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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第37話

 
前書き
悟林の超サイヤ3は悟空より短いです。 

 
取り敢えずクリリンが他の仲間を連れてくるまでの間に悟天とトランクスにフュージョンの簡単な説明をすることにした。

「まずフュージョンについて軽く教えるね。フュージョンするには術者となる2人の気を同じ大きさにしないといけないの。手合わせした時に分かったけど、トランクス君と悟天の場合はトランクス君の気がちょっと大きいから少し下げてくれる?」

「え?これくらい…かな」

「小さくし過ぎ、もうちょっと上げて」

何度か注意をすると、ようやくトランクスの気が悟天と同じになる。

まだ幼い2人には細かい気の調節は難しいのだろう。

「うん、その感覚を覚えておいてね。いきなり超サイヤ人でのフュージョンは難しいし」

「ふう、何で俺が悟天に合わせなきゃならないんだよ…」

「文句言わないの。トランクス君の方が悟天より歳上でしょ?」

頭を撫でてやると照れるトランクスに悟林は赤ん坊時代を思い出して可愛いと思う。

「それじゃあポーズを…」

早速2人にフュージョンのポーズを教えようとした時、多くの気が来たのを感知した3人は外に出るとそこにはチチ達がいる。

「みんな!」

「悟林!悟天!一体何が起きてるんだべ!?」

娘と息子に駆け寄るチチ。

母親の姿に悟天は思わずしがみつく。

トランクスの方を見るとブルマを辛そうに見つめていた。

「ねえ、何があったの?ベジータは?孫君や悟飯君は?」

ベジータや悟空、悟飯がいないことに気付いたブルマが悟林に尋ねる。

「………どうせ言わなきゃいけないことだから言うよ。地球に魔人ブウって言う化け物が現れたんだけど、そいつにやられてお父さんは生死不明。悟飯は界王神様といたから多分無事だと思うけど、地球にはいない。ベジータさんは…私達を逃がすために1人で闘って…死んだ。」

「「え!?」」

悟空が生死不明、悟飯は行方不明、ベジータは死亡。

信じたくない言葉に全員が驚愕する。

「ご、悟空さ…悟飯…」

「お母さん!お父さんがそう簡単に死ぬわけないでしょ?悟飯だって大丈夫だからしっかりして!」

夫と長男の身に起きたことにショックを受けて気絶しそうになったチチを悟林は支えながら言う。

「ベジータが…そ…そんな………うわあああ~~~っ!!やだ~~~っ!!」

ブルマの泣き叫ぶ声に全員が悲しげな表情を浮かべる。

無理もないだろう。

セルとの闘いが終わってから、ベジータの性格が軟化したのもあるが、2人の夫婦仲は良好だったのだから。

泣いているトランクスと悟天の様子を見て、少し休憩させるかと思ったが、バビディの魔術によってバビディとブウによって多くの人々が菓子にされ、町が破壊されてしまうのを見せつけられてしまい、フュージョンの修行を再開する。

どうやらあの闘いで生き残った悟林、悟天、トランクス、ピッコロを探しているようだ。

早めにフュージョンを覚えてもらわなければ自分達のために死ぬ人々が増える。

「悟天、トランクス君。少しくらい休ませたかったけど、そうはいかないみたい。これからフュージョンのポーズを見せます!みんなもよーく見るように!!まず、2人がある程度の距離を取って立つ。そして、こうする!腕の角度に気をつけて」

悟林は体を正面にしたまま、両腕を体の右側に向かって向けている。

「フュー…」

腕を反対にしながら、微妙な足運びを3歩分。

「ジョン!」

左側になっている手を、勢いよく右にしつつ、手をグーの形に変え、ついでに腰を捻りながら膝を曲げる。

「足の角度に気をつけて!はっ!!」

右腿を左足に寄せ、最後に右足を真横に伸ばし、左足を踏ん張り、そして両手は逆側にいる相手に向けて人差し指を伸ばし、指の先を相手の指先にくっつければフュージョンは完成。

