時、攻撃が効いてたんだもん」

ディマリアさんの身体にはお母さんと仲の良かったクロノスが入っていたと聞いた。そのせいでウェンディの滅竜魔法は通じず、シェリアが第三魔法源(サードオリジン)を使って戦う結果になったのだ。

「それだとオルガの魔法が効かなかった理由が説明できなくなるが?」
「ルーファスさんと組んでたからとか?」
「もしくはゴッドセレナとの戦いで肉体の限界が迫ってきていたからかもな」
「連戦続きでしたもんね・・・あの時は」

アルバレスとの戦いでは相手の兵の多さに劣勢を強いられる形になっていた上にスプリガン16(セーズ)の圧倒的実力の前にどんどん戦力が削られてしまった。そのせいで本来の力を出せなかった人も多くいただろうから、ローグさんの考えも十分にあり得る。

「じゃあナツがダメージを与えられたのは?」
「不老不死のゼレフを倒すためにエーテリアスの力を入れられてたからな。それが功を奏したのかもしれないな」

ナツさんは人間であって人間でないからね。特に戦っていた時は完全にEND化してたって聞いたし、それによってお母さんにもダメージを与えられた可能性は高い。

「となるとあいつを倒すにはシリルとレオン・・・それにシェリアの力が必要になるわけだ」

この戦いにおいての最重要人物である三人に視線を送る皆さん。それに俺とレオンは頷いたけど、シェリアだけは目が泳いでいる。

「どうしたの~?シェリア」
「な・・・なんでもないよ」

セシリーの問いに答えた彼女だったが、明らかに何かを隠している。いや・・・こっちに来てから彼女たちがおかしいのはずっとだけど。

「・・・」

そしてもう一人の重要人物である青年は無表情で彼女の方を見た後、何を考えているのかわからないほど静かになってしまった。その後の作戦会議でもほとんど言葉を発することがなく、まるで会話が違う何かを考えているように見えた。


















第三者side

日が落ち辺りが真っ暗闇に包まれた頃、寝静まる仲間たちを他所に建物から外へと出る金色の髪をした青年。

「どこにいく?」

彼が建物から出たタイミングを見計らったように、紫色の髪をした青年が後ろから声をかけた。

「・・・奴を倒しに」
「それはこっちの準備が整ってからって話になっただろ?今の俺たちじゃやられるのがオチだ」
「そんなことはない。俺が負けっぱなしでいいわけがない」

何かに追われているかのような目をした彼を見て、グラシアンは目を細めた。なぜなら彼のその姿はかつての自分を彷彿とさせたから。

「・・・他人が絡むと、人はどうしても変わっちまうもんだな」
「何?」
「いや・・・なんでもねぇよ」

落ちていた石を拾い遠くへ投げてみせるグラシアン。どこまで飛んだのかを楽しそうに見ていた彼を尻目に、レオンは歩を進めようとした。

「待てよ」
「まだ何か?」

話が終わったと思ったところで再度呼び止められたことに苛立ちを覚えた彼は振り返る。すると、その目に写った人物の姿を唖然とした。

「俺もちょっと試してみたいことがあるからな。一緒に行ってもいいか?」

水色の髪をした可愛らしい少年へと変貌しているグラシアン。見覚えのあるその姿を見て、レオンは苦笑いを浮かべた。

「失敗したら腹切れよ?」
「その役目はお前に委ねるよ」

ケラケラと笑ってみせる彼に同調するように笑ってしまう。まるで本物と話しているかのようなそれに笑わずにはいられなかった。

「あんたとペアを組むとは思わなかったよ」
「案外いいかもよ?こういうコンビの方が」

寝静まっている仲間たちを置いて城へと向かう二人。異色のペアが逆転の起爆剤となり得るのか?




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
オルガが滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)だったことに書いてる最中に気が付いて心折れてましたww
とりあえず疲労してたからって体で誤魔化してますがこれは純粋なミスです。てかオルガの滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)設定は無駄遣いだと思う←失礼 
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