ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第53話
前書き
未来トランクスと未来悟飯との再会。
未来のアルティメット悟飯の修行相手を務めるために必死に頑張った未来トランクス。
悟林は瞬間移動で戻ってきた悟空から仙豆を受け取ると未来悟飯と未来トランクスに食べさせると2人の弱々しかった気が全快し、2人が目を開ける。
「大丈夫?2人共?」
「ご、悟林…さん…?」
「お、俺達は…死んでしまったのか?」
「大丈夫だ。おめえ達は死んでねえよ、悟林はちょっと前に生き返ったんだ」
悟林の姿に信じられないと言う表情を浮かべる2人に悟空が説明しようと前に出た時、2人が起き上がって気を上げて構えた。
「ちょ、ちょっと2人共!!何してるの!止めて!!」
悟空に襲い掛かりそうになっている2人を怒鳴るとハッとなって2人は拳を下ろした。
「す、すみません…悟空さん…」
「いや、良いって…おめえ達何があったんだ?」
「それは…」
「おい、ちょっと待て。確かこのチビもトランクス…悟空のでかい息子も悟飯…だったな…お前ら、ベジータと悟空の息子の未来だな」
未来悟飯が説明しようとした時、ビルスが割り込んだ。
「は、はい…あなたは?」
「これは驚きましたね、時間を弄るとは…人間が良くそんな装置を作れましたね」
「未来のブルマさんが作ったんだよ。ところでトランクスさん、悟飯…どうしたの?まさか、魔人ブウ?」
後ろでブルマとビルスとウイスが何やら言っているが気にせずに会話を続ける悟林達。
「いえ、魔人ブウは俺と悟飯さんが倒しました」
「へえ、流石は未来の私の弟子と弟だね。修行は続けていたようで何よりだよ」
未来トランクスと未来悟飯の気は変身していない自分達とほぼ同等だ。
ウイスの修行も受けていないのにこれだけ強くなったことは素直に感心する。
「え?え?」
「トランクス君には後で説明してあげるね。トランクス君、悟天を連れて来てくれない?後、お母さんも」
「え?う、うん…」
トランクスは何が何だか分からない表情を浮かべながら言われた通りにパオズ山に向かった。
「悟飯、老界王神様から力を引き出してもらったね?」
「ああ、老界王神様に力を引き出してもらってブウを倒したんだけど…この力があっても奴には勝てなかった」
「…潜在能力を引き出した貴様が勝てないとは余程の相手のようだな」
未来悟飯が潜在能力を解放すれば神のオーラを纏わない悟林の潜在能力を解放した時とほとんど同じはずだ。
この時代の悟飯と違って修行を続けている未来悟飯が勝てないなどよっぽどだろう。
「はい、そいつは正義のために地球人を全滅させると言っていました…既にいくつかの星やそこの人間を滅ぼしてきたと…俺とトランクスも1年闘って来ましたが、もうほとんど人間は残っていません…母さんもブルマさんも…殺されて…!」
「チチもか…!?」
「え!あ…あたしも殺されたの!?」
未来のチチやブルマも殺されてしまったことに悟空とこの時代のブルマが驚愕する。
「おい!そのふざけた野郎はどこのどいつだ…!」
未来とは言えブルマを殺されたことに怒るベジータが未来トランクスに尋ねる。
「それは…悟空さん…」
「え?お父さん?」
「あ、いえ…悟空さんにそっくりな奴なんです」
「え!?」
敵は悟空にそっくりな人物と聞いてブルマだけでなく全員驚く。
「ま…マジか!?」
「どういうことだそれは!」
未来世界の悟空はとっくの昔に心臓病で死んでしまっているのだから存在するはずがない。
「未来の世界のお父さんは昔ナメック星から帰ってすぐに心臓病になって死んだんでしょ?」
その後、悲劇が繰り返されて未来悟飯と未来トランクスしか闘える戦士がいなくなり、ブルマがタイムマシンを作ってこの2人が過去に来たのだ。
「ああ、でも見た目は似ていても父さんとは全く違う冷酷で残忍な奴なんだ」
「なるほどね、だからお父さんを見て襲い掛かろうとしてきたってわけね…ところでそいつの名前は?」
