ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第56話
前書き
2人の悟飯。
そして男としても負ける現代悟飯。
悟飯一家の住む豪邸に向かうと悟林が近付いたからかパンの泣き声が聞こえる。
どうも他の人達がパンに甘いこともあって厳しい悟林はパンにとって“怖い人”認定されているようだ。
「おーい、いるかい悟飯」
「姉さん!姉さんが来るなら連絡してよ!パンちゃんが怖がるじゃないか!!」
「お前がちゃんと躾ないから私が代わりにやってるんじゃない。お前に似て甘ったれになられたら困るしねぇ…ところで悟飯、未来の悟飯が来たよ」
「え!?」
「やあ」
「もう1人の僕!?」
セルとの闘い以来会うことがなかった未来悟飯の姿に悟飯は驚く。
「お久しぶりです、過去の悟飯さん」
「トランクスさんまで!」
未来トランクスまでいることに悟飯は嬉しそうに笑った。
するとパンが未来悟飯と未来トランクスに不思議そうにしながら飛び付いてきた。
「はは、こっちのパンは随分と元気な子だな」
「そうですね、俺達の世界のパンちゃんは人造人間のことがあったから満足に外で遊ばせてあげられなかったし…」
自分達の世界のパンのことを思い出した2人。
未来悟飯の娘のパンはこちらのパンよりも遅く生まれており、更に当時は人造人間に世界が荒らされていたので満足に外で遊ばせてやれなかった。
勿論未来悟飯は出来るだけパンを安全な場所で遊ばせてやったし、未来トランクスも修行の合間にパンの面倒は見ていたが、やはり子供らしくさせてやれたかは疑問が残る。
「そっちにもパンちゃんはいるんですか!?もしかしてもう1人の僕の奥さんは…」
「悟飯君?パンちゃん?どうしたの?」
奥からビーデルが出てきた。
「あ、ビーデルさん!未来の僕とトランクスさんが来たんですよ!」
「え?」
「教えるよこっちのビーデル、俺と彼はこことは違う未来からタイムマシンで来たんだ」
取り敢えずリビングに入り、未来悟飯が簡単に説明する。
自分達はこことは違う歴史を歩んだ未来からやってきたことを、自分達は17年後の未来人なのだ。
「タイムマシン…信じられないけどブルマさんなら確かに出来そう」
「ああ、こっちの俺が学者になってくれて嬉しいよ。ちゃんと学者になれた時代があったと分かっただけでも頑張った甲斐があった」
「未来の悟飯君は…今でも武道を続けているの?」
こちらの悟飯は既に武道を止めているも同然だが、未来悟飯が未だに武道を続けていることが不思議だったのかビーデルが聞いてきた。
「そっちの未来は平和になったんですよね!何時までここにいるんですか!?そう言えば向こうのブルマさんや母さんは元気ですか?まあ、母さんとブルマさんも元気そうにしていると思うけど」
「今日、未来に戻るんだ。武道は今でも続けているさ、俺のいた世界では父さんも姉さんもいないから俺達が頑張らないと」
未来ブルマ達のことは言わずに今日、未来に戻ることと今でも武道を続けていることだけは答える。
「お養父さんとお義姉さんがいない?」
「俺の世界の父さんは、俺が子供の頃に心臓病で死んでしまったんだ。姉さんも俺のいた世界の10年以上前に敵と闘って殺されてしまったから…」
「そ、そうだったの…ごめんなさい…」
知らなかったとは言え無神経なことを聞いたとビーデルは謝罪する。
「気にすることはないさビーデル。もう俺達も心の整理はついたし…なあ、トランクス?」
「そうですね、それに俺達の世界の悟林さん達はきっとあの世で元気にしていると思いますから」
「確かに…おじさんとかパパとかあの世でも修行してそう」
トランクスの言葉に過去のベジータのことを知る面々は苦笑した。
恐らく未来悟飯達の世界のベジータは地獄行きだろう。
こちらのベジータでも地獄行きは免れないのだから、まだ悪人の未来世界のベジータは確実に地獄行きと言う確信があった。
「それにしても良く頑張ったな、こっちの俺!」
「はい、学者になれてビーデルさんやパンちゃんがいて…幸せ過ぎて怖いくらいですよ」
「だろうな、俺のビーデルも綺麗だったけどこっちのビーデルも俺のビーデルとは違う魅力があるしな」
