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イベリス

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第三十六話 恐ろしい強さその十二

「ヤクザ屋さんと同じだよ」
「実際関係ありますね」
「どう見てもね」
「入れ墨も入れましたし」
「逮捕されたしね」
「本当に子供の教育に悪いですね」
「親戚の四十代の人があの人見て眉を顰めさせて言ったよ」
 その言葉は何かも言うのだった。
「自分が子供の頃はスターだったのに」
「そのスターがですね」
「ああなったんだよ」
「物凄い転落ですね」
「そうだよね」
「スターから子供の教育に悪いなんて」
 それこそとだ、咲も言った。
「ある意味凄いですね」
「お金があってもね」
「それで名球会に入ってもね」
「最低ですね」
「お金と地位があっても」
 それでもというのだ。
「転落ですね」
「お金とか地位じゃないよ」
 そうした問題ではないというのだ。
「本当にね」
「そうですよね」
「そうした問題じゃなくてね」
 それでというのだ。
「人としてだよ」
「どうかですね」
「流石に覚醒剤になんて手を出したら」
「問題外ですね」
「最悪も最悪で」 
 それでというのだ。
「最低だよ」
「そうですね」
「ああなったら終わりだよ」
 部長はまた言った。
「あんなのに手を出したら」
「破滅しますね」
「身体もボロボロになってね」
 そうしてというのだ。
「心もだよ」
「ボロボロになるから」
「それも裏社会から買うから」
 部長はそのルートのことも話した。
「お金もね」
「かかりますね」
「このことも問題だから」
「そうですよね」
「余計に駄目だよ」
「お金もかかって身体も心もボロボロになるなんて」
 咲は心から思った。
「いいことないですね」
「何もね」
「そうですよね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「あの人はね」
「どうにもならないですね」
「子供達のヒーローが」
 そうだった人がというのだ。
「もうね」
「奈落の底に落ちたんですね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「あんな風になったら駄目だしあんな人がいるチームもね」
「どうかってなりますね」
「前はましだったみたいだよ」 
 部長は苦い顔で言った。
「まだね」
「そうだったんですか」
「あのオーナーになるまでは」
 それまではというのだ。 
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