「悟空さんの偽者なのでゴクウブラックと母さんが呼んでました」
「ふーん、元々ブルマさんのセンスは怪しかったし、下手したら壊滅的なブルマさんにしてはマシなネーミングセンスだよね」
「はあ!?」
「「ああ」」
「どういう意味よあんた達!?」
悟林の暴言にブルマは激怒するが、悟空とベジータも思わず同意してしまう。
しかしブルマにはグレートサイヤマンと言う前科があるので、センスに関しては悟飯同様かなり怪しいのは大半の人間が同意するだろう。
見た目に拘らない悟空でさえグレートサイヤマンに引く時点でお察しだが。
「とにかく!そいつを倒してあげるよ、タイムマシンに乗せてくれる!?」
「ほ、本当ですか!…あ…す、すみません悟林さん…実は戻れないんです…」
「…どういうこと?タイムマシン壊れたの?」
「いや、姉さん。もっと単純なことさ、燃料がないんだ。未来ではタイムマシンの片道分のエネルギーしか手に入れられなかった…」
「ならお前達は何のために過去に戻ってきたんだ」
片道分しかないのなら、未来に戻ることも出来ない。
何のためにタイムマシンでわざわざ過去に戻ってきたのか。
「母さん達は俺達が生き残ることで希望が繋がると…でも結局この世界に逃げてくることしか出来なかった」
「逃げてきただと!?仇を討ちたいとは思わんのか!!」
「ベジータさん、少し黙って」
「何だと!?」
「悟飯とトランクスさんはたった2人だけで頑張ってきたんじゃない。少しは労ろうって気はないわけ?私達みたいに闘いが好きじゃないんだよこの2人は、それくらい分からない?」
「す、すまん…」
静かに怒る悟林に謝罪するベジータ。
「よろしい、ところでトランクスさん。タイムマシン自体が壊れたんじゃないんでしょ?燃料さえあれば動かせる?」
「あ、はい。恐らくは」
「よし、この時代で燃料を補給しよう。タイムマシンの燃料って何なのか分かる?」
「青の15号電気液です」
「青の15号電気液!うちで開発中のエネルギーじゃない!大変よ~、全てのマシンで抽出してもあのマシンのタンクから想像して丸1日はかかりそう」
「1日!?そんなに早いんですか…向こうの世界では半分抽出するのに1年近くかかっていました。」
元々未来トランクス達の世界は人造人間に荒らされ、その上で悟空の偽者が現れたので余計にエネルギーの抽出に時間がかかったのだろう。
「よし!なら私とベジータさんとお父さんが未来に乗り込んでお父さんの偽者をぶっ潰してやる!!」
「勝手に頭数に入れられてるわね…で、ベジータと孫君…行くの?」
「当然だ、カカロットに似ている奴なら全力で叩きのめせそうだ。」
「オラも行くぞ。チチの仇も取ってやるさ」
悟空は殺された未来のチチの仇も含めて未来へ行くつもりのようだ。
ベジータも口ではああは言っているが、恐らくは未来のブルマのためでもあるのだろう。
「で、ですが…あいつは本当にとんでもない強さなんです。老界王神様に力を引き出してもらった悟飯さんでも敵わないんです!」
「うーん、トランクスさん。私と手合わせしてもらえる?私達の力を見せるよ」
そして悟林と未来トランクスが向かい合う。
思えば未来トランクスと手合わせするのは初めて会った時以来だ。
「…そう言えば昔もこうやって手合わせしたよね、覚えてる?」
「はい、覚えていますよ…あの時はまさかこんなことになるとは思いませんでしたが」
「そうだね、行くよ!はあっ!!」
「はい!はあっ!!」
一気に気を高めて久しぶりに超サイヤ人3へと変身する悟林に対して未来トランクスは超サイヤ人2に変身してその状態で超サイヤ人3並みのパワーにまで持っていく。
「…ベジータさんと同じことを…流石親子だね…最初から飛ばしていくよ!!」
「はい、全力で行きますよ!悟林さん!!」
悟林が一気に未来トランクスとの距離を詰めて連続で殴りかかる。
そんな悟林の拳を未来トランクスは全て捌いてみせ、逆に悟林の顎を蹴り上げて上空に打ち上げる。
「くっ!」