「「え?」」
未来悟飯の言葉に悟飯とビーデルの目が見開かれる。
「ん?俺、何か変なこと言ったかな?」
「あ、あの…魅力的って…」
「ああ、どっちのビーデルもとても魅力的な女性だよ。普段は強気だけどふとした時の仕草がとても可愛くて…他にもたくさん魅力的な要素があるんだけど色々ありすぎて短い時間じゃとても言い切れないな…とにかくそんな彼女を俺は愛してるんだ」
「っ…!!(ぼ、僕がビーデルさんに伝えたくても言えないことをあっさりと…!)」
「未来の悟飯、お前違う世界とは言え本人達がいるのに凄いこと言うね?」
聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
同じく聞いていた未来トランクスもトランクスもどこか気まずそうにしている。
平然としているのはお菓子に夢中な悟天だけだ。
「何を言ってるんだ?ビーデルが魅力的な女性なのは全ての世界共通だろう?」
「ベジータさんと同レベルの愛妻家だね…そう言えば未来の悟飯はビーデルさんを呼び捨てしてるんだね」
「?まあ、夫婦だしな」
「夫婦ねぇ、未だに敬語を使っている悟飯ちゃんはまだまだ若いってことかなぁ?まあ、こっちのヘタレな悟飯ちゃんが男らしくビーデルさんに接するなんて永遠に無理だろうけど」
駄目な男を見るような冷たい目で悟飯を見つめる悟林に対して悟飯は怒る。
「なっ!?何てことを言うんだよ姉さん!僕だって…」
「じゃあ、ビーデルさんを呼び捨てにしてみなよ」
「よ、よし…ビーデル………さん…」
呼び捨てにしようとしたのは分かるのだが、最後の最後で駄目だったらしく少しの間の後にさん付けになった。
「何でそこまでしてさん付けになるの!?」
「兄ちゃん格好悪い」
「「悟飯さん…」」
「まあ、こっちの俺はまだ若いしな」
悟林は情けない奴を見るような目で悟飯を見つめ、悟天はがっかりしたように呟き、未来トランクスとトランクスは苦笑した。
未来悟飯は茶を啜りながら微笑ましげに悟飯を見ていた。
「くっ…でも!何時かは!僕だって何時かはもう1人の僕のような男に…」
「無理だね、お前が未来の悟飯みたいになるなんてほぼ不可能だよ不可能」
「な、何で!?同じ僕なのに!?」
「未来の悟飯とお前じゃ過ごしてきた環境が違うもん、平和な世界で腑抜けきったお前と辛い環境で過ごしてきた未来の悟飯じゃね」
「確かにこっちの悟飯さんが未来の悟飯さんみたい…て言うのは想像出来ないかも…」
「未来の兄ちゃんの方が格好良い!」
姉と弟とトランクスの言葉に悟飯はショックを受ける。
「でも、そうだねえ、お前が1人で精神と時の部屋に入って1億年その中で過ごせば万が一…いや、億が一の確率でなれるかもね」
「それじゃあ死んじゃうじゃないか!!」
「じゃあ諦めなよ、まずお前は自分の姿を鏡で見てきなよ。筋肉が落ちてもう本当に同一人物なのかも怪しい状態なんだからさ」
「うぐぐ…」
確かに悟飯は仕事に夢中になりすぎて今や筋肉が落ちて如何にも学者と言った感じの青年だ。
一方の未来悟飯は厳しい鍛練を続けてきたのか今でも筋骨隆々の武道家らしい体格をしている。
「今じゃあ悟天とトランクス君の方が強いよ」
「え!?そ、そんなまさか…いくらサボってたって…」
「本当だよ、精神と時の部屋で修行したんだからね」
「そう!そしてやっと背が伸びたよ…!」
「あ、確かに2人共…背が伸びてるね…」
悟飯は改めて悟天とトランクスを見た。
最後に見た時はまだ8歳の時と全く背丈が変わらなかったのに今では多少伸びている。
「まあ、お前が全盛期の頃より強くなったからお前より遥かに頼りになるね…それじゃあご馳走様、ビーデルさん、お茶とお菓子ありがとう」
悟林が立ち上がると未来悟飯達も立ち上がる。
「それじゃあ、俺達は戻るけど、こっちの俺…また会えて嬉しかったよ…これからも頑張れよ。それからこっちのビーデルとパンは必ず守るんだ。お前も男なんだからな」
「もう1人の僕……はい!!」
「その前に悟飯ちゃんは筋肉を付け直すとこから始めないとだけどね、目指せモヤシ悟飯脱却」
悟飯の細くなった腕をつつきながら言う悟林に未来悟飯達が笑った。
「姉さん!」