「足の角度に気をつけてね!特に外の足をしっかり伸ばすのを忘れないように!」

フュージョンのポーズを見せられた面々は困惑する。

本当にこれがブウに対抗する術なのかと。

「…みんなの言いたいことは分かるよ?でもメタモル星人の人からすれば凄く大真面目な技なんだからね?一応効果は保証するから…これを左右対称でやるの。やってみて?」

「…左右対称って何?」

「あ、ごめん。難しかったか…口で説明するより見せた方が早いね。クリリンさんお願い」

「え!?お、俺ー!?」

トランクスの疑問に悟林は見本を見せることにして、あのフュージョンのポーズの見本に抜擢されたのはクリリンであった。

「私と体格が近いのクリリンさんしかいないじゃない。さあ、クリリンさん」

フュージョンのポーズをするクリリンはこの時ほど自分の小柄な体格を恨んだことはなかった。

そしてフュージョンの見本を見せると2人にやらせる。

「なあ、悟林ちゃん。フュージョンを悟空達にやらせるつもりだったようだけど、悟空と悟飯はともかくベジータがやってくれるとは到底思えないぞ」

悟空は歴とした技ならば細かいことは気にしないだろうし、悟飯はあのグレートサイヤマンをノリノリでやるくらいなのでフュージョンのような恥ずかしいポーズだって嬉々としてやってくれるだろう。

ただベジータは全力で拒否するはずだ。

「私もそう思うよ。あのプライドの塊のようなベジータさんだもん…まあ、ベジータさんのプライドは置いといて、一番の理想はお父さんとベジータさんの組み合わせなんだけど、お父さんはリズム音痴なとこあるからもしかしたら悟飯とベジータさんの組み合わせになってたかも」

「あいつこういうの苦手なのか…」

ナメック星で判明した注射のように親友の意外な面にクリリンは思わず呟いた。

2人は幼なじみで良く遊んだりすることもあって息がかなり合っている。

フュージョンの完成は自分の予想より早そうだ。

しかし、希望を持てそうだった時、再びバビディの魔術による声が聞こえてきた。

「あいつ…!遊び半分で…!」

今度は人々がチョコレートにされ、町を消し飛ばされてしまう。

死人で1日しかいられないという事情さえなければ超サイヤ人3で今すぐにでも始末に向かっている。

トランクスと悟天も家族をやられた怒りもあってバビディと会話してしまったが、ピッコロによって中断される。

しかし、状況の悪化は止まることを知らない。

何者かがトランクスの住所を教えてしまい、バビディが西の都に向かうようだ。

「トランクス君のお母さんのブルマさんやお祖父さんが有名人だからね…流石にバレるか…」

「く…くっそ~!誰がチクリやがったんだ!家にはお祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいるんだぞ!!」

「悟林ちゃん!今の聞いた!?パパとママも殺されちゃうわ!」

「…悪いけどブルマさん。今は魔人ブウを倒すことに専念させて。ブルマさんのお父さんとお母さんはドラゴンボールで生き返れるから」

「西の都も破壊されちゃうわ!」

「それも2つ目の願いで元に戻せるでしょ?」

「違うの!研究所が吹っ飛ばされちゃったら置いてきたドラゴンレーダーもパアよ!あのレーダー、特殊な部品が使ってあるからそこいらじゃ出来ないのよ!つまり二度と神龍は呼び出せないってわけ…」