「悟林さん!同じ超サイヤ人3でも界王神界で再会した俺の師匠の悟林さんはもっと強かったです!もっと全力で来て下さい!!」
「なるほど!未来の私に負けてられないね!!」
手のひらに気を集中させると未来トランクスの剣擊を全て弾いていく。
激しい闘いになってきたところでチチと悟天、そしてトランクスが到着した。
「悟飯!」
「か、母さん…」
未来悟飯に駆け寄るチチ。
悟天は不思議そうな表情を浮かべて未来悟飯を見つめていた。
「トランクスの奴、相当腕を上げたみてえだな。超サイヤ人2で悟林の超サイヤ人3と互角に渡り合うなんてよ」
「俺の息子ならあれくらい出来て当然だ」
「す…凄え、未来の俺…」
超サイヤ人2で超サイヤ人3と同等の力を引き出すなど並大抵ではないし、それを実現するのは余程の苦労があっただろう。
「流石だね、正直ここまでとは思わなかったよ」
「セルとの闘いから10年以上経っているんです。魔人ブウとの闘いのこともあって、俺も必死に修行しました!」
「よし、なら見せてあげる。私の潜在能力を!」
気合を入れて潜在能力を解放する。
今回は神のオーラを纏わない通常の究極化だ。
「それは…!悟林さんも老界王神様の儀式を受けたんですね…俺達の世界の悟林さんは受けませんでしたが…」
老界王神と未来悟林の間で色々あったが、そこは言わなかった未来トランクスである。
「ふふ、こっちでは悟飯と一緒にね」
「なるほど、やはり悟林さんも凄い潜在能力です…ですが、俺はそんな凄い潜在能力を持っていた悟飯さんと修行してきたんです!!はあああっ!!」
「っ!!」
更に気合を入れて超サイヤ人2のオーラが肥大化し、スパークが激しく迸る。
一気に潜在能力を解放した悟林と同等のレベルにまでパワーを跳ね上げた未来トランクスに悟林が目を見開く。
「行きますよ…悟林さん!フルパワーで行きます!」
「まさか、ここまでとはね…普通の潜在能力の解放じゃ失礼だったようだね。だったら私は神の領域を見せてあげるよ!!」
通常の状態に戻ると荒ぶった気を静めて戦闘力を神のステージへと移行させる。
「赤髪…?」
「超サイヤ人ゴッド…神の次元の戦闘力に至る変身だよ」
「気は感じられない…でも、何てプレッシャーだ…!凄いですよ、悟林さん!俺の全力…受けて下さい!!」
神の気を感じられない未来トランクスには悟林の戦闘力は分からないが、神化を果たした悟林が自分とは別次元の戦闘力を持っていることは何となく分かった。
「良いよ、私も全力でやるから死なないでよ!」
「だあああっ!!!」
フルパワーの気を乗せた剣で斬りかかる未来トランクスに悟林はそれを指で受け止めると眼力で未来トランクスを吹き飛ばし、そして追撃の蹴りを叩き込んで地面に落とす。
「大丈夫、トランクスさん?」
「だ、大丈夫です…やっぱり凄いですよ。こっちの悟林さんも」
「トランクスさんもね、良くここまで強くなったよね…凄いよ」
「悟林さーん!悟天達呼んできたよー!」
「あ、うん!今そっちに行くよ!!」
トランクスの声に反応した悟林が未来トランクスを起こすと色々話し合うことにした。
トランクスと悟天にはこの2人は別の歴史を歩んできた未来のトランクスと悟飯であることも説明した。
「未来の俺と…未来の悟飯さん!?こっちは物凄く強そう…!」
トランクスは未来悟飯を見てこっちの時代の悟飯を思い出して思わず言ってしまう。
「えっと、この兄ちゃんも悟飯兄ちゃんなの?」
「そうだよ、紹介するよ。この子は悟天、セルを倒してから生まれたお前の弟だよ」
「俺の…弟…そうか、弟か…父さんにそっくりだなぁ…」
「おめえが未来に帰ってから生まれた子だべ…悟空さ達から話は聞いただよ…苦労したみてえだな…」
未来悟飯が悟天の頭を撫でると、チチが辛そうに未来悟飯を見つめる。
幼い頃から人造人間との闘いで仲間を失い、そして姉を失って辛い思いをしてきたのに悟空そっくりの偽者が未来を荒らしていると言うのだ。
一体未来の息子はどれだけ傷付けば良いのだろうか?