「おっと、捕まえられるもんなら捕まえてみなよ!」
追いかけっこをする双子に全員が笑った。
やはりと言うべきかこの時代の悟飯は少年期の方が色々としっかりしていた部分があったためもあり、今の悟飯は悟林からはからかいの対象になっているようだ。
それでも本気で喧嘩しない辺り仲は良いのだろう。
「それじゃあバイバーイ」
「こらー!待て姉さん!くそーーーっ!!」
言いたい放題言われて逃げられたことに悪態を吐く悟飯。
「そう言えば悟飯君、未来の悟飯君達の見送りはしなくて良いの?」
「あ!?何時に帰るのか聞くのを忘れてた…」
ビーデルの言葉に悟飯は未来悟飯達が何時帰るのか聞くのを忘れていたことに気付いたのであった。
そしてカプセルコーポレーションに戻ると悟空とベジータが待っていた。
取り敢えず、精神と時の部屋で超サイヤ人ゴッドの力を完全に2人は物にしたこと、そして未来悟飯も未来トランクスも超サイヤ人ブルーにはなれなかったことを説明する。
「やはり地球人の血がブルーへの進化を妨げているのかもしれんな」
「でも超サイヤ人ゴッドになれりゃあ充分だろ」
超サイヤ人ゴッドのパワーも充分強力なので、余程の相手でない限りは勝てるはずだ。
悟空達にもブラックの件で進展があったらしく、ブラックの正体は第10宇宙の界王で界王神見習いのザマスであり、超ドラゴンボールで悟空の体を取り替えたらしい。
ブラックは第10宇宙の界王神を殺して界王神の証であるポタラを奪って未来トランクス達の世界に来たのだ。
確かに未来トランクス達の世界は未来悟飯や未来トランクスしか戦士がおらず、ビルスもいないので他の歴史よりも支配が容易だったのかもしれない。
「やれやれ、姑息と言うか何と言うか…と言うか、そんな危険な奴を弟子にしてた第10宇宙の界王神様もどうかしてるよ」
「まあ、そう言うなって、第10宇宙の界王神様だってこうなるとは思わなかったんだろ?」
「まあ、界王神様じゃ界王様に不覚を取るのは仕方ないか…」
「い、一応界王神は界王よりも高位の神なのですが…」
「まあ、無理もないよね第7宇宙の界王神がこんな間抜けじゃ」
落ち込む界王神を放置して話を進めていたのだが、悟空にあることを頼まれたのだ。
「なあ、悟林。全ちゃんと友達になってくれよ」
「全ちゃん?」
「全王様のことだ…本当に何て渾名を付けるんだ…」
全ちゃんは悟空が全王に付けた渾名であり、何でも全王に友達を紹介すると言ってしまったのだとか。
「それで私に…嫌だよ私は、そんなおっかない人と友達なんて」
ビルスから聞いた全王は少しでも機嫌を損ねると宇宙を消し飛ばすそうなので、流石の悟林も仲良しは遠慮したい。
「えー!?おめえが駄目じゃ誰に…悟天とトランクスにすっかな…」
「ガキを貴様の約束に巻き込むな!!」
なら悟天とトランクスはどうかと思ったのだが、ベジータに却下された。
「だったらサタンさんにすれば?」
「サタン?」
「そうだよ、あの人なら全王様への機嫌取りもイケるでしょ、暴れてた時のブウとだって仲良くなれてたんだしさ」
「うーん、じゃあサタンにすっか」
こうして第7宇宙の運命はサタン(無断で)に託されたのであった。
そしてビルスとウイスは第10宇宙へ向かい、悟空達はベジータと未来トランクスの修行の後に向かうことになる。
タイムマシンの人数制限でまずは未来トランクスと未来悟飯、そして悟空とベジータが最初に向かうことに。
大人数となるかもしれないからブルマが少々簡易なコックピットを取り付けており、悟空とベジータは簡易コックピットの方に乗ってもらった。
「取り敢えず、お父さん達。頑張って!無理そうならすぐに戻ってきて!!仙豆は持った?」
「おう!バッチリだ!オラ達が向こうに行っている間、こっちは任せたぞ悟林、悟天、トランクス!」
「「「OK!」」」
悟空は自分達が未来に行っている間を悟林達に任せて未来に向かうのであった。
後書き
因みに男らしさランキングを悟飯で作るとしたら
1位 未来悟飯
2位 GT悟飯
3位 少年悟飯
4位 超悟飯
となります。
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