英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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ハーケン会戦~大戦~
~ハーケン平原・メンフィル・クロスベル連合軍、ヴァイスラント新生軍側~
「メンフィルの兵共よ!余達の同胞を傷つけたにも関わらず、謝罪すらしない所か余達の国に飽き足らず余達メンフィルの盟友のリベールまで滅ぼそうとするその傲岸不遜なエレボニアに今こそメンフィルの怒りを!そして力を思い知らせる時だ!何人たりとも遅れることは余に許さんぞッ!!」
「イエス・マイロードっ!!」
「第1~第10騎士団並びに第1~第6魔道騎士団、リフィア皇女親衛隊突撃開始!エレボニア帝国軍を蹂躙せよっ!!」
「同じく第1~第4天馬兵団並びに第1~第4鷲獅子兵団、出陣!空から戦友達を援護しますわよっ!!」
「俺達も出陣るぞ!同胞達を守っているエイリーク達の分も纏めてエレボニアに俺達の力を思い知らせてやれっ!!」
「エフラム皇子親衛隊並びにエイリーク皇女親衛隊派遣部隊出陣!何人たりとも、殿下に遅れるなっ!!」
「オオオオオオオオオォォォォォォォォオオオオオオオオオ――――――ッ!!」
「さてと……久しぶりの大戦、楽しませてもらうわよっ!!」
リベール侵攻軍の背後をついたメンフィル・クロスベル連合軍の内メンフィル帝国軍の一部はリフィアの号令に力強く答え、そしてゼルギウスとシグルーン、エフラムとデュッセルの指示によってエレボニア帝国軍へと次々と突撃を開始し、カーリアンも好戦的な笑みを浮かべてエレボニア帝国軍への突撃を開始した。
「全部隊、近接戦闘準備。紡錘陣形にて中央に切り込む。」
「全部隊、近接戦闘準備!紡錘陣形にて中央に切り込む!」
一方その頃、クロスベル帝国軍ではルイーネはゆったりとした物言いに告げ、付き従う副将が反復して檄を飛ばす。
「フフ、ヴァイスさんとギュランドロス様のお陰で生まれ変わったクロスベルを飲み込もうとして痛い目に遭ったにも関わらず、クロスベルどころか世界を掌握しようとするエレボニアのおバカさん達に、その愚かさをその身に刻んであげましょうか?」
「イエス・マム!!」
膨大な殺気を纏って微笑むルイーネの号令に対して力強く答えたクロスベル帝国軍は進軍を開始した。
「そろそろですね……――――――右翼と左翼、ルイーネ様の軍に続きなさい!中央に切り込まれた事で分断されたエレボニア帝国軍を各個撃破する。クロスベルの兵達よ!真の力とはどのようなものであるのか、エレボニアへ叩きつけてやりましょう!」
エルミナは空から戦場を見渡しているかの如く、伝令を次々と飛ばしては軍を手足のように扱い始めた。
「報告しますっ、パティルナ将軍閣下が少数精鋭を引き連れ、敵陣に突貫するとの旨!いかがなさいますか!?」
そこにミレイユが慌てた様子でエルミナに報告した。
「ふふ、いかがも何もない。好きにさせなさい。私の思い描く図面を言葉にして伝えずとも、そのとおり……いえ、それ以上に動いてくれるのがパティルナです。心配など必要ありません。」
想定外の事があった事で慌ててているミレイユに対してエルミナは不敵な笑みを浮かべている。絶対の信頼感。六銃士と呼ばれるに値する絆を目の当たりにしたミレイユは改めて心より敬服の念を示した。
「さぁ~て行こうか軍人さん!わくわくどきどき戦場の旅、あたしと一緒に楽しもうじゃないか!」
「了解しましたァァッ、パティルナ将軍閣下になら、どこまででもついていきますぜ!」
ドラッケンⅡ型に乗り込んで楽しそうな表情を浮かべて号令をかけるパティルナに対して機甲兵に乗り込んだクロスベル帝国軍の軍人の一人もまた楽しそうな笑みを浮かべて意気揚々とした様子で返事をした。
「いい返事だ。あたしはこの戦場で、ヴァイスとギュランドロス様が建国したクロスベルの力をエレボニアだけでなく、ゼムリア大陸に思い知らせるつもりだからね、わかったら気合入れて敵をぶっ殺すんだ!」
「ブッ殺す!パーティルナ、パァーティルナ!!」
熱狂的な掛け声が木霊して相対するエレボニア帝国軍を畏怖させる。刃渡りと厚さが十分にある投擲武器を手にしたパティルナが操るドラッケンとその一団の機甲兵達は、狼の群れと思しき速度で戦場を駆け抜けた。
「んでパティルナ将軍閣下、今日もまたいつもの感じですかい!?」
「いつも通り!作戦とか細かい事はエル姉やお姉様に任せておいて、あたしは直感で戦を切り抜けるっ!あたしの後ろについてこれば絶対に死なないこと、知ってるよね?」
「ハッハ―――ッ、知ってますしだろーと思いましたよ!パティルナ将軍閣下っ、やっぱあなたは最高です!」
