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八条学園騒動記

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第六百四十五話 牛達と共にその六

「他のお料理もです」
「召し上がられますね」
「基本は菜食でも」 
 それでもというのだ。
「牛肉でなければ」
「召し上がられますね」
「左様です」
 こうベッキーに答えた。
「出して頂いたものは」
「全てですね」
「何度も申し上げますが牛肉でないならば」
「召し上がられますね」
「それも残さず。全ての食材は命あるものでした」
 セーラはカレーの中の人参を食べつつ述べた。
「それならば」
「その命に感謝して」
「残さずです」
 そうしてというのだ。
「召し上がらないといけません」
「左様ですね」
「ですから」
 そうした考えだからだというのだ。
「私もです」
「残されませんね」
「食べるものは。連合もです」
 自分達が今いる国もというのだ。
「そうした考えですね」
「この国もそうですね」
「いい考えとです」
 その様にというのだ。
「思います」
「全くです」
「連合のよい考えの一つです」
 二人でセーラの言葉に応えた。
「この国は色々な素晴らしいものがありますが」
「その考えも然りですね」
「食べたものを粗末にしない」
「命をそうすることは」
「命は尊いものです」
 セーラは祈る様にしてだった、この言葉を出した。そこには彼女のこれ以上はないまでに確かな信念があった。
「ですから」
「粗末にしてはいけません」
「どんな命でも」
「ましてやです」
 セーラはさらに言った。
「あらゆる命、魂は生まれ変わります」
「数えきれないだけ」
「その輪廻の中で」
「幾度もですね」
「そうなっていますね」
「人として生まれ変われば」
 その時もあればというのだ。
「他の生きものにも生まれ変わります」
「そうして果てしない時間の中を生きています」
「命は」
「人として生まれ変わり」
「次の生では別の生きものにもなります」
「牛になれば豚にもなる」
「他の生きものにも」
 ラメダスもベッキーも答えた。
「それが輪廻転生です」
「私達はその中にあります」
「それならばです」
「他の命もまた」
「そうです、今食べている人参にしても」
 セーラはカレーのスプーンの中にあるそれを見て語った。
「命があり」
「生まれ変わっていますね」
「輪廻の中に」
「だからですね」
「人参も大事にせねばいけませんね」
「粗末にしては」
 野菜でもというのだ。 
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