僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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15-⑸
次の日、昼前に明璃ちゃんが店に顔を見せた。
「美鈴さん 田中さんが入院したんよ ウチ 病院に付添って行ったんや、診察したら、即、入院だって」
「えぇー 何で どこが悪いの―」
「うーん よく、わかんない あんなぁー 昨日、清音のとこ 泊まったんや 今朝、田中さんが病院行くって言いだしたから、清音は仕事あるやんかー だから、ウチが付添って行ったんよ そしたらね 入院するって・・ なんか、おかしいんよね」
「それで、どこの病院?」
「うん 有沢病院 だけど、元気そうなんやけどなー」
「そう じゃぁ これから、様子見に行くわ」
「美鈴さん ウチ、昨日 清音のこと気になったんで、無理やり泊めてって言ってな そしたら、部屋ん中、なんか、荷物まとめているみたいやってん あいつ 出て行くつもりやったんちゃうかなぁー だけど、飲みながらやったけど、ちゃんと説明したんやで・・ 今回のことは、清音のせいちゃうって みんな、清音が必要って思ってるんやでって あいつに、今、必要なのは、自分の居場所をしっかりと伝えることやと思ってな」
「ありがとう 明璃ちゃん」
「ううん そんなんちゃうねんけど ウチは、あいつのこと本当に大事な友達や思ってんねん なんか、ウチのこと理解してくれているし・・けどなー あいつは、まだ、心の底に 自分対しての、コンプレックスっていうか お姉ちゃん同士のつながりからって思ってるとこあんのんちゃうかなぁー それでな ごめん 叩いてしもたんや ウジウジしとったから 今、美鈴さんの方が辛いんやで― そんな時こそ、清音と助け合うのが姉妹やろーって言ってやったんや でも、お返しに、ウチにも叩き返せって、ゆうてな わかってくれたと思う スッキリしたわ 何のための仲好しお守りよ」
「マァー そういうのって 明璃ちゃんらしいわねー 清音 びっくりしてたでしょ」
「うー どうかなぁー 女に叩かれたのは、初めてって言ってたけど、男には、けっこう・・苦労してたみたい ポツリポツリと話してくれたけど」
「本当に 明璃ちゃんが、居てくれて助かるわ これからも、よろしくね」
私は、直ぐに、病院に向かった。病室に入ると、田中さんは、隣のベッドの人と話していて、元気な姿だった。
「あぁー 美鈴ちゃん この子、私の一番目の孫」と、言って、隣の人に紹介していた。
とてもお元気そうだった。病人とは思えなかったのだが
「大丈夫なんですか? 入院されたって、明璃ちゃんが・・ 私、びっくりして」
「ごめんなさいね 驚かしてしまって ちょっと、休養しようと思ってね 検査入院よ 清音ちゃんには、黙っていてね 心臓の検査ってことで」
「田中さん もしかして・・」
「うん まだまだ 清音ちゃんに、面倒みてもらうから、貴方は、気を使わないでちょうだいね」
「すみません そんなに、清音のこと 考えてくださって・・」
「美鈴ちゃん あの子が来てくれてから、私は、本当に生きているのが楽しくなったのよ 毎日がね お風呂に入る時も、気遣ってくれて、滑ったりすると大変だからって、この年寄と一緒に入って、身体洗ってくれたりしてね まわりが何と言おうと、あの子は私の本当の孫なんだよ ありがたいね」
「田中さん あのこと ご存じだったんですか」
「ええ 堤さんがね あの人なりに、調べたんだって 前の男がどうしているかって だけど、今は、物流の会社に行って居て、真面目に働いているそうよ だから、今回のことには、関係してないんじゃぁないかって 安心してって もしかして、清音ちゃんが、気にしているんならって」
「そうですか 堤さんが・・ ありがとうございます 本当に、清音のこと、そんな風に大切にしていただいて」
「なに言ってんのよ あんただって、私を結婚式の時、身内として呼んでくれたじゃぁない うれしかったのよ さぁ 清音が着替え取りに行ってくれたの、もう戻って来るからね、帰ってちょうだいな 私は大丈夫だから あの子には、頼みたいことがあるから・・しばらく、面倒かけなきゃね 居なくなると、私も困るのよ」
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