「パーティルナ!パーティルナッ!オォォォオオオオ!!」
「あっはははははははっ!いいよいいよ~、最高に楽しくなってきちゃったよ♪………行くぜ野郎共ぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおッ!!」
「オォォォォォォオオオオォォォォォ―――――ッ!!」
敵陣へ真正面からぶつかろうとしている彼女達に恐怖はない。練り上げた独特の興奮に身を任せて、何者も寄せ付けぬ突貫をかまし、エレボニア帝国軍を吹き飛ばし始めた。
「ハハ、メンフィルもそうですがクロスベルも始まったばかりだというのに、凄い飛ばしようですな。」
メンフィル帝国軍やクロスベル帝国軍の様子を見たヘクトルの操縦席で待機しているウォレス准将は通信でそれぞれのシュピーゲルに乗り込んで待機しているオーレリア将軍とゼクス将軍に話しかけた。
「フフ、あれ程の熱気、我々も見習うべきですな、師よ?」
「やれやれ……”主”ができた事で少しは落ち着くと思ったが、相変わらずのじゃじゃ馬ぶりだな……だが、かつては”大陸最強”の異名で呼ばれていたエレボニア帝国軍の軍人の一人として……エレボニアの”誇り”を取り戻す為……そして何よりもアルノール皇家の方々の為に反逆者となった者の一人としてお主のその意見には賛同する。」
一方不敵な笑みを浮かべたオーレリア将軍の言葉に対してゼクス将軍は呆れた表情で溜息を吐いた後決意の表情を浮かべた。
「「―――――貴様らに尋ねるっ!貴様らは何者だ!?」」
「ヴァイスラント新生軍であります、両将軍閣下っ!!」
そしてオーレリア将軍とゼクス将軍は互いに視線を交わして頷いた後ヴァイスラント新生軍の士気を更に高めるためにそれぞれがの機体をヴァイスラント新生軍へと振り向かせて叫び、オーレリア将軍とゼクス将軍の叫びに対してヴァイスラント新生軍は怒鳴り返した。
「内戦とこの戦争で失ったエレボニアの”誇り”を取り戻すのはどこにいる!!」
「ヴァイスラント新生軍であります、ゼクス将軍閣下っ!!」
「貴様らの命は誰のものだっ!?」
「アルフィン皇女殿下とミルディーヌ公女殿下であります、オーレリア将軍閣下っ!!」
「「ならば私達に続け!皇女殿下への償いの騎士達にしてエレボニアの”誇り”を取り戻す騎士達!ヴァイスラント新生軍、突撃!!」」
「おおおおおおっっ――――――!!!」
オーレリア将軍とゼクス将軍の号令に対して雄叫びを上げたヴァイスラント新生軍は進撃を開始した。
~ハーケン平原・リベール王国軍、メンフィル帝国軍側~
「全騎士団、”一斉突撃の陣”で敵陣に切り込め!全重騎士団は”応撃の構え”にて迎撃態勢を取れ!全竜騎士団は”鉄壁の備え”で進軍せよ!」
「全弓兵団、”灰塵射撃の陣”で味方を援護せよ!雷光魔道団と煉獄魔道団は敵軍の機甲兵や戦車を優先的に狙え!氷結魔道団と大地魔道団は敵兵の足を止める事を優先せよ!ジスト!お前達は敵陣を攪乱せよ!」
「あいよ!――――――聞いたな、お前達!ヒーニアス皇子親衛隊は今から敵陣を攪乱する!行くぜっ!!」
「第1~第5天馬騎士団並びに第1~第5鷲獅子騎士団は空から敵陣に突撃する地上の騎士達と並行する形で突撃!残りの天馬騎士団並びに鷲獅子騎士団は迎撃態勢を取る重騎士団の援護!全歩兵団は”応撃の備え”で進軍しなさい!シレーネ、貴女達はお兄様の親衛隊と共に敵陣を攪乱して!」
「ハッ!ターナ皇女親衛隊、これよりヒーニアス皇子親衛隊と共に敵陣を攪乱しなさい!」
「オオオオオオオオオォォォォォォォォオオオオオオオオオ――――――ッ!!」
「イエス・マム(サー)!!」
一方王国軍側で迎撃態勢を取っているメンフィル帝国軍はサフィナを始めとしたメンフィル帝国の皇族や親衛隊を率いる将軍の指示によって動き始め
「第9~18部隊はメンフィル帝国軍の迎撃部隊と協力して迎撃態勢を取れ!第1~第8部隊は突撃するメンフィル帝国軍と共に突入!一人たりともハーケン門に近づけるなっ!!」
「イエス・サー!!」
王国軍も王国軍の将の指示によってそれぞれ動き始めた。
~カレイジャス・ブリッジ~
「ついに始まってしまったか……」
「”大戦”………」
「あのゆるフワの宣言通りの事態になっちまったじゃねぇか、クソッタレ……ッ!」
映像端末で地上の状況を見ていたジンは厳しい表情で呟き、ガイウスは真剣な表情で呟き、アッシュは悔しそうな表情で声を上げた。
「うふふ、メンフィル帝国軍の諜報部隊が事前に手に入れた情報によると今回のリベール侵攻の為のエレボニア帝国軍の総兵力は50万人。――――――対してリベール王国軍並びにメンフィル・クロスベル連合軍、そしてヴァイスラント新生軍の総兵力は75万人よ。」
