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レーヴァティン

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第二百三十七話 最後の場所その一

                第二百三十七話  最後の場所
 英雄は久志に最後まで話した、そうして彼に言った。
「美味かった」
「そうそう、熊ってな」
 久志はその英雄に笑顔で応えた。
「美味いからな」
「お前も知っているな」
「こっちの世界でも食ったしな」
「そうなのか」
「北海道に行った時にな」
 この時にというのだ。
「羆の缶詰食ってな」
「美味かったか」
「ああ、よかったぜ」
 英雄に笑って話した。
「本当に」
「そうだったか」
「あとツキノワグマもな」
 こちらの熊もというのだ。
「親戚の人で猟師さんがいてな」
「その人が狩ったか」
「その肉をたまたま分けてもらってな」
「食ったか」
「ああ、それで美味かったからな」
「今も言えるか」
「確かにな」
 肉を食いながら話した、二人は今は大学の食堂で昼食を向かい合って食べている、食べているのは二人共焼肉定食の牛肉である。
「言えるぜ、ただ掌はな」
「食ったことはないか」
「美味いってのは聞いてるけれどな」
 久志は少し寂しそうに話した。
「けれどな」
「食ったことはないか」
「一度食ってみたいな」
「俺もだ、だがあちらの世界では兎も角だ」
「こちらの世界ではな」
「非常に高価なものだ」
 熊の掌はとだ、英雄は肉を食べつつ述べた。
「中華料理でも三大珍味の一つだ」
「だから滅茶苦茶高いしな」
「しかも熊は絶滅も心配されている」
「羆なんか特にそうだな」
「だからだ」
 そうした事情でというのだ。
「どうしてもだ」
「そうそうは食えないな」
「あれはな、だからな」
「滅多に食えないな」
「そうだ、だが熊野肉の味自体はだな」
「俺も知ってるさ、あっちの世界じゃ時々食ってる。掌もな」
 今話しているそちらもというのだ。
「食ってるさ」
「そうか、それは何よりだ」
「それでお前は奥羽も手中に収めたか」
「今話した通りな」
 肉をおかずにご飯を食べつつ答えた、肉の味が実によくご飯のおかずになっている。
「そうした」
「それは何よりだな」
「後は蝦夷だ」
「あそこだけか」
「俺の方はな、それでお前の方は」
「今から話すな、連合王国を降してな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「後は北の半島だな」
「あと連合王国の北の島だ」
「全てバイキング達の国だな」
「国っていうかな」
 久志は味噌汁を飲んでから答えた。
「あれだな、部族の寄り合い所帯だ」
「そうだったか」
「それでそこにな」
「攻め入ったか」
「ああ、実はこれまで話してなかったけれどな」
 久志は英雄に苦い顔で話した。 
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