宝くじに当たって
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第二章
「増えてるわ」
「宝くじに当たる前よりもなんだ」
「そうなってるわ」
「そうなんだ」
「確かに宝くじのことは親しい人にしか話してないけれど」
「僕なんか親戚の誰にも話してないよ」
夫はそうしていた。
「誰かに話したら親戚に強欲で図々しくて働いてない奴がいるからね」
「そういう人がお話を聞いて言うから」
「だからね」
それでというのだ。
「言ってないよ」
「そうよね」
「そうしているけれど」
「誰にも言ってなくても」
それでもというのだ。
「生活に出るんだね」
「物腰にもね」
「お金が沢山ある」
「それだけでね」
例え言わなくて隠していてもだ。
「自然とね」
「出るんだね」
「そうね、無駄遣いはしないつもりでも」
「自然とだね」
「そうみたいね」
夫婦でこのことを話した、そして理恵は姉にその話をすると。
姉もだ、こう言った。
「そうよ、お金があったらね」
「それならなの」
「隠していてもね」
「無駄遣いをしない様に気をつけていても」
「自然とね」
無意識のうちにというのだ。
「態度にね」
「余裕が出て来るのね」
「そう、それで食べるものとか買う本も」
「レベルが上がって」
「増えるのよ」
「そうなるのね」
「そうよ、私だってそうだったし」
姉は妹に自分もと話した、今も二人は居酒屋の個室で話している。
「普通にね」
「お金が出来たら」
「食べるものもよくなってね」
「余裕が出て来たの」
「周りから言われたわ」
「お姉ちゃんもなのね」
「それがお金よ、あるとね」
ただそれだけでというのだ。
「色々影響するのよ」
「そうしたものなのね」
「そうよ、だから面白くもあるし」
「面白いの」
「人間が微妙に変わるからね」
持っている金の大小でというのだ。
「そこも見られるしね、まあそれでも意識しておくことはいいわ」
「節約していこうって」
「そして持っていることを誰にも言わないことは」
このことはというのだ。
「いいわ、だからね」
「それでなのね」
「あんたもこれからもね」
「誰にも言わないで節約しておくことね」
「そうしたらいいわ、ただどうしても出るけれどね」
持っているということそしてそこからの余裕はというのだ。
「それでもそうしていったらいいわ」
「わかったわ、そうしていくわね」
理恵は姉の言葉に笑顔で頷いた、そして酒を飲むがその酒は普通のビールではなくプレミアムだった、居酒屋で飲んでも少しランクがアップしていた。持っているという気持ちと余裕がそこでも出ていた。
宝くじに当たって 完
2022・1・22
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