「な、75万人っ!?」
「リベール侵攻の為のエレボニア帝国軍の1,5倍の兵力を集めるとは……」
「おまけにさっきの”破壊の女神”達による砲撃やロゼ達による”火計”、それにベルフェゴール達や王国軍の空挺部隊の攻撃を受けた時点でエレボニア帝国軍は相当な数の死者を出したでしょうから、リベール侵攻の為の今のエレボニア帝国軍の総兵力は実際はもっと少ないでしょうね。」
「ああ……45万……いや、40万人も残っているかどうかもあやしい所だな……」
レンの説明を聞いたその場にいる全員が血相を変えて驚いている中マキアスは驚きの表情で声を上げ、アルゼイド子爵は真剣な表情で呟き、目を細めたセリーヌの推測に頷いたミュラーは複雑そうな表情で更なる推測をした。
「ちなみにだけど、今回の作戦は念には念を入れてメンフィル帝国軍もそうだけど、ヴァイスラント新生軍も他勢力から戦力を出してもらったり、猟兵団を雇ったりして総兵力の数を更に増やしたのよ?」
「何ぃ……っ!?」
「ヴァイスラント新生軍どころか、まさかメンフィル帝国軍まで猟兵団を雇うとはね……」
「ノーザンブリアの件から察するにメンフィル帝国は猟兵という存在を忌み嫌っているように見えたけど……」
「し、しかもメンフィル・クロスベル連合やヴァイスラント、それにリベール以外の他勢力とは一体……」
レンが口にした更なる驚愕の事実を知ったアガットは信じられない表情で声を上げ、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、シェラザードは複雑そうな表情で呟き、セドリックは困惑の表情を浮かべた。
「うふふ、その他勢力とはね……………………――――――黒月よ♪」
「黒月ですって!?連中はあんた達連合の共和国侵攻の時に滅んだはずよ!?」
「いや……黒月は完全には滅んでいない。」
「それはどういう事だい、ジンさん?確か私達と合流した際、黒月が連合の支配を受け入れず、テロリストとなった旧共和国軍をかばった事で旧共和国軍もろとも連合に滅ぼされたと言っていたが……」
レンの答えを聞いたサラは血相を変えて声を上げている中ジンは静かな表情で答え、ジンの答えが気になったオリヴァルト皇子は真剣な表情で訊ねた。
「確かに旧共和国軍をかばった件で黒月も連合によって纏めて殲滅されたが……それは、黒月の一部の派閥だ。」
「”一部の派閥”という事はまさか黒月とやらには”複数の派閥”が存在しているのか?」
「そうだよ~。情報局の手に入れた情報だと、黒月のトップには複数の”長老”と呼ばれる人達がいて、その”長老”達にはそれぞれ”派閥”があるんだよ~。」
「という事は”旧共和国軍に手を貸さなかった派閥”もあって、その”派閥”はメンフィル・クロスベル連合に恭順したんですか……!?」
ジンの話を聞いてある事に気づいたユーシスの疑問に答えたミリアムの話を聞いてある事を察したマキアスは不安そうな表情である推測をした。
「ええ……とはいっても、メンフィル・クロスベル連合に恭順したのは黒月の本拠地――――――”煌都ラングポート”を拠点とする”長老”の一人の派閥――――――”ルウ家”のみで、他の”長老”の派閥は壊滅状態に追いやられるか、衰退したとの事で旧共和国全土を牛耳る犯罪組織としての力を失ったから、”黒月が滅んだ事”は間違いでもないのよ。」
「本来だったら黒月を丸ごと滅ぼすつもりだったのだけど、”煌都”はさすが”黒月の本拠地”だけあって、黒月を完全に滅ぼしたら占領後の領地経営に大きな支障をきたす事は目に見えていたから、連合も”煌都”の黒月に関してはどうするか頭を悩ましていたのよ。で、そこに”ルウ家”からの申し出――――――つまり、”ルウ家”はメンフィル・クロスベル連合に恭順する事やまだ生き残っている他の黒月の派閥をメンフィル・クロスベル連合に恭順する説得をする申し出があったから、メンフィル・クロスベル連合はその申し出を受け入れる事にしたのよ。」
マキアスの推測に答えたエレインは複雑そうな表情で話を続け、レンがエレインの説明を捕捉した。
「あん?何でその黒月とやらを滅ぼしたら、その”煌都”とやらの支配に支障が出るんだよ?」
「”煌都ラングポート”は旧共和国の”三大都市”の一つにして、旧共和国の中でも東方人の影響が最も色濃い都市だと師匠から聞いた事がありますが……もしかしてその関係ですか?」
レンの説明のある部分が気になったアッシュを眉を顰め、アンゼリカは自身が知っている情報を口にした後訊ねた。