「ええ!?何でドラゴンレーダー置いてきちゃったの!?」

「しょ、しょうがないじゃない!こんなことになるなんて思わなかったし…」

ブルマの言葉に悟林は少し悩んだが、覚悟を決めた。

「よし!私がブウと闘って時間を稼ぐ!トランクス君は大急ぎで家に戻ってドラゴンレーダーを取って来て!」

「え!だ…大丈夫?悟林さん…1人で食い止められるの…?」

「時間稼ぎなら何とかなるよ。いざとなったら超サイヤ3に変身する。さあ、急いでトランクス君!」

「は、はい!!」

悟林に促されたトランクスは急いで西の都に向かい、悟林も超サイヤ人2に変身する。

「姉ちゃん…!」

「悟天はここにいること!良いね?何があっても絶対に動かないで。悟天とトランクス君が死んだらアウトなんだから…大丈夫、ちゃんと戻るからさ」

不安そうに悟林を見上げる悟天の頭を撫でて安心させるように言うと、ブウがいる方向を睨みながら超スピードで移動で向かう。

超サイヤ人2であるため、瞬く間にブウとバビディの真正面に移動することが出来た。

「やあ」

「き、貴様は…ようやく見つけたぞ。他の奴らはどこかな?」

「教えるわけないでしょ馬ー鹿。可愛い弟を売る姉がどこにいるっての?随分とお調子に乗ってるようだからお仕置きをしに来たのさ」

「お仕置きだって?へっへっへ…馬鹿な奴だねー。3人でも勝てなかったのに1人で僕の魔人ブウと闘うつもりなんてさ」

「はんっ、魔人ブウや手下がいなきゃただの雑魚が何を言ってるんだか?」

「…おい!ブウやってしまえ!今度こそ殺されたいらしいぜ!」

悟林の挑発にカチンと来たのかブウに命令するが、ブウは乗り気でないようだ。

「あははは!これはお笑いだ!天下の魔導師様の唯一の頼みの綱が全然言うことを聞いてないなんてね!」

「うるさい!おい!ブウ!玉に封印されたくなかったら言うことを聞け!!」

「…分かった分かった」

「へー、脅されてるようだけどあんな雑魚に従うなんて、もしかしてお人好し?」

意外そうにブウを見るとバビディが喚く。

「魔人ブウは僕の家来なんだから言うこと聞いて当然だ!」

「お前、身の程知らずの発言ばかりしてると寿命縮めるよ…お前も大変だねえ、あんな奴の命令を聞かないといけないなんて」

バビディが言う度にブウの雰囲気が変化していることに気付いた悟林は呆れたように言う。

「何をしてる魔人ブウ!そいつを殺してしまえ!玉に封印するぞ!」

「俺を封じ込めたらお前あいつに殺されるぞ」

ブウの言葉に歯軋りするバビディ。

「でも、あいつ殺してやる。良い子みたいで嫌いだもーん」

「はあ……しょうがないなあ……まあ、慣れないことをするよりはマシだね」

会話による時間稼ぎはこれ以上の続行は不可能。

これからは戦闘で時間を稼ぐしかない。

「どうやって殺そっかな~」

「ふふ、超サイヤ人2じゃ相手にならないから…特別に見せてあげるよ…超サイヤ人2を超えた変身を…!」

気合を入れ、気を上昇させていくと悟林は超化の最終形態の超サイヤ人3となってブウと闘い、時間稼ぎを行う。

一瞬で距離を詰めて頭の触角を掴むと横っ面を殴り飛ばし、ゴムのような体質を利用してブウを何度も殴り付ける。

そしてブウを海に向かって蹴り落とすが、すぐに飛び出して気弾を連射してくる。

「(ダメージは与えられているけど…すぐに回復するか。思ったより厄介な奴だね…それにさっきの気弾の撃ち方はベジータさんと同じだ。あいつ…見せてない技や動きも闘っただけで学習出来るの?)」

