南蛮黒船
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第二章
「このことはな」
「十代ですからね」
「皆な」
「どうしてもです」
校長は落ち着いた声で述べた。
「ああしたことは」
「気が向いてしまうな」
「そうなってしまいます」
「男子生徒もそうだが」
「女子生徒もです」
同性もというのだ。
「そうなってしまいます」
「そうだな、これはまずい」
「生徒のキリスト教への理解に支障が出ます」
「我が校はキリスト教の学校だ」
「はい、ですから本来の学業だけでなく」
それに加えてというのだ。
「キリスト教の教理もです」
「知ってもらわなくてはならない」
「身に着けてもらわないと」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「何とかな」
「生徒達にはですね」
「彼女ではなくな」
「彼女の言う言葉書く教理にですね」
「向かって欲しい」
「全くですね」
「彼女自身に問題はないしな」
ミカエラ自身にはというのだ。
「アメリカに帰ってもらうこともな」
「ありませんね」
「素晴らしいシスターということもあり来てもらったしな」
それだけにというのだ。
「そうしてもらいたい」
「神学の博士号も持っておられる位です」
「そこまでの人だからな」
「どうしましょうか」
「高等部から移籍してもらうか」
理事長は蕎麦を食べながら言った。
「そうするか」
「高等部からですか」
「君のところからな」
「そうされますか」
「大学は駄目だな」
まずはそちらへの移籍を打ち消した。
「そちらは」
「大学生もですね」
「そうしたことには目も考えもいくからな」
「どうしても」
「高校生と変わらない」
こうしたことへの関心の強さはというのだ。
「だからな」
「大学はなしですか」
「宗教学部でも大丈夫だが」
教えられることは教えられるというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「よくない、中等部もな」
こちらもというのだ。
「やはりな」
「高等部と同じで」
「そうしたことで頭が満ちている」
そうなっているというのだ。
「だからな」
「そちらもですね」
「無理だな、他の教師諸君もな」
「実はです」
校長は顔を曇らせて答えた。
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