「ああ。ラングポートは黒月の本拠地である他にもゼムリア大陸最大級の”東方人街”が存在する事に加えて旧共和国最大の移民系資本グループの”九龍グループ”の本拠地がある事で、ゼムリア西部における”東方人移民勢力の中心地”と言っても過言ではない都市なんだが……”東方人街”もそうだが、”九龍グループ”も黒月が深く関係している。」
「”九龍グループ”はトップや幹部クラスもそうだけど、社員達の一部も黒月の関係者の上、”東方人街”では黒月が東方人街に住む人達の就職を斡旋している事に加えて黒月が東方人街の”自警団”も務めている事から、黒月は東方人街に住む多くの人達に親しまれているのよ。」
「……なるほど。黒月は結社等と違い、”裏だけでなく、表の世界での力”があることに加えて自分達が持つ”力”を市民達にも還元している為、さすがの連合も完全に滅ぼす事はできなかったのか……」
ジンとエレインの話を聞いたアルゼイド子爵は静かな表情で連合の考えを推測した。
「そういう事。もし、黒月を完全に滅ぼしたらそれこそ、東方人達もそうだけど黒月のお陰で生活できている市民達まで連合に対する反抗心で、連合に対してデモやストライキを起こす事もそうだけど最悪テロリストになって旧共和国全土でテロ活動を行う恐れも考えられたから、”ルウ家”の恭順の申し出を受け入れる事にしたのよ。――――――で、連合に恭順する証としてエレボニアとの戦争で是非自分達黒月の力を利用してくれって申し出たのよ。――――――旧共和国全土の裏を掌握し始めた”ラギール商会”と協力関係を結べる手配をする事と引き換えにね。」
「そして、多くの戦力を必要とするこの”大戦”で黒月もメンフィル帝国軍の戦列として加わったという事ですか……」
「しかも”ラギール商会と協力関係を結べる手配をする事”を条件に出したという事は……!」
「おいおい……結局、黒月が”旧共和国全土の裏の支配者として返り咲く”って事じゃないか……」
「それも、連合――――――ううん、メンフィルのお墨付きとか前よりも厄介になるんですけど……ラギール商会ってメンフィル(そっち)がバックにいる裏組織だよね?」
「うふふ、ラギール商会はあくまで”商人達の組織”だから、”ルバーチェ”みたいな犯罪組織じゃないわよ?」
レンの説明を聞いて察しがついたセドリックは複雑そうな表情で呟き、ある事に気づいたエレインは厳しい表情でレンを睨み、ジンと共に疲れた表情で溜息を吐いたミリアムはジト目でレンを見つめ、ミリアムの指摘に対してレンは小悪魔な笑みを浮かべて答えた。
「黒月という組織の件も気になるが……ユミルの件で”北の猟兵”達を虐殺した事から”猟兵”を忌み嫌っているように見えたメンフィル帝国が何故、猟兵団を雇ったんだ?」
「ん。しかもメンフィル帝国軍自体が滅茶苦茶強い上、エヴリーヌ達”魔神”の力も保有しているメンフィル帝国からしたら、”猟兵”なんて必要ないと思うけど。」
新たな疑問を抱いたガイウスの疑問にフィーは頷いた。
「メンフィル帝国……猟兵団……―――――!!も、もしかしてメンフィル帝国が雇った猟兵団って、”斑鳩”なんじゃ……」
「い、”斑鳩”って確か”月の霊場”で私達がやり合ったリィンの……」
「”八葉一刀流”の”裏”と思われる”黒神一刀流”の使い手にしてリィンの”姉弟子”を名乗った”白銀の剣聖”か……」
「フン……話に聞く所、あの女はその”斑鳩”とやらの猟兵団を率いる立場との事だから、その気になれば猟兵団自体を呼び寄せる事も容易だろうな。」
二人の疑問を聞いてある事を察したトワは不安そうな表情で推測を口にし、トワの推測を聞いてシズナを思い浮かべたアリサは不安そうな表情で呟き、アリサのようにシズナを思い浮かべたラウラは重々しい様子を纏って呟き、ユーシスは厳しい表情で呟いた。
「あら、もうシズナお姉さんの所属や正体についてもある程度把握しているとはね。――――――ゼムリア東部を主に活動している”斑鳩”の噂が流れてきやすい旧共和国の遊撃士であるジンおじさんかエレインお姉さんあたりから教えてもらったのかしら?」
「実際に知っていて、彼らに教えたのはジンさんだけどね……―――――それよりも、やはり貴女達が”白銀の剣聖”に交渉してこのタイミングで”斑鳩”をわざわざゼムリア東部から呼び寄せてメンフィル帝国軍の戦列に加えたのね?」
興味ありげな表情を浮かべたレンの指摘に答えたエレインは厳しい表情でレンを睨んで問いかけた。
「そういう事♪まあ、実際はシズナお姉さんの所属である”斑鳩”の実力をシズナお姉さんから教えてもらったレン達がパパ達に報告した後、その報告を受けたセシリアお姉さんがその”斑鳩”を雇うようにパパ達に提案して、その提案を承諾したパパ達がレン達にシズナお姉さんに”斑鳩”を雇う交渉の要請をしたのよ。で、その要請を請けたレン達がシズナお姉さんに交渉した結果、シズナお姉さんが提示した”報酬”である4億ミラを全額前払いしたら今回の”大戦”限定で”斑鳩”から2万人、メンフィル帝国軍の戦列に加わってくれたのよ♪」
