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第十話 性欲は誰にもその九

「兎に角ね、私達の合コンはね」
「ええ、男の子とで」
「工業科のね」
「皆成海っちのお友達で」
「大人しい子達らしいわね」
「だからね」
 それでとだ、かな恵は四人に話した。
「安心して行こう、カラオケボックスで飲んで食べて」
「そうしながらね」
「楽しくね」
「男の子とお話をして」
「楽しくやって」
「彼氏ゲットしてね」
 是非にというのだ。
「そうしていこうね」
「よし、じゃあね」
「合コン頑張ろう」
「安心してね」
「楽しみながら」
「それで合わないと思ったら」
 相手と、というのだ。
「お断りよ」
「そうすればいいわね」
「そう思ったらね」
「合うと思えばで」
「そうじゃなかったら」
 それならというのだ。
「今言った通りでね」
「お断りね」
「残念ですがってことで」
「いいのね」
「それでまたね」
 次の機会にというのだ。
「そうすればいいのよ」
「そういうことね」
「まあ相当おかしな子でなかったら」
「いいわね」
「うん、じゃあ合コンにね」
「その日が来たら」
「皆お洒落して来てね」
 こう言ってだった。
 かな恵は四人にその合コンのことを詳しく話した、そうしてそのうえでこの時は終わった。そうしてだった。
 学校の授業が終わると部活に出た、部活でこの日は八宝菜を作ったが。
 その出来栄えを見てだ、顧問の初老の女性の先生が言ってきた。
「鈴木さん上手ね」
「そうですか?」
「八宝菜作ったことあるの?」
「はい、お家で」
 かな恵は先生に正直に答えた。
「お母さんと一緒に。あと自分だけで作ったことも」
「あるのね」
「お父さんもお母さんもいなくて」
 父は仕事母はパートで休日家に弟と二人しかいない時もあってだ。
「冷蔵庫にあったお野菜で」
「作ったのね」
「適当に。野菜炒めの時もありますけれど」
「八宝菜も作ったことがあるのね」
「とろ味を出せたら」
 それならというのだ。
「作ってます」
「そうなのね」
「お野菜は適当にあるものですか」
「それでいいのよ」
 先生は申し訳なさそうに言うかな恵にこう返した。
「正規の食材じゃなくて申し訳ないとかはね」
「ないですか」
「ええ、八宝菜はね。野菜炒めもそうだけれど」
「ありあわせでいいんですか」
「元々は清の宮廷のまかないだったのよ」
「まかないだったんですね」
「一説にはね」
 こうかな恵に話した。 
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