FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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仮説
前書き
筋トレ中にハムストリングスを負傷した可能性が出てきた( ノД`)…
第三者side
プルルルル
額から汗が滝のように溢れ出るほどの暑さ。そんな中を歩き回りながら調査をしているカミューニのポケットから音が鳴る。
「チッ・・・誰だよ」
妖精の尻尾のウォーレンが生み出した小型通信用魔水晶。それは今では世界中に販売されているようで、評議院でも連絡を素早く取り合うために使用されている。
カミューニはそれを取り出すと、連絡してきた相手の名前を確認し、タメ息をつく。
「何?どうした?」
『カミューニ殿!!よかった、無事だったのだな?』
連絡をしてきたのは評議院で待っているジュラ。その連絡の内容が何かすぐに察した彼はわざとらしくタメ息をつく。
「なんだよ、定時連絡はまだのはずだろ?」
『いや、連絡がないのがカミューニ殿だけだったから心配になってな」
「あぁ、なるほどな」
近場にあった岩に座りジュラからの連絡に答えるカミューニ。それに気が付いた黒装束の人物も一度休憩にしようと日陰に待避していた。
「他の連中はどうだったんだ?」
『ウルフヘイム様が天使に遭遇したそうでな・・・大ケガをされたそうだ』
「天使に遭遇したのはウルフヘイムだけ?」
『うむ』
ふーん、と自ら聞いておいて興味がないかのような返答をする青年。いつも通りの彼の反応を聞き、ジュラは報告を聞くまでもない状況であることがすぐにわかった。
『そちらには天使はいなかったようだな』
「あぁ。ウェンディからの報告通りだったよ」
彼らが来ているのは以前妖精の尻尾最強チームが依頼を受けて訪れた国。もしかしたら手がかりが残っているかもしれないと来たわけなのだが、案の定それらしきものは残っていなかった。
「まだ全体は見終わっていないからな。もう少しここに残っていくつもりだ」
『了解した。くれぐれも無理なさらぬように』
「あぁ、ありがとよ」
そういって通話を切るカミューニ。ようやく終わったかと相方は立ち上がると、彼の後ろの方の森の中を指さす。
「何かあったのか?」
「いや、あいつが来ているみたいだぞ」
「マジ?ずいぶんと暇なんだねぇ」
ケラケラと笑いながら手だけを覗かせ手招きしてくる人物の方へと歩いていくカミューニ。黒装束の男は周囲を見渡すと、深いタメ息と共にその場で彼らの会話が終わるのを待っているのだった。
シリルside
ドゴォンッ
畳の破片が飛び散るほどの拳。それを叩き込んだ青年の上から天使の姿に変化した男は飛び乗るように蹴りを放つ。
「この・・・」
振り向き様に再度攻撃を試みるがそれは当たらない。翼を得た彼は速度も動きのレパートリーも先程よりも増加しており、パワー、スピード共に定評のあるレオンが全く付いていけていない。
「一対一で相手をするか。聞いて呆れるね」
「この・・・」
苛立ちからか目が血走ってきているレオン。それがわかっているからか、あえて挑発するようにギリギリでの回避を続ける天使。それによりますますレオンは苛立ち、顔が赤くなっていた。
「これはまずいよ、シェリア」
次々に繰り出される氷の魔法。それをまるで見えているかのように回避続ける天使。なかなか加勢に入れないウェンディは隣にいる友人に声をかける。
「うん・・・そう・・・かも・・・」
ウェンディとは対称的に全く加勢しようとする雰囲気すら見せないシェリア。しかし、彼女もさすがにレオンが劣勢であることを察しているようで、どうするべきなのか迷っているようだった。
「氷神・氷結!!」
冷気を纏わせた回し蹴り。ギリギリで回避していた天使もこれには危機を感じたのか、背中の翼で身体を守るように防御する。
「いいものは持っているんだがな・・・」
傷一つついていない翼。それを勢い良く開くことで攻撃を繰り出していたレオンは容易く吹き飛ばされていた。
「もうこれ以上は見てられない!!」
「あ!!ウェンディ!!」
今までに見たことがない彼の劣勢。これにいても立ってもいられなくなったウェンディが飛び出すように天使に向かって立ち向かう。
「それでさっきシリルがやられたことを忘れているのかな?」
「!!」
無警戒だと思っていたはずの彼はウェンディが間合いに入ってきたタイミングでそちらへと身体を返す。不意を突くことに失敗した彼女は急ブレーキをかけたが、完全に止まり切る直前のポイントで拳を腹部へと突き出す。
「うっ!!」
相手の打撃と突進していた自らの勢いがぶつかり合う形になったことでより大きなダメージを受けた少女。そのまま吹き飛ばされた彼女をシャルルとセシリーが受け止める。
「もうわかったんじゃないのかな?君たちでは私には勝てない。そして私の目的はシリルを連れ帰ること。つまり何が言いたいのかは・・・わかるよね?」
あいつの目的は俺・・・だったらここは俺が付いていくべきなのか・・・