「ええっ!?セ、セシリア将軍が……!?」
「あの女……!一体何を考えて猟兵団を雇う事を決めたのよ!?」
「しかも4億ミラって、ギリアスのオジサンが”西ゼムリア通商会議”の件で”赤い星座”を雇った時の2倍な上、おまけに報酬全額前払いなんて太っ腹な事はしなかったんですけどっ!?」
レンの説明を聞いたエマは驚き、サラは怒りの表情で声を上げ、ミリアムは信じられない表情で声を上げた。
「ちなみにヴァイスラント新生軍が雇った猟兵団だけど……レン達メンフィルに気を遣ったのか、猟兵団の中でも”お行儀がいい猟兵団”を雇ったみたいよ?」
「”お行儀がいい猟兵団”だと?一体どんな猟兵団なんだ?」
レンが口にしたある言葉が気になったクロウは眉を顰めて訊ねた。
「”クルガ戦士団”と”アイゼンシルト”よ。」
「”クルガ戦士団”と”アイゼンシルト”……なるほど、確かにその二つの猟兵団は”お行儀がいい猟兵団”だね。」
「それはどういう事なのだ?」
レンの答えを聞いて納得した様子で呟いたフィーの言葉が気になったラウラは訊ねた。
「”クルガ戦士団”はゼムリア大陸中東部を中心に活動する高位猟兵団なんだが……彼らは他の猟兵達と違い、民族自体が猟兵稼業を行っている猟兵団なんだ。」
「”民族自体”……という事はその”クルガ戦士団”という猟兵団は”ノルドの民”のようなその地に住まう独特の民族が結成した猟兵団なんだろうか?」
「ええ。東のイシュガル山脈の山岳地の里で生活している”クルガの民”と呼ばれている民族でね……”クルガの民”は”戦士”として戦う習慣があって、その関係で部族ぐるみでやっている、大陸中東を代表する高位猟兵団よ。彼らは他の猟兵団と違ってあくまで”戦士”として戦っている上、誇りと伝統を重んじていて”汚れ仕事”は決して受けない事で知られている事で世間の評価は悪くないのよ。」
「ちなみに”アイゼンシルト”はゼムリア大陸中部北の自由都市圏を拠点とする高位猟兵団よ。”アイゼンシルト”は出身が元軍人が多く所属している関係なのか、”クルガ戦士団”同様世間の評価は悪くなくて、一部の都市では治安維持まで任されている猟兵団よ。」
「”猟兵”と言ったら今まで悪いイメージしか抱きませんでしたけど、そんな良識を弁えている”猟兵”もいるんですね……」
「なるほどね……メンフィルはユミルの件で”猟兵”に対して悪いイメージを抱いているであろうから、ミュゼ君――――――ヴァイスラント新生軍は猟兵団の中でも良識がある上世間の評価もいい猟兵団であるその二つの猟兵団を雇ったのか……」
ジンの話を聞いてある疑問を抱いたガイウスの疑問にサラは答え、エレインはジン達が説明した猟兵団以外のもう一つの猟兵団の事について説明し、ジン達の説明を聞いたアネラスは戸惑いの表情で呟き、アンゼリカは静かな表情で呟いた。
「ちなみにだけどヴァイスラントの戦列に加わっている”アイゼンシルト”にはあなたたち”Ⅶ組”の関係者もいるのだけど、どうするつもりなのかしら?」
「何だって……?」
「ぼ、Ⅶ組の関係者がヴァイスラント新生軍が雇った猟兵団にいるって、一体誰の関係者なんですか……!?」
意味あり気な笑みを浮かべたレンの答えを聞いたその場にいる全員が血相を変えている中オリヴァルト皇子は目を丸くし、マキアスは困惑の表情で訊ねた。
「うふふ、その”アイゼンシルト”に所属しているⅦ組の関係者の猟兵は”火喰鳥”の異名で呼ばれている猟兵よ♪」
「”火喰鳥”ですって!?」
「アイーダが………」
「その……レン皇女殿下が先程口にした”火喰鳥”という方はフィーちゃん――――――”西風の旅団”の猟兵だった方なんですか……?」
レンの答えを聞いたサラは血相を変えて声を上げ、フィーは呆け、フィーの様子を見て察しがついたエマは心配そうな表情でフィーを見つめながら訊ねた。
「ん……”火喰鳥”――――――アイーダはゼノ達と同じ”連隊長”も務めていたけど、団長の右腕を務めていた女猟兵。……団にいた時はわたしを本当の妹のように可愛がってくれた。”西風”解散後ゼノ達のように行方がわからなかったけど、まさか”アイゼンシルト”に移籍していたなんて……」
「フィー……」
「……フィー様の関係者――――――つまり、”Ⅶ組”の新たな関係者の存在を敢えてこのタイミングで口にしたことを考えると、この戦場でのわたくし達の行動方針を混乱させる為でしょうか?」
「あ…………」