攻撃を弾きながら海から飛び出したブウを見ると、ダメージはあるようだが、致命的なダメージには程遠い。

そしてブウが腕を伸ばしながら悟林の横っ面を殴るが、超サイヤ人3の気で守られた肉体にはダメージはほとんどない。

そのまま肉弾戦を再開するが、悟林は殴り飛ばされた勢いを利用して距離を取り、即座に魔閃光を放つ。

威力は言うまでもなくかめはめ波や魔貫光殺砲が上だが、即座に放てる利点はある。

放った気功波はブウの体を貫通するも、すぐに再生して魔閃光を真似て撃ってきた。

「あっさり真似ないでよ…!自信なくすなあ!!」

威力も先ほど自分が撃った物と遜色のない威力のブウの気功波を組んだ拳で殴って弾き返すとブウは弾かれた気功波を悟林と同じやり方で後方へ弾いた。

弾いた気功波は大爆発を起こして余波が悟林を襲う。

「くっそぉ…!」

ブウが弾いた気功波に当たりそうだったバビディが喚いているが、気にせずに口を開いた。

「いやあ、正直ここまでだとは思わなかったよ。見た目は間抜けだけどお前天才だね…ここまであっさり技を真似られたら結構ショックだよ」

悟林の言葉に鼻高々になるブウ。

トランクスの気が動き出したのを見て悟林は超サイヤ人3を解除し、変身を解除すると異常な疲労感に襲われる。

「おい!何故戻る。お前と闘うの面白い、もっとやるぞ!」

「それは嬉しいね。でも私にはあまり時間が残されてないんだ…ブウ、今から2~3日後に私より強い奴が現れる。お前もどうせならもっと強い奴と闘いたいでしょ?それまで地球を壊すのは止めなよ」

「強いのか…?そいつ?」

「まあね…惜しいな…私も時間制限がなかったらもっと楽しめたのにさ…もしお前が死んだら楽しく遊べるように頼んどくよ……それじゃあさよなら…太陽拳!!」

太陽拳で目眩ましをして、即座に天界へと逃げ帰る。

逃げ帰る途中でバビディの気が消えたのを感じた悟林はブウがバビディを殺したのだと理解した。

「そのうちやりそうだったけどさ」

自分が復活させた魔人に殺されたバビディだが、同情はしない。

そんなことよりも今は急いで天界へと向かうのであった。

魔人ブウとの時間稼ぎを終えた悟林が天界に戻るとピッコロが迎えてくれた。

「悟林、バビディが死んだ」

「うん、呆気なかったね」

ピッコロに言われるまでもなく、バビディの気が消えたことには気付いていたが、あれだけやりたい放題だったバビディがあっさり死んだことには少し拍子抜けした。

「だが、バビディがいなくなったことでブウのしていることは更に酷くなったがな」

統制する人物がいないだけ、全てにおいて遊び半分で性質が悪い。

「…少なくても2~3日の間はここなら大丈夫だと思う。下界の人達には気の毒だけど……やっぱり超サイヤ人3じゃ倒しきれそうにないね。倒す前にあの世に帰るところだった…今の私に残された時間は1時間もないだろうし」

