ドリトル先生とめでたい幽霊
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第二幕その三
「ここのカレーはね」
「昔からこうなんだよね」
王子も言ってきました、その昔ながらの造りのお店の中で織田作之助さんの写真や由来の言葉が書かれているお店の中で、です。
他のお客さんはカレーを食べています、王子はその姿も見て言います。
「戦争前から」
「まさに織田作之助さんの頃からね」
「そうだよね」
「その昔ながらの味をね」
「今から食べようね」
「そしてね」
先生はさらに言いました。
「今日はここからね」
「さらにだね」
「いづも屋にも行って」
鰻丼のそちらにもというのです。
「鰻も食べてね」
「そしてだね」
「善哉もね」
こちらもというのです。
「食べようね」
「食べることがだね」
「そしてお店とお店の間を歩いていくこともね」
このこともというのです。
「今回の目的だよ」
「フィールドワークだね」
「そうなんだ」
「先生いつも言ってるわね」
ガブガブが言ってきました。
「学問は本を読むだけじゃないって」
「歩くことも学問だってね」
ホワイティも言います。
「いつも言ってるね」
「現場に足を運んでその目で見る」
「フィールドワークも大事だって」
チープサイドの家族もお話します。
「いつもそう言って」
「実際にそうしてるからね」
「本を読むだけでは不十分だってね」
老馬も言います。
「そう言ってそうしてるね」
「そして今回もなのね」
ポリネシアも言います。
「難波を歩いて回るのね」
「織田作之助さんが実際に歩いた場所だね」
ジップはこの人のことを思うのでした。
「お店とお店の間を」
「作品にも出て来たんだよね」
トートーは先生に尋ねました。
「そうだったね」
「夫婦善哉でね」
まさにその作品でとです、チーチーは言いました。
「そうだね」
「あの頃と今じゃ街も全く変わってるね」
「戦争前だっていうしね」
オシツオサレツはここでも二つの頭で言いました。
「それじゃあね」
「全然違うね」
「それでもこのお店に織田作之助さんがいて」
ダブダブはお店の中を見回して言うのでした。
「あのカレーを食べていたんだね」
「そうだよ、そして今宮という場所もね」
この場所もというのです。
「作品で書かれているよ」
「確か南海線で新今宮ってあったね」
「その駅がね」
「じゃああの辺りかな」
「そうかな」
「うん、世相という作品に出て来たんだ」
こうお話するのでした、ここで。
そのカレー達、皆のそれが来ました。気さくで明るいお店の人達もとても大阪らしい人達と言えます。
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