東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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招かれし者(松上敏久)
帰還!・・・からの?
敏久「隊長、ただいま帰還いたしました!」
姿勢を正してビシッと敬礼。空気を読んだのか霊夢も「うむ、ご苦労!」と敬礼を返してくれた。
無視されなくて良かったなwww
霊夢「それで素敵な出会いはあった?」
敏久「ああ。じっくり聞かせてやるよ」
ー
ーー
ーーー
敏久は霊夢にチルノたちと雪合戦をしたことやプリズムリバー三姉妹に会ったことを話した。
霊夢「へえ、だいぶ幻想郷《ここ》に馴染めてきたみたいね」
敏久「そうだな」
霊夢「そういや、アンタが留守の間に慧音と山羊……じゃない、小泉さんが訪ねて来たわよ」
敏久「小泉さん?」
霊夢が来訪者から預かっていた名刺を渡した。
敏久「ええと、“八百屋『八百長』店主(元 日本政府第87・88・89代内閣総理大臣) 小泉純一”。……ああ、あの人か!」
霊夢「知ってんの?」
敏久「知っているもなにも、外界じゃかなり有名なお方だで。何年か前に行方不明になって大騒ぎになったが、まさか幻想郷にいらしたとはな…」
霊夢「その山羊《やぎ》さんが『松上君の引越し祝いです』って紅白饅頭をくれたのよ。あ、山羊さんってのは小泉さんの愛称ね。顔が山羊に似てるから私がつけたの」
敏久「なるほど、言い得て妙だな」
霊夢「お饅頭どうする?いま食べるならお茶を淹れてくるけど…」
敏久「いや、食後にいただこう」
霊夢「そう。ちなみにもう夕食の準備はできてるわ。今日は鍋焼きうどんよ」
敏久「いいねえ、冬はそういう料理が一番だな!」
二人向かい合い、黙々と鍋焼きうどんを食べる。
しばらくして敏久は霊夢がずっとこちらを見ていることに気づいた。
敏久「どうした?」
霊夢「え?いや、その…。美味しいかなと思って」
敏久「ああ、美味いで。霊夢は料理も上手くて家事も何でもできるし、おまけに美人。本当にいい嫁さんになると思うがなあ」
敏久がそう言うと霊夢の顔がみるみるうちに赤くなった。
霊夢「へ、変なこと言わないでよ…/// よくもまあ、そんな恥ずかしいことが堂々と言えるわね」
敏久「ただ思ったことを言っただけだ」
霊夢「敏久は良くも悪くも素直なのね」
敏久「まあな」
霊夢「ああ、そうそう。慧音と山羊さんが来たとき紫も来たのよ。来たというより乱入に近かったけど…。『敏久に用があるからここで待つわ』とか言ってたくせにいつの間にか帰っちゃったのよ。もしかしたら後でまた来るかもしれないわ」
敏久「それじゃあ待っていようか」
片付けを終えて居間に戻り、霊夢ととりとめもない話しをしながら紫を待つ。しかし紫は来ない。交代で風呂に入ってきたがそれでもまだ来ない。
そうこうしているうちに夜も更け、時刻は23時を回っていた。
敏久「流石にもう来ねえだろうよ…。眠くなってきたしそろそろ寝ようぜ」
霊夢「そうね。まさに骨折り損のくたびれ儲けだったわ…」
敏久はやれやれといった感じで、霊夢は心の中で紫に抗議しつつ、それぞれの夜を迎えた。
ー
ーー
ーーー
翌日。
敏久が目覚めるとすでに太陽が昇っていた。
霊夢を起こすため霊夢の部屋に行く。襖を開けると霊夢はまだ寝ていた。
敏久「おい霊夢、朝だぞ」
霊夢「うーん…」
霊夢が呼び掛けに反応した。敏久が霊夢に近づこうとしたそのときだった。
敏久は「誰か」に背中を押された。敏久はバランスを崩し、みごと霊夢の布団の上にダイブ。結果、布団越しではあるが敏久が霊夢に覆い被さる形となった。
霊夢「あっ、え⁉︎ ちょちょ、ちょっと…///」
霊夢がボッと赤面する。その速さは瞬間湯沸し器を思わせた。
敏久「…霊夢、可愛いよ」
霊夢「やだぁ、そんなこと言わないでぇ…//////」
思わず出た敏久の言葉に、霊夢はますます赤くなった顔を両手で隠していやいやをする。
どこか桃色の空気が漂うなか、「誰か」の声が聞こえた。
?「あらあら、朝からお盛んだこと」
中空に「スキマ」と呼ばれる空間が突如現れる。スキマからは数多の目がこちらを覗いていて非常に気味が悪い。
そしてその薄気味悪い空間から洋傘を持ち、前掛けがついた特徴的な服を着た金髪の女性が出てきた。
八雲紫《やくも‐ゆかり》―――スキマを操る、妖怪の中では最強クラスの妖怪。人呼んで「大妖怪」、またの名を「妖怪の賢者」。
霊夢と共に幻想郷のパワーバランスを担う役割を持つ妖怪の少女(?)にして幻想郷の事実上の管理者。ちなみに敏久を幻想入りさせた張本人である。
紫「作者、クエスチョンマークは余計よ。私は永遠の17歳ですわ」
ーーーはい、そうでした。すみません。
霊夢「……紫、どうせあんたが敏久の背中を押したんでしょ?倒れ方がえらく不自然だったわよ」
紫「ええ。そりゃあ私も若いし、時にはこうしてイタズラしたくもなりますわ」
霊夢「若いって…。そもそも、あんた今いくつーーー」
紫「あら、そんなにスキマ送りにされたいの?」
紫が笑う。
しかしその笑みは妖気と殺気に満ち溢れていた。
霊夢「なんでもないです、ごめんなさい」
紫「ええ。分かればいいのよ、分かればね?」
ーーー流石の霊夢もこれには平謝りするしかなかった。
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