素直な贈りもの
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第二章
「それでもです」
「皆義絶したままだろ」
「誰も付き合う気はないです」
「夫婦の家のもの全部売ったそうだな」
「それで家の中を完全に空にしてやりました」
「そうした位だな」
「皆嫌ってますよ」
実際にというのだ。
「親戚も。それで俺も」
「あんたもだな」
「そうです」
「そういうことだよ、だからな」
「いなくなってですね」
「清々してるよ、それでこれがな」
彼は笑顔でふわりそっくりのトイプードルのぬいぐるみを出した、そして洋介の前にそれを置いて話した。
「あいつ等の家族にってな」
「二人目の娘が産まれた時にもお祝いの品で出した」
「ぬいぐるみだよ」
「本当にふわりそっくりですね」
洋介はそのぬいぐるみを見て述べた。
「見れば見る程」
「外見だけじゃなくて毛の色も大きさもだよな」
「ええ、全部」
「これにボタン押したら声出る様にしてるんだ」
「そうなんですね」
「買ってそうした細工したけれどな」
彼は洋介にそのぬいぐるみを見ながら話した。
「どうするかだよな」
「これからですね」
「一体な」
「俺が買っていいですか?」
洋介はここで彼に申し出た。
「そうしていいですか?」
「買うのか」
「はい、ふわりそっくりなんでふわりに見せて」
そうしてというのだ。
「どう反応するか見たいです」
「じゃああげるよ、しかしボタン押して出る声は変えるな」
「くれるんですか、それに声も」
「あんたがふわりちゃんの本当の飼い主だしな、それに声はあいつ等への嫌がらせだからな」
そうした声だからだというのだ。
「そこは変えてな」
「そうしてですか」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「声は変えてから渡すな」
「それじゃあそれでお願いします」
「少し待っていてくれよ」
「わかりました、それでなんですが」
「どうしたんだい?今度は」
「お待ち」
洋介は百田家の夫とぬいぐるみの話が終わるとだった。
彼が注文した炒飯を出した、すると彼はその炒飯を受け取って食べはじめた。それは実に美味い炒飯だった。
素直な贈りもの 完
2022・1・26
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