ハッピークローバー
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第十話 性欲は誰にもその十
「残りものを使った」
「お野菜の」
「そう、それが凄く美味しいってね」
「話題になったんですか」
「西太后が聞いてね」
清代末期にこの国に君臨した人物である、漢の呂后や唐の則天武后と並んで中国三大悪女と言われている。
「そしてね」
「食べてみたんですか」
「あの人は美食家でもあったから」
その贅沢さでも知られていた、服や靴もかなりのものだった。
「それで食べてみて美味しくて」
「広まったんですか」
「その時適当なまかないで名前もなかったけれど」
それでもというのだ。
「色々な食材が使われていて美味しかったから」
「それで、ですか」
「八宝菜になったのよ」
「そうだったんですね」
「八は様々、色々なって意味で」
「八だとですか」
「中国で八って数字にはそうした意味もあって」
ただ数えるだけでなくというのだ。
「それで八宝菜になったのよ」
「だからありあわせを使って作ってもですか」
「いいのよ、カレーだってそうして作られるわね」
「はい」
その通りだとだ、かな恵は先生に答えた。
「あるもので」
「そうでしょ」
「もうそれこそ」
まさにというのだ。
「あるもので」
「何なら大根でも入れられるわね」
日本の野菜のイメージが強くインド料理の代表の様に言われているカレーには合わないと思われるがというのだ。
「そうよね」
「確かにそうですね」
「だからね」
それでというのだ。
「カレーもね」
「あるものを使ってですか」
「いいのよ、ルーで煮たら」
「それで、ですか」
「何でもカレーになるから」
だからだというのだ。
「いいのよ、お料理はあるものを全部使う」
「それでいいんですね」
「最初から何を作るか決めて食材用意して作る場合もあれば」
それだけでなくというのだ。
「ありあわせでね」
「作る場合もあって」
「その時にどう作るか」
「それも大事なんですね」
「八宝菜にしてもそうだから」
「だからですか」
「いいのよ」
こうかな恵に話した。
「それじゃあ鈴木さんはこれからもね」
「あるもので、ですね」
「八宝菜作っていったらいいわ」
「そうなんですね」
「野菜炒めでもね」
「じゃあそうしていきます」
「それもお料理だからね、そんなね」
先生はこうも言った。
「いつも決めたもの買って作るってお家だとないでしょ」
「やっぱりありあわせで」
「作る時があるわね」
「どうしても」
「そこで何を作るか」
「それも大事ですね」
「あまりものを無駄に捨てるのはよくないわ」
先生はこのことは確かな声で言った。
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