「た、確かに今までⅦ組は”身内の保護”を名分にして動いてきたから、そのアイーダさんって人はフィー――――――”Ⅶ組”の”関係者”だから、僕達が動く理由にはなるけど……」
辛そうな表情で過去を語るフィーの説明を聞いたラウラは心配そうな表所うでフィーを見つめている中、真剣な表情を浮かべてレンを見つめて答えたシャロンの推測を聞いたアリサは呆けた声を出し、エリオットは複雑そうな表情でフィーを見つめながら呟いた。
「クスクス、”火喰鳥”はあくまで”ついで”よ。むしろ、”民間人の保護”を理由にどんな状況であろうとも介入する事が十八番のシェラザードお姉さん達”遊撃士”の人達にとっては見逃せない事態が発生しているのだから、その件と比べたらフィーとサラお姉さん以外面識がないⅦ組のみんなが”火喰鳥”に構うような暇なんてないと思うわよ?」
「何ですって……!?」
「おい……まさかとは思うが、あの戦場のどこかに逃げ遅れた”民間人”が取り残されているのか!?」
小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンが口にした新たなる驚愕の事実を知った遊撃士の面々がそれぞれ血相を変えている中シェラザードは驚きの表情で声を上げ、アガットは厳しい表情でレンに問いかけた。
「――――――ちょうどいい時間みたいだし、見せてあげるわ。――――――祖国を守る為、そして”百日戦役”による”悲しみ”や”怒り”が忘れられなくて立ち上がった”リベールの勇敢なる民間人達”を。」
そして意味ありげな笑みを浮かべて答えたレンが端末を操作するとレンのハッキングによってカレイジャスの映像端末にリシャール特務准将率いる”白隼隊”が映った。
「あっ!あの人は……!」
「リ、リシャールさん!?」
「傍にいる女はオズギリアス盆地に向かう途中で出会った王国側のスパイじゃねぇか。」
「カノーネどころか、”特務兵”達までいるぞ!?」
「それにリシャールさん達の周りに待機している戦車って確か、3年前の貴女の”お茶会”の件でカノーネ達が使っていた”オルグイユ”じゃない……!それもあの時と違って、複数存在しているわ……!」
「フム……確か彼もそうだが、彼の副官や特務兵の面々の多くも軍を辞めたはずなのに、彼らはかつての”影の国”の時のように軍服を身に纏っているようだが……」
「!まさか、リシャールの旦那が率いる兵達は王国の――――――」
映像端末に映るリシャールを見つけたティータは驚きの表情で声を上げ、アネラスは信じられない表情で声を上げ、カノーネを見つけたアッシュは目を細めて呟き、自分達にとって見覚えがあり過ぎる兵達の姿を目にしたアガットは困惑の表情で声を上げ、シェラザードは厳しい表情でそれぞれ声を上げ、オリヴァルト皇子は真剣な表情で考え込み、ある事に察しがついたジンが厳しい表情で推測を口にしようとしたその時、リシャールの演説が始まった。
~少し前・ハーケン平原~
「王国軍と連合軍、それに新生軍がエレボニア帝国軍と本格的にぶつかり合い始めた……そろそろ頃合いじゃないかい、隊長?」
少し前、戦場の側面に回り込んでいた猟兵団――――――”アイゼンシルト”に所属している女猟兵――――――アイーダは戦況を確認した後隊長格の男に話しかけた。
「ああ。ここが我々が加勢する絶好の好機だ――――――総員、戦形を”双槍騎兵”へ!」
「Ja(ヤー!!)」
アイーダの言葉に頷いた隊長格の男は号令をかけ、号令に力強く答えた猟兵達は戦場の側面からエレボニア帝国軍に襲い掛かり始め
「”アイゼンシルト”が動き始めました!」
「うむ。我らも遅れるな――――――!我らに焔と翼の女神の加護を!赫け、”太陽の鷹(エル=アルコン)”の戦翼!」
「応!!」
同じ頃アイゼンシルトとは真反対の位置に移動し終えた”クルガ戦士団”も頭目格の男の号令を合図にアイゼンシルトと挟み撃ちする形でエレボニア帝国軍に襲い掛かり始めた。
「フフ、さすがは名高き”クルガ戦士団”と”アイゼンシルト”ですね。彼らの介入によって、エレボニア帝国軍に更なる動揺が生まれた事でエレボニア帝国軍側はもはや指揮系統がほとんど機能していませんね。」
一方その頃黒月の構成員や”凶手”達もクルガ戦士団やアイゼンシルトとは別の位置に移動し終えており、戦況を見守っていた男は静かな笑みを浮かべて隣にいる老人に話しかけた。
「頃合いか。――――――部隊長クラスの軍人を見つければ優先的に討て。師団長ならば雑兵に構わず、師団長を討つ事を最優先とせよ。――――――この戦いで連合との戦争で滅びたと言われた黒月は今もなお健在である事を世界に刻み込め!」
「ハッ!!」