「ならばデンデにエネルギーを復活させてもらえ」

「これはあの世に戻らないと駄目」

少しでも悟林に現世に残ってもらうようにするピッコロだが、このエネルギーはあの世に戻ることでチャージされる。

デンデの力でも仙豆でも駄目で、つまり何をしても短くなった時間は変わらない。

占いババによって残り30分しかないことを知らされる。

「トランクス君はまだ戻らないのかな?」

「あいつのことだ…すぐに戻るだろう…今回のことは残念だったな…」

「うん、久しぶりに家でお母さんの料理が食べられると思ったのにさ。残念…お父さん達との勝負も半端に終わっちゃったし…色々と残念だなあ!」

やり残したことがあるのに出来ないのは不満なのか空を見上げながら愚痴った。

「相変わらずだなお前は」

7年前と比べてあの世での生活に慣れたせいか、多少ズレてしまったが、本質は全く変わっていない。

「ピッコロさんも相変わらず変わってないじゃない。変わらないのはピッコロさんの弟子らしくて良いんじゃない?」

「…まだ俺を師だと思っているのか?」

随分と実力に差をつけられてしまったと言うのに今でも師匠だと言ってくれる悟林にピッコロは目を見開いた。

「当たり前じゃない。ピッコロさんがいなかったら魔閃光も魔貫光殺砲も使えなかったんだから」

この2つの技には随分助けられている。

ピッコロがいなければ今の自分はない。

「そうか…後は俺達に任せておけ。お前はあの世に戻っても修行を怠るな」

「するわけないじゃない。やることはまだまだ山ほどあるし」

自分には課題が山ほどあるのだ。

修行を怠る余裕などない。

少ししてドラゴンレーダーを取りに行っていたトランクスが戻ってきた。

「悟林さん!取ってきたよドラゴンレーダー!」

「ありがとうトランクス君!」

「凄かったよな悟天!超サイヤ人3!」

「うん!凄い気だった!」

最初に見せようとした超サイヤ人3の変身は途中で中断してしまったので完全な変身のパワーに幼い2人はすっかり憧れを抱いてしまったようだ。

「そんなに2人に喜んでもらえたなら7年間の修行は無駄じゃなかったわけだ…どうせ30分ならもう一度見せてあげよう!」

「おい!そんなことをすれば残りの時間が…」

「どうせ30分しかないなら大した違いはないよピッコロさん。それならこの変身を間近で見せて2人の糧にさせた方がブウを倒す大きな力になる。2人も見たいよね?」

「「見たい!」」

ピッコロの制止に笑みを浮かべると2人に確認を取る。

2人も当然、間近での変身が見たいのか即答であった。

「それじゃあ、しっかり見とくんだよ!」

最後の力を振り絞って超サイヤ人3へと変身する悟林。

しかし、変身出来たのはほんの僅かな時間で30分の残り時間を使いきってしまった。

それにより現世からあの世に戻ることになるのであった。

「それじゃあ私は帰るよ。後は頼んだよ悟天…トランクス君。ドラゴンボールでナメック星に飛ばしてもらってナメック星のドラゴンボールを使わせてもらいなよ。ナメック星のドラゴンボールならベジータさんも生き返れるから」

「ほ、本当に!?パパが!?」

「勿論、だから頑張ってブウを倒して…お父さんと悟飯が戻ってくるまで…悟天のこと頼んでいいかな?」

「うん!分かった!」

「ほら!お母さんも元気出して!2人のことだから生きて帰って来るし…お母さんにはまだ悟天がいるじゃない!」

「で、でもよ…もし魔人ブウに殺されちまったら…」

夫の悟空は生死不明で長男の悟飯も行方不明、長女の悟林はこれからあの世に帰ってしまう。

残るは次男の悟天のみなのだから寂しくて仕方ないだろう。

「大丈夫、2人なら必ず魔人ブウを倒せる。フュージョンさえすれば私を超える戦士になれる。一応閻魔大王様にお父さんと悟飯について聞いてみる。もし死んでたら界王様を通じて連絡を寄越すから」

「あの…お姉さん。」

「何?」

ビーデルに話しかけられた悟林は彼女の申し訳なさそうな表情に首を傾げた。

「7年前のセルのことを悟飯君から聞きました。お姉さんと悟飯君がセルを倒してくれたんですよね?それなのに私のパパが…」

「ああ、サタンさんがセルを倒したってこと?別に良いよそんなこと。テレビとかそんなの迷惑なだけだし、寧ろサタンさんがスケープゴートになってくれて助かってるよ。有名になりたくて闘ってるわけじゃないし、私は強い相手と闘いたかっただけだから。だからビーデルさんはそんなこと気にしなくていいの、これからもサタンさんには私達の都合の良いスケープゴートでいてくれないとねぇ…それよりもし悟飯が帰ってきたら悟飯をよろしく。帰ってきて再認識したけど、あの子…まだまだ甘ったれなとこあるからさ。よろしくね彼女さん」

