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レーヴァティン

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第二百三十五話 熊を仕留めその三

「猫は猫又になります」
「そして熊はだ」
「鬼熊になります」
「そうなれば恐ろしい」
「普通の熊よりも」
「実際に手強い、そもそも自然の中でそこまで歳を経ることは稀だが」
 それでもというのだ。
「稀でもだ」
「いることはいますので」
「厄介だ、そして羆もな」
 今退治を命じているこの熊はというと。
「大きくなり過ぎるとな」
「羆嵐ですね」
「荒ぶる神の様になるな」
「そうですね」
「鬼熊にもなるが」 
 この世界では羆もそうなるのだ。
「しかしな」
「それと共に」
「そうした存在にもなる」
 羆嵐にというのだ。
「あそこまでなるとだ」
「恐ろしい強さで」
「並の冒険者ではな」
 到底というのだ。
「敵わない」
「そこまでの強さになります」
「只でさえ熊は強いが」
「それがです」
「そこまで言われるまでになるとな」
「通常の獣や魔物とは違う」
 また別のというのだ。
「突然変異の様な」
「そうした存在になるな」
「ですから恐ろしいです」
「俺達が起きた世界でもそうした話があるな」
「鬼熊の話もあり」
「そしてだ」 
 英雄は強い声で述べた。
「北海道にはな」
「蝦夷にですね」
「実際にな」
「羆嵐の話がありますね」
「小さな集落がそれで滅んだ」
 あまりもの身体の大きさ故に入られる穴がなく冬眠し損ねた羆に襲われてそうなった、何人もの犠牲者が出た明治の頃の大惨事だ。
「そうだったな」
「それ有名やな」
 耕平が深刻な顔で言ってきた。
「それがしも知ってるわ」
「開拓の小さな集落が襲われたな」
「一匹のそうした羆にな」
「そうしてだな」
「滅んだわ、何人も犠牲になって」
「遂には軍隊まで出た」
「そうしてやった」 
 そこまでの犠牲と人員があってだ。
「仕留めることが出来た」
「その一匹の羆をな」
「こうした話が起きた世界でもあるしな」
「そのことも考えるとだ」
 実にというのだ。
「熊はな」
「侮れんわ」
「特に身体の大きな羆はな」
「全くや、そやから幕府もな」
「油断せずにだ」
 そのうえでというのだ。
「多くの腕利きにそれぞれパーティーを組ませ」
「そうしてやな」
「退治に送り出させた」
 そうしたというのだ。
「犠牲を出さない為にな」
「最初からそうしたな」
「獅子は鼠にも全力を尽くすなら」 
 それならというのだ。 
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