男の言葉に続くように呟いた老人――――――黒月の”長老”の一人であるギエン・ルウは号令をかけ、ギエンの号令に力強く答えた黒月の構成員達や凶手達は戦場へと向かい始め
「それではギエン様、私の方は当初の予定通り”灰獅子の裏の戦いの加勢を致します”のでこの辺りで失礼します。――――――どうかご武運を。」
「お主もな、チョウ。――――――有角の若獅子達もそうだが、遊撃士達にも見せてくるがいい。今は亡きツァオ――――――”白蘭龍”が万が一の為に残していた自身の”影”にして”白蘭龍”を継ぐお主の力を。」
「フフ、”白銀の剣聖”殿が彼らの”協力者”達との戦いに対する戦闘意欲が高いとの事ですから、”白銀の剣聖”殿の”お目当ての獲物”を取らない程度には頑張らせて頂きます。」
構成員や凶手達が戦場へと向かい始めるとギエンと男――――――チョウ・リーは短い会話を交わした後ギエンは戦場へと向かい、チョウは戦場からやや外れた場所に着地したレヴォリューションから次々と現れ、戦闘配置につき始めているリィン達”灰獅子隊”の元へと向かい始めた。また、”斑鳩”所属の猟兵達もチョウのようにリィン達の元へと向かい始めた。
「―――――閣下!中将閣下からの通達です!『今から白隼隊も戦友達の加勢をせよ。そこからどう采配するかはお前に任せる、リシャール。だが、お前を含めた元軍属の者達もそうだが白隼に志願した民間人は決して無茶をするな。幾ら祖国の為であろうと、祖国の危機がなければ平穏に暮らしていたお前達が無茶をする事は女王陛下達は心から望んでいない事だからな。』との事です!」
「……わかった。それとセンダー、何度も言っているように私を”閣下”と呼ぶのは止めてくれ。祖国の為に一時的に軍に復帰して中将閣下に”特務准将”という私には分不相応な立場を用意して頂いたとはいえ、私の今のこの立場はあくまで”この戦争の間限定”だ。この戦争が終われば、当然中将閣下より頂いた軍位をお返しし、民間人に戻るのだからね。」
一方その頃、白隼隊も二つの猟兵達や黒月とは別の位置に移動し終えており、白隼隊の中にいるリベール王国軍の将――――――センダー少尉がかつてのように軍装を身に纏ったリシャールに報告し、報告を聞き終えたリシャールはセンダー少尉にある指摘をした。
「いえ、それでも”閣下”と呼ばせて下さい。今の貴方はリベールへの愛国心の為に再び立ち上がった貴方なのですから。――――――例えそれが期間限定であろうとも、この国の為に貴方の下で戦える事はこの身にとっては幸福なのですから。」
「やれやれ……君もカノーネ君に負けず劣らずの頑固さだね。」
「所長、幾ら何でもそれは過大評価かと。私もセンダー少尉のように所長に対する”思い”が強いのならば、今もこうして貴方を”所長”と呼んでいないのですから。」
センダー少尉の答えを聞いて溜息を吐いたリシャールにセンダー少尉と共にリシャールの傍に控えていたリシャールのようにかつての軍装を身に纏ったカノーネは苦笑しながらリシャールに指摘した。
「褒めた訳じゃないのだがね……――――――まあいい。カノーネ君、センダー。これが最後の確認になるが白隼隊の中でこの戦場からの離脱の申し出のあった者は?」
「自分の方はゼロであります!」
「私の方も確認しましたが、やはり離脱の申し出は一人もいません。――――――ここにいる全員は所長と共にあの戦場に向かう事を望んでいます。」
カノーネの答えを聞いて呆れた表情で溜息を吐いたリシャールは気を取り直して二人に新たなる質問をし、リシャールの質問に二人はそれぞれ答えた。
「そうか…………こんなにも多くの王国の民達が王国を守る為に”死地”へ向かう事を望む勇敢さや王国を思う心にリベールを愛する者の一人としては喜ぶべきかもしれないが、女王陛下や王太女殿下のお気持ちを考えると彼らの”百日戦役”が生んだ”リベールの怒りや悲しみ”は今もなお健在である事に悲しむべきかもしれないな……」
「所長……」
「……閣下の仰るように幾らリベールを守る為とはいえ、リベールはエレボニアのように”国家総動員法”のようなものを発令してもいないのですから本来ならば民間人である彼らにまで”戦場”に向かわせる事は王国軍人として失格と言われても反論できません。――――――ならば、一人でも多くの勇敢なるリベールの民達を生還させる為にも私達のような軍人もそうですが、閣下達のような元軍人の方々が戦場の中で彼らをフォローすべきではありませんか?」
二人の答えを聞いて複雑そうな表情で語るリシャールの様子をカノーネは心配そうな表情で見守り、センダー少尉は静かな表情で語った後決意の表情を浮かべてリシャールに指摘した。
「センダー………そうだな……それがこのような事を心から望んでいなかった女王陛下達に対する我々ができる唯一の償いかもしれないな。」
