イベリス
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第三十七話 完成させることの大切さその十二
「お師匠さんの亡骸見て泣いたり」
「吉田松陰さんね」
「もう人生色々で」
「面白い人なの」
「衣食住にこだわらなかったし」
こちらもというのだ。
「それで下関で河豚ご馳走になって美味かったから河豚解禁したり」
「伊藤博文さんから河豚食べられる様になったの」
「そうなのよ」
「そのことも面白いわね」
「兎に角愉快痛快な人で私好きよ」
「じゃあ伊藤さんが声かけてきたら」
「どうかしらね」
愛は咲のその言葉には笑って返した。
「その時にならないとわからないわ」
「そうなの」
「私お髭は苦手だから」
「じゃあお髭剃ったら」
「わからないわね、けれどあの人が日本にいてね」
「よかったのね」
「能力は折り紙付きで愉快痛快な人だったから」
それでというのだ。
「日本は発展してそれで物語的にもね」
「いいのね」
「ええ、周りの人達も面白いしね」
「ううん、何かそう聞いたら」
咲は愛の話を聞いて言った。
「伊藤博文さんをね」
「描きたくなったかしら」
「ちょっとね」
「じゃあ描いたらいいわ」
愛は笑って答えた。
「調べれば調べる程面白い人だから」
「それでなの」
「女性関係も河豚のお話も政治のお話もね」
「全部面白いの」
「ある王様に呪い殺されそうになって一笑に付したりとか」
「呪いかけられたのに?」
「その王様に実学を学びましょうと言ってね」
このことも史実にある、李氏朝鮮の高宗が彼を怨んで儒学者に命じて呪殺させようとしたのだ。尚儒学者は怪力乱神を語らずで本来は呪術は知らない筈である。
「終わりだったの」
「器の大きさ感じるわ」
咲は正直にこう思った。
「何か」
「そうでしょ」
「その王様と比べても」
「圧倒してるでしょ」
「確かに痛快ね」
「こんな面白い人もね」
「日本の歴史にいるのね」
「坂本龍馬さんも面白いけれど」
それでもというのだ。
「伊藤博文さんもね」
「面白いのね」
「西郷隆盛さんとかと比べて小さいと言われるけれど」
「実は違うのね」
「同じ位面白くて凄いから」
そうした人物だというのだ。
「咲ちゃんが描きたいと思ったらね」
「描くといいのね」
「ええ、調べてね」
伊藤博文のことをというのだ。
「図書館に行ったら資料もあるし」
「それじゃあ」
「考えてみてね」
「そうするわね」
「面白いと思ったら」
それならというのだ。
「そして描きたいと思ったら」
「描けばいいのね」
「難しく考えないで」
それでというのだ。
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