「くだらないな」
俺自身が選択を下さなければならないと思い思考していたその時、強い光が目に入ったかと思うと倒れていたはずの青年の声が聞こえる。
「お前の目的がなんであろうと関係ない。俺は今・・・勝つことしか意味がないんだからな」
その光の正体はレオンから発せられている魔力。つまりこれは・・・
「神の領域・・・」
自らの魔力を体内に閉じ込めることにより通常時よりも大きな力を得ることができるレオンの最終奥義。しかし、これは体温が爆発的に上がってしまうため、命の危険すらあるこれはそう簡単に使うべきではない。
「レオン!!」
「大丈夫だシェリア」
ここにきてようやく慌てた表情を浮かべたシェリアだったがレオンがそれを制止する。
「一瞬だ。一瞬で終わるんだからな」
指一本を立てて自信満々に笑みを浮かべる。それを見た天使は困惑した様子だった。
「なんだ?あれは・・・」
神の領域のことは知らない様子の天使。レオンの魔力が今までよりも遥かに高くなっていることがわかったようで、明らかに動揺している。
「永久凍土!!」
消えたかと思った瞬間、敵の頬に左ストレートが突き刺さっていた。これまで圧倒していた彼でさえ何が起きたのかわからないほどの速度に彼はますます動揺していたが、すぐに口を閉じ眼光を鋭くさせる。
「なるほど・・・この力があれば確かに・・・」
何かに納得したような反応を見せる天使。彼は一度体勢を整えようと後方に下がるが、勢い付いた氷の神はそれを許さない。
「逃がすか!!」
「!?」
距離を取ったはずがまたしても気付かぬ間に敵が目と鼻の先にいたことに驚愕することしかできない。
明らかに正常な思考に戻れていない敵に対し、身体を一回転させ上から振り下ろすように蹴りを放つレオン。自身の魔力と重力を味方に付け、渾身の一撃を放つ。
「ぐっ!!」
地面に突き刺さるように倒れ込む天使。そんな彼に追撃の一撃を喰らわせようとしたレオンだったが、彼も黙ってやられるような玉ではない。
「ほらよっと」
「なっ・・・」
身体を無理矢理捻り向かってきたレオンの顔面目掛けて蹴りを放つ。さすがにこれを予測できるはずもなく、レオンも痛い一撃を受け下がらざるを得ない。
「氷神の・・・」
しかし、この空いた距離を行かす方向にすぐ動けたのは攻撃を受けた彼の方であった。体勢が悪い中で攻撃を繰り出したことでさらに体勢が崩れ、何をされても対応が遅れる状態の天使。そんな彼目掛け、うまく着地したレオンは頬を膨らませ照準を合わせる。
「怒号!!」
離れていたはずの俺たちの鼻を掠めるほどの威力あるブレスが放たれる。当然ながら次の行動に移れるような体勢ではなかった天使はそれに何もすることができずに飲み込まれていた。
「マジか・・・」
「すごい・・・」
最初はいつもの彼とは異なるところが多々あり、成長しているのは身体だけなのかと思っていたがそんなことはなかった。いや、様子がおかしかっただけで彼は決して弱体化などしていない。むしろあんな心理状態だったにも関わらずここまで戦えるだけの力を彼は有しているということだったんだ。
「ほら!!やっぱりレオンに任せておけば大丈夫だったでしょ!?」
そしてもう一人以前とは様子が変わっていたシェリアだったが、レオンの勝利を受けて得意気な表情を浮かべ、俺たちに対して胸を張りながらそんなことを言っていた。
「よくよく考えてみたんだが・・・」
「「「「「!?」」」」」
気が緩んでいた俺たちはその声が誰のものなのか瞬時にはわからなかった。いや、わかっていたのに認めようとしていなかったのかもしれない。
「私はこの世界の住民である君たちを殺すことはできない。しかし、もしかしたら一人だけその例から外れる者がいる可能性がある」
煙の中から聞こえてくる声は間違いなくあいつのもの。神の領域を解きかけていたレオンもすぐに魔力を高めそちらに意識を集中させる。
「それぞれの世界には多くの生物が存在している。しかし、それらは全て唯一無二の存在。全く同じである存在は一つとしてないんだ。しかし、それに反していたものがこの世界には・・・いや、この世界のこの時間にはいるんだ」
背中から冷たいものが流れたのを感じた。それは俺だけではなく全員が感じたようで、一気に顔から血の気が抜けていく。
「そいつなら誤って命を奪ってしまっても問題ないのかもしれん。そう・・・」
煙の中から人影がレオン目掛けて突進してくる。それは俺たちの目でギリギリ捉えることができるほどの速度を出しており、迫られた彼は慌ててそれに向かって拳を放つ。
「レオンならな!!」
グサッ
両者共に突き出した拳。しかし、敵はそれを見極めあっさりと回避したのに対し、迎え撃つ形になったレオンは避けることすらできず、腹部を貫かれた。
後書き
いかがだったでしょうか。
めっちゃ久しぶりに書きましたww
もう一ヶ月経っていたことに時の流れの速さを感じた今日この頃です。
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