「か、彼女…!?わ、私達はそんな仲じゃ…!」

「照れない照れない」

ニヤリと笑いながらからかってくる悟林にビーデルは何も言い返せなかった。

「…姉ちゃん」

不安そうに見上げてくる悟天。

頼りになる存在が一気にいなくなり、不安で一杯なのだろう。

まずはブウを倒すことが先決であり、それさえ乗り越えれば地球とナメック星のドラゴンボールで完璧に元に戻せる。

分かってはいても、せっかく会えた姉と遊べもしないうちに別れてしまうことになるのは嫌だ。

「悟天、お父さん達が帰るまでお母さんを頼むよ」

「うん…」

「長生きして、下界を満喫してからあの世に来るんだよ。お姉ちゃんは天国で待ってるから」

悟林に抱き上げられると最後となる触れ合いに頑張って泣かないようにしている悟天は我慢のしすぎで顔が赤くなっており、そんな弟を抱き締めて頭を撫でると今度こそあの世に帰ることになった。

「それじゃあみんな!死んだらまた会おうねー!」

「悟林さーん!俺達頑張るよー!」

トランクスの声に笑みを浮かべて悟林はあの世に戻り、早速閻魔大王に悟空と一応悟飯の生存を確かめる。

閻魔大王は名簿を調べてくれたが、悟空と悟飯の名前はなかった。

「来とらんぞ、お前の父や弟ならすぐに分かるはずだしな」

「そっか…ありがとう閻魔大王様!」

2人は無事に生きていることを確認した悟林は、界王星に向かおうとした時であった。

「あー、やっぱり悟林じゃねえか!」

「え!?お父さん!?」

目の前に現れたのは父親の悟空であり、体の包帯が痛々しいが元気な姿であった。

「お父さん、生きてたんだ。どこにいたの?」

「オラと悟飯は界王神様に助けられてな、今まで界王神界にいたんだ。それよりどうしておめえがあの世に戻ってんだ?まだ1日はまだ過ぎてねえだろ?」

「実は…話すよりお父さんに見てもらった方が早いね」

「おう」

悟空が悟林の頭に触れると記憶を覗いていく。

バビディや魔人ブウのこと、超サイヤ人3への変身で現世にいられる時間が極端に縮んだこと。

そして悟天とトランクスが最後の希望となってフュージョンを習得するために修行に励んでいること。

ベジータが3人を守るために命を散らしたこと。

悟林の頭から手を放すと悟空は複雑な表情で空を見上げた。

「そうか…ベジータが…」

「ベジータさんが助けてくれたから何とか今の状況があるんだ。感謝しても足りないよ」

「そうだな、よし…悟林。おめえも界王神界に来てくれ。悟飯が修行してる間に組み手とかしてえし」

「分かった。お父さん達のことも聞かせてね」

悟空の手を握ると、瞬間移動で界王神界に。

そこにはピッコロと同じ道着を着た悟飯が何故か剣を振っていた。

「ね、姉さん!本当に姉さんだ!」

「おー、悟飯。ようやくまともな格好になったね。グリーンヤサイマンのダッサい服だったら殴ってたよ」

「オラが頼んだんだ」

「お父さんナイス」

流石の悟空もグレートサイヤマンの格好はダサいと思っていたようで、悟飯が幼少期から着ていたピッコロの道着を界王神の力で出してもらったのだ。

「グリーンヤサイマンじゃなくてグレートサイヤマンです!格好いいのにどうして分かってくれないかな…それより姉さんはどうしてここに?まだ1日経ってないでしょ?」

「私もどうして悟飯が剣を持ってるのかを聞きたいね」

取り敢えず互いの情報を交換することに。

悟空と悟飯は界王神によって救出され、界王神界で手当てをされていたようだ。

界王神界で採れる薬草だからか効果は素晴らしく、酷い怪我をしていた2人が短時間で自由に動き回れるくらいには回復したらしい。

「そうだったんだ…あの、お父さんと弟を助けてくれてありがとう。界王神様」

「いいえ、キビトがいれば復活パワーで完治出来たのですが」