「…ええ、でも諦めるわけにはいきませんから…でも俺の弟か…君が生まれてくれただけでも、闘ってきた甲斐があったな…」
「兄ちゃん……」
悟林がトランクスと悟天に分かるように説明する。
この2人が歩んだ歴史では未来悟飯が幼い時に悟空が心臓病で死に、そして人造人間達が現れてピッコロやベジータ達も殺されたこと、そして十数年後に未来悟林まで殺されてしまったことを。
「パパや悟林さん達が…いない世界…」
「何で…何でそっちの18号さんはそんなことしたの!?」
信じられないくらいに酷い世界を生きてきた2人の話を聞いてトランクスと悟天はこっちとのあまりの違いに困惑する。
そしてゴクウブラックと言う悟空の偽者が未来ブルマと未来チチを殺し、更に未来の人々を殺していることを。
「悟空さと同じ顔で何てことをするだ…!」
「ママが…」
「お母さんが…お父さんにそっくりな奴に殺された…!?」
衝撃的な事実にトランクスと悟天は頭がおかしくなりそうになる。
「それにしても、界王神様達は何をしてるんだろうね?あの人なら宇宙規模の大事件を放っておかないと思うけど」
「…界王神様はブラックに殺されたんだ姉さん…あいつと闘った時にそう聞いた」
「何!?本当か!?悟空の息子!」
ブラックによって界王神が殺された。
それを聞いたビルスが会話に割り込んできた。
「え、ええ…」
「あ、あいつ…何あっさりと殺されてるんだ…!」
「何と…まぁ…」
「えーっと、ウイスさん。一体どうしたのビルス様?」
別に仲良しと言う訳でもないのに何故ビルスはこんなに怒っているのだろうか?
「界王神様と破壊神様はセットなんです。界王神様が死ねば破壊神も死んでしまう。そう言った関係なんですよ…恐らく、悟飯さん達の世界の破壊神は…もう存在しないのでしょう。」
未来悟飯達の世界の界王神が殺されたことでビルスも死んでしまっている。
つまり今は誰もブラックを止めることが出来ないと言うことだ。
「……ビルス様と界王神様がそんな関係だったなんて……あれ?あの、ビルス様…界王神様と破壊神様の関係って当たり前のことなんだよね?」
「当たり前だ!界王神なら知ってて当然のことだ!」
「当然……あれ、でもあの人ってバビディの件で死にかけてなかったっけ」
「何ぃっ!?どういうことだ!?」
取り敢えずブウのことを上手く隠しながら界王神が死にかけたことを言うとビルスは怒りに震える。
「あ、あいつ…何やってるんだ…弱虫の癖に…!」
「なあ、ビルス様…もしかして界王神様、ビルス様と命が繋がってるの知らねえんじゃねえか?」
悟空が最悪の予想を言う。
普通ならあり得ないと一蹴するところだが…。
「あり得るな…だから、あいつはわざわざ自分から危険な場所に飛び込んだんだろうぜ」
「なん…だ…と…っ!?」
ベジータも同意したことでビルスは自分の命がギリギリのところだったことを知らされて絶句する。
するとビルスの体から禍々しいオーラが迸るのであった。
「ウイス」
「はい」
「今すぐ……今すぐ…あのバ界王神を呼んでこい…!」
「はい、ただいま」
ぶちギレているビルスを見て悟林達はゆっくりとビルスを刺激しないように距離を取るのであった。
ページ上へ戻る