冥王来訪
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異界に臨む
潜入工作 その2
様々なデータからオルタネイティブ3計画の基地が、オビ川河畔のノボシビルスク市にあるのが分かった
しかし、空路で、シベリア上空を行けば、ソ連の防空網に引っ掛かり、隠密性は失われる
瞬間移動をするにしても、秘密基地の正確な座標は分からないし、、作戦成功も怪しい
敵を混乱させる目的で、新疆にワープした後、陸路から、アルタイ山脈を越え、街道沿いに北上する案がとられた
中ソ国境から、攻撃した後、移動すれば、両陣営を紛争状態に陥れることができる
それが、秘密作戦の最終案であった
最悪の場合、帝国軍は、彼等の存在は否定すればよい
マサキ達は、帝国政府にとって都合の良い、使い捨ての駒という認識であった
マサキ自身もそれは承知の上で、ソ連への憎悪と、この世界への混乱を引き起こせるという点で、彼等の策に、自ら乗ったのであった
「ノボシビルスクごと、地図から消し去る」
彼は、そのつもりで、今作戦に応じた
作戦は深夜に決行された
隠密作戦とはいえ、新疆からの移動の際は、恐らく米ソの人工衛星に、補足される
だが、彼も無策ではなかった
参謀本部に提出した資料とは違うルートを通て、ソ連領内に入った
あえて、BETAの大群のいるカザフスタンのカラカンダに転移
同地から、セミパラチンスク(現:セメイ)を経由して、ノボシビルスクに陸上で侵入という作戦
日本の基地からカラカンダに転移した彼らが見たのは、既に核の連続攻撃で廃墟のみが残る市街であった
所々に、死体が放置され、BETAの群れが廃墟を闊歩している
時間の惜しいマサキは、メイオウ攻撃で、周囲数キロの敵を焼失させながら北上する案を断念せざるを得なかった
無尽蔵とも思えるほど、湧いてくる亡者共に辟易したのだ
100キロほど北西に進んだところで、オビ川湖畔のベルツクに転移した
オビ川沿いに北上し始めると、10分もしないうちに、多連装砲や対空砲の水平射撃による攻撃を受けた
近寄ってくる水上艦艇からの攻撃は、無視しながら推進装置を全速力
砲弾など、次元連結システムのバリア装置で防げばよい
50メートルある機体だ。水上を猛スピードで進撃すれば警備艇ぐらい転覆させるのは容易
無言のまま、ノボシビルスク市内に入ると、戦術機部隊に遭遇した
人民解放軍の使っていた機種と同じものであったが、塗装や武装が微妙に違う
規模は、20機程度。20ミリ機関砲で、連射されるが全て弾き返す
近寄ってくる敵には、両腕から出る衝撃波とパンチで応酬した
初めて戦術機部隊と戦ってみたが、存外弱い事が判った
機関砲も、連射すると暴発したり、砲身が熱で融解する物もある始末
どれ程の装弾数かは知らないが、使ってる砲の放熱性に問題があるのか、或いは炸薬か……
ゼオライマーに衝撃が走る。
油断した隙に、後ろから、刀のような武器で切り付けられたのだ
大型で動きの緩慢なゼオライマーとは違い、戦術機は、《飛び跳ねる》傾向があることを忘れていたのだ
ウサギの様に飛び跳ねる、一機の戦術機
その機体は、背中にもう一本、刀の様な物と、機関砲を背負っている
次元連結砲の単射を、避けて、後退していく様を見たとき、この機体を操縦している人物は相当の手練れであろう事が判る
そしている内に、周囲を残存する戦術機に囲まれた
レーダーによると、その機影は14機
機関砲を単射で、詰め寄ってくる
「そろそろ、茶番は終わりにするか」
マサキは、口を開いた
彼は、潜入作戦開始以降、切られていた無線を入れる
無線通告してきた周波数に合わせ、、敵側に英語で話しかけた
敵への混乱させるためと、戦意を喪失させるために、あえて無線通信したのだ
「貴様らの無駄な抵抗は、よせ。この俺には、どうあがいても勝てぬのだから」
向こう側からの返事は、ない
銃弾での応酬が続く
「消し飛ぶが、良い」
彼は、笑いながらスイッチを押し、メイオウ攻撃を仕掛ける
対象物の消滅するのを確認せずに、ワープした
ソ連・ノボシビルスク郊外に居た戦術機部隊は秘中の秘であるオルタネイティブ3の防護のために置かれた部隊であった
GRU(赤軍総参謀部情報課)の選抜された部隊であり、最高の機密を保持するためにKGB(秘密警察)やMVD(内務省)にすら内密で用意された虎の子の部隊
それが、ものの30分で消滅した
ノボシビルスク市内は大混乱に陥り、研究施設を警護するKGBの部隊は、大童で、施設の爆破と関係者の脱出を始めた
研究施設を破壊しても、研究資料さえ残ればよい
KGBの現場責任者は、混乱していた
「実験体の大部分を《焼却処分》」し、「出入りする工作員」を一か所に集め、「機銃掃射」の命令が出すほどであった
「何としても、西側に研究成果を渡してはならない」「渡すくらいなら、燃やして灰ににしてしまえば、良い」
混乱する現場での出来事をよそに、市内の大部分が消失したとの連絡が入った
大急ぎで、関係者を脱出させようとした矢先、周囲は強烈な閃光に包まれた
後書き
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