数合わせだけだったのに
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第二章
メイクをして髪の毛も整えてコスプレをした広美が会場に出ると。
「何だあの娘」
「滅茶苦茶可愛いぞ」
「しのぶは只でさえ良キャラだっていうのに」
「あんな可愛い娘がやったら無敵だろ」
「今回一番だぞ」
誰もが広美に注目した、完全に置いてけぼりになった香菜達は目が点になってそのうえでこう言うばかりだった。
「数合わせどころか」
「主役になったわね」
「いや、まさかあんな超絶美少女だったとか」
「夢にも思わなかったわ」
「そうね、いやこれは凄いわ」
香菜は目が点になったまま言った。
「私達は恐ろしい逸材を呼んでしまった様ね」
「そうね」
「裏方で地味と思ったら」
「これがね」
「逸材だったわね」
「丁度部活メインヒロインの娘が足りなかったし」
香菜はこのことも話した。
「先生に話してみる?」
「それがいいわね」
「あの娘なら多少大根でもいけるわ」
「あの外見ならね」
一緒にいる面々も頷いてだった。
コミケで注目された広美は今度は部活のメインヒロイン担当の一人になった、香菜も他の部員達も特に嫉妬深くなかったので。
広美は意地悪をされることもなくメインヒロイン役として学園でも評判になった、広美はこのことが信じられなかったが。
寮で眼鏡をコンタクトにしてナチュラルメイクと髪の毛をすくことも香菜に言われていつもする様にした整った外見で言った。
「何かコミケの時から」
「変わったわね、いや私も驚いてるわ」
香菜は寮の自分達の部屋で広美に話した。
「鮎川さん実は超絶美少女だったのよ」
「子供の頃からブスって言われてたんですが」
「それはファッションが地味だったからよ」
「だからですか」
「宝石も紙に包んでたらわからないわよ」
こう広美に言うのだった、今二人は制服姿だが広美はやはり香菜に言われてスカートの丈を短くして細かいところを整えている、すると余計に奇麗に見えている。
「だからよ」
「ブスって言われてたんですか」
「そうよ、けれど鮎川さん凄く奇麗だから」
広美ににこりとして話した。
「これからは外見に自信を持っていいわ」
「そうですか」
「裏方のお仕事も真面目に続けてるし」
広美のこのことも話した。
「いいと思うわ。これからも宜しくね」
「こちらこそ」
「その謙虚さもいいわ。ただね」
香菜はにこりとしたままこうも言った。
「演技は大根だからそこは勉強してね」
「は、はい」
広美はそちらの話には恐縮して応えた、そして演技の勉強も励もうと決意するのだった。香菜はそんな彼女を見て今もにこりとしていた。
数合わせだけだったのに 完
2022・1・23
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