東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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招かれし者(西村早苗)
西村早苗の冒険①
翌日、(西)は神奈子から許可を得て雪がちらつく妖怪の山を探索していた。
昨夜から降り続いた雪で辺り一面、白銀の世界が広がっている。
守矢神社から続く長い石段を下りていくとやがて石段から登山道のような道に変わり、やがて轟轟《ごうごう》と水の落ちる音が聞こえてきた。
西(滝でもあるっちゃろうか?)
音のする方へ行くと、落差30m以上はあろうかと思われる巨大な滝があった。滝壺周辺は水飛沫で何も見えない。(西)はこれほどまでに壮大な滝を今まで見たことがなかった。
思わず滝に見とれていると不意に後ろから声をかけられた。
?「もしもし」
(西):Σ(゜∀゜;ノ)ノ
振り向くと山伏のような衣装を着て、大きな剣と紅葉の絵が入った盾を持った犬耳の少女が立っていた。
椛「突然すみません、私は哨戒天狗の犬走椛《いぬばしり‐もみじ》と申す者です。貴女はここで何をされているのですか?この辺りでは見かけない顔ですが…」
(西)は今までの経緯を椛に話した。
椛「守矢の方でしたか、これは失礼いたしました。お詫びといってはなんですが、ぜひ私どもの詰所で休まれていって下さい」
(西)は椛に案内されて滝の裏にある哨戒天狗の詰所に入っていった。
椛「犬走椛、ただいま戻りました。それと文先輩、ご来客です」
椛は詰所の一角で新聞を作成していた鴉天狗の新聞記者・射命丸文《しゃめいまる‐あや》に来客を告げる。
ちなみに椛は白狼天狗で、鴉天狗の文より格下だった。
(西)「初めまして。私は昨日、外界から来ました西村早苗と申します。よろしくお願いします」
文「あややや、これは久しぶりにスクープの予感がしますねえ!私は射命丸文です。“文々。新聞”という新聞を発行しています。よろしくお願いしますね。それで早速ですが早苗さん、取材をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
(西)「はい、喜んで!」
このあと、(西)は小一時間ほど文から取材を受けた。
ー
ーー
ーーー
文は取材で仕入れた情報を基に号外を作成した。号外には「幻想郷に外界人あらわる」の見出しが踊っている。
そして(西)に号外の一つを記念に渡すと『ゆっくりしていって下さいね』と言い残し、どこかへ飛び立っていった。
(西)「椛さん、文さんはいつもあんな感じなんですか?」
椛「はい。情報《ネタ》が入ればいつでも取材に行って新聞を作ってますよ。ただ、文先輩は信憑性のある情報じゃないと記事にはしないみたいです。つい200年ほど前までは嘘八百の記事ばかりでそれで一度顧客を失いましたからね。それが思った以上に堪えたのではないかと」
(西)「つい200年ほど前って…。失礼ですが文さんはおいくつなんですか?」
椛「(スキマ送り)歳で、ちなみに私は(スキマ送り)歳です。これでも天狗としてはまだ若いほうなんですよ?」
西(人間とスケールが違いすぎるばい…。)
(西)は妖怪のすごさを改めて感じた。
(西)「それじゃ、そろそろお暇《いとま》しますね。長居しすぎてもあれやし」
椛「いやいや、私は一向に構いませんよ?」
(西)「それはありがたいとですが、これからさらに山を探索しようと思っているので…。すみません」
椛「そうですか…。またいつでもお越しください。お待ちしています」
(西)「ええ、ありがとうございました!」
ーーー(西)はさらに山を下って行った。
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