センダー少尉の指摘に目を丸くしたリシャールは静かな表情で呟いた後決意の表情を浮かべてカノーネに視線を向け、視線を向けられたカノーネは頷いた後既に整列して待機して戦闘前の会話をしている白隼隊の面々へと振り向いて声を上げた。
「―――――総員、気をつけ!これより特務准将閣下より、出陣前のお言葉があります!」
カノーネが声を上げると白隼隊の面々は全員会話を止めて『気をつけ』の態勢へと変え
「楽にしてくれ。」
リシャールが一言口にすると全員『休め』の態勢へと変え、それを確認したリシャールは演説を始めた。
「――――――ここにいる皆もまだ覚えているだろう、13年前の”百日戦役”でエレボニア帝国軍に蹂躙された祖国リベールを、そして虐殺されたリベールの国民達――――――皆の家族、恋人、伴侶、友人達を。」
「………ッ!」
「う……くっ……!」
「忘れることなんて……できるものか……っ!」
「そうよ……!あの人は私を守る為に、エレボニア帝国軍の軍人の銃撃から私を庇った後……ッ!」
「私にとってたった一人の家族のあの子の命を奪った13年前のあの出来事……絶対に忘れる事なんてできないわ……ッ!」
リシャールの演説に対してその場にいる白隼隊に所属している民兵達は当時の出来事を思い返して悔しさの表情を浮かべて唇を噛み締めたり、悲しみの表情を浮かべて涙を流したり、怒りの表情で呟いたりしていた。
「後にリベールにとって心強き盟友となるメンフィル帝国の登場、カシウス中将閣下の献策、そして偉大なる女王陛下の交渉によって13年前のリベールは滅亡の危機を逃れ、平和を取り戻す事ができた。――――――だが、”鉄血宰相”ギリアス・オズボーンが牛耳るエレボニア帝国は先程のアルフィン皇女殿下の演説通り去年の内戦で発生したメンフィル帝国との外交問題の件で内戦の間メンフィル帝国がエレボニア帝国にいつ戦争を仕掛けてきてもおかしくない瀬戸際でありながらもアリシア女王陛下達から多大なる”恩”を受けたにも関わらずエレボニア帝国はあろうことかその”恩”を”仇”で返した挙句”冤罪”までリベールに押し付け、その”冤罪”を理由に今こうしてリベールに侵略し、再びリベールの平和を壊そうとしている。――――――諸君はこの暴挙を許せるか!?」
「否!否!否!」
「例え女神が許しても、俺達が絶対に許さねぇっ!!」
「今こそエレボニア帝国に”百日戦役”の復讐をする時だっ!!」
「私達の大切な人達を奪ったエレボニアに裁きを!」
「今が私達の怒りと悲しみをエレボニアに思い知らせてやる絶好の機会よっ!!」
静かな表情で語り終えたリシャールは表情を引き締めて白隼隊の面々に問いかけるとその場にいる全員は武器を天へと掲げて殺気立った様子で声を上げた。
「皆の気持ちは理解した。ならば、私もここからは皆を迷わせるような事は言わない。今から皆にかける言葉はこの言葉だけだ。」
リシャールが演説を続けるとその場にいるリシャールの次の言葉を待つかのように黙り込んだ事でその場に一瞬の静寂が訪れ――――――
「――――――王国義勇兵団”白隼隊”突撃開始!この戦争で新たなる13年前のリベールの怒りと悲しみを生み出さない為にも!そして今こそ13年前の”百日戦役”が生んだ皆の怒りと悲しみをエレボニア帝国軍に叩き込めっ!!」
「オオオオオオオオオォォォォォォォォオオオオオオオオオ――――――ッ!!」
自身の得物にして、ウィル達が開発した刀――――――利剣『白隼』を鞘から抜いて戦場へと向けたリシャールが号令をかけるとその場にいる全員は戦場全体に響き渡らせる程の雄叫びを上げた後戦場へと突撃し、エレボニア帝国軍に襲い掛かり始めた――――――!
後書き
今回の話で黒月が生き残った理由が説明されて更に黒月側のオリジナルキャラが登場しました。もうお察しと思いますが、このオリジナルキャラは碧篇で退場したツァオの代役を務めます。ただし、原作のようにアシェンはこのキャラには惚れていません。惚れていたのはあくまでツァオですので。滅茶苦茶先(具体的には煌都篇終了直前)になる話ですが、アシェンは黒月の為に自らの判断で”とあるキャラのハーレムメンバーの一人”になる事を決意する予定です(ぇ)その”とあるキャラ”が誰になるのかはこの時点で察する事ができる人もいるかもしれませんねww(そもそも光と闇の軌跡シリーズでハーレム築いている男キャラは非常に限られている上、黒月の為という条件まで追加されると、そこから更に絞られることになりますし(冷や汗))
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