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レーヴァティン

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第二百三十五話 熊を仕留めその七

「そうしてだ」
「今回の任務を受けた者も皆加えて」
「楽しむ、羆は大きい」 
 その身体の大きさの話もした。
「毛皮や骨を除いてもだ」
「まあ三十人は腹一杯食えるな」
 耕平が笑って言ってきた。
「正直言って」
「そうだな」
「大きさがちゃうからな」
「ツキノワグマでもそうだ」
 羆に比べると小さいこの熊にしても大きい、肉の量は内臓まで入れると普通に何人係でも食いきれるものではない。
「まして肉だけではない」
「茸や山菜も入れるしな」
「白菜や葱もな」
「豆腐かて入れるな」
「そうするからな」
「普通に何十人おってな」
「ようやく満腹になる」
 それだけの肉があるというのだ。
「だからな」
「皆招くんやな」
「そうする、そのうえでだ」
「宴をするんやな」
「酒も出す」
 当然という口調での言葉だった。
「それもな」
「そうするな」
「そうだ、宴は酒もなくてはだ」
「宴やないか」
「俺はそう考えている」 
 英雄は自分の考えも述べた。
「だからだ」
「酒もやな」
「当然用意する」 
 そうするというのだ。
「そして皆で飲む」
「そうするな」
「ただ。よく火を入れてな」 
 このことは忘れていなかった。
「やはり」
「虫が怖いからな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「火はよく通してだ」
「喰うな」
「それは忘れない、間違っても刺身にするなぞ」
「そうして食うとかはな」
「しない」
 絶対にというのだ。
「特に内臓はな」
「それがええな、ちなみにそれがしとしては」
 耕平は笑って述べた。
「掌が食いたいな」
「熊掌か」
「それをや」
「あれは美味いのう」 
 当季は熊掌と聞いて笑って言った。
「この世界ではじめて食うたが」
「美味いな」
「熊の肉自体が美味いが」
「掌がな」
「一番や」
 熊の肉の中ではというのだ。
「美味いぜよ」
「そうだな」
「だから皆で食うぜよ。ただ」
「全員でだな」
「少しずつ分けてぜよ」 
 そうしてというのだ。
「食うぜよ」
「あれだけ美味いものはな」
「独り占めしたらぜよ」
 そうしたらというのだ。 
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