「キビト?」

「天下一武道会で僕と試合するはずだった人ですよ。ダーブラって奴に殺されたんです」

「ふうん、じゃあドラゴンボールで生き返らせてあげないとね。ところで悟飯、剣なんて珍しいじゃない。お前が剣を使ったのは4歳くらいの時が最後だよね。」

「えっと、この剣はゼットソードって言う界王神界に伝わる凄い剣で…手にした者に凄いパワーを与えてくれるらしいんだけど…」

「へー」

悟林から見ればどこにでもありそうな剣にしか見えない。

凄いパワーを与えると言う割には悟飯の気は以前と全く変わっていない。

「ねえ、何でお父さんじゃなくて悟飯なの?はっきり言って凄いパワー手に入れた方が良いのはお父さんじゃ…」

「潜在能力は悟飯が上だからな。もしかしたらセルと闘った時みてえな力を引き出せるんじゃねえかなって…思ったんだけどよ」

頭を掻きながら全く肝心の戦闘力に変化がない悟飯に悟空もどうしたもんかと頭を悩ませる。

「どれどれ、悟飯。お姉ちゃんにそれ貸して」

「あ、うん」

「いいっ!?け、結構重たいね…!もしかしてこれを自由自在に使えるようになって初めてとんでもないパワーを手に入れられるのかな!?」

悟林はゼットソードを振り回しながら界王神に尋ねる。

「あの、界王神様。悟飯の修行が終わるまでここにいて良いかな?」

「構いませんよ。」

「ありがとう界王神様…あの、出来れば何か食べたいんで調理場を貸してもらえないかな?材料も使わせてもらえれば…超サイヤ人3に変身したらお腹空いちゃって…久しぶりに腕振るっちゃうよーっ!!」

「本当か!?オラも腹減ったぞー」

やる気満々な悟林の表情に腹を擦りながら期待する悟空。

「悟飯も食べる?」

「うん…」

恥ずかしそうに鳴る腹を擦りながら頷く悟飯。

それを見た界王神は苦笑しながら案内してくれた。

早速調理場を借りて料理を作り始める。

「……こ、これは凄い」

界王神は目の前で展開されている料理に純粋に驚いた。

次々と作られては皿に載せられる料理。

数も多いが、盛られている量が凄まじい。

「2人共、並べてくれる」

「へーい。あ、悟林。オラ炒飯食いてえ」

「はいはい、悟飯は?」

「僕は酢豚を」

「ほーい」

2人のリクエスト品を作り、自分は食べたい餃子を山盛り作って終了である。

「さあ!2人共、お腹一杯食べてね!」

「おおっ!頂きまーす!」

「姉さんの手料理久しぶりだ…!」

「………」

界王神は目の前の光景に唖然としていた。

とんでもない数と量の料理が瞬く間に無くなっていくことに。

そして全ての料理が空になった時、3人は満足そうにしていた。

「ぷはーっ!食った食った!」

「ご馳走様でしたっ!」

「はい、お粗末様」

食器を全て片付けて食後のお茶で一息。

「それにしても凄そうだよね。超サイヤ人3って…」

「興味あるの?よし、悟天やトランクス君には見せたのに悟飯だけ見せないのもあれだし、お父さんにもしっかり見せてなかったし。丁度良いや、外に出よう!超サイヤ人3を見せてあげる!」

超サイヤ人3を見せるために外に出るのであった。

そして場所は現世に戻り、フュージョン修行の休憩中にトランクスは共に休憩していた悟天に呟いた。

「なあ、悟天」

「何?トランクス君?」

「悟林さん…強かったな…」

「うん!凄く強かった!」

「強くて優しくて格好良くて…」

「うん!」

「……可愛かったよなあ…」

「…トランクス君。顔赤いよ?」

トランクスの変化に悟天は暑くなったのかと思い、水を貰いに行くのであった。 
 

 
後書き
トランクスが最大速度でレーダー回収。

フュージョンの犠牲者はクリリン。 
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