イベリス
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第三十五話 テストの結果を受けてその八
「そういうことでね」
「転勤してもか」
「明るくいけばいいのよ、本当にね」
「そんなものか」
「そう、あとね」
「あと?」
「お家に帰ったらゆっくりしてね」
夫にこうも言うのだった。
「これまで通りね」
「家は変わらないか」
「変わる筈ないでしょ」
それこそというのだ。
「何もないのに」
「それもそうか」
「別に悲観することないわよ」
夫に対して自分の娘以上にクールに述べた。
「それこそね」
「じゃあお話終わりね、あとはね」
咲は今の母の言葉を聞いて言った。
「飲むだけね」
「あんた今それ何本目?」
「最初は三五〇で五〇〇で五本目よ」
母の問いにあっさりとした口調で答えた。
「そうだけれど」
「明日学校あるでしょ」
「だからもう止めろっていうの」
「二日酔いで学校なんて行けないでしょ」
「いや、大丈夫でしょ」
「二日酔いを甘く見ないの」
ここは娘に厳しい口調で告げた。
「頭痛くて身体がだるくて大変なのよ」
「そんなに?」
「そんなによ」
娘の言葉をそのまま返してそれで答えた。
「本当にね」
「だからなの」
「もうそれ位にしなさい」
こう言うのだった。
「いいわね」
「あと一本位いいでしょ」
「じゃあ三五〇ね」
その一本はというのだ。
「いいわ」
「三五〇ね」
「もう幾ら何でも飲み過ぎだから」
自分もビールを飲みながら娘に告げた。
「それでよ」
「だからなのね」
「それで終わりよ、それで明日若し頭が痛かったら」
即ち二日酔いならというのだ。
「お風呂入りなさい、すぐにね」
「お風呂入るの」
「シャワーでもいいわ、冷たいお水頭から浴びるなりしたら」
そうすればというのだ。
「それでよ」
「お酒抜けるの」
「それから熱いお湯に入ったら確実に抜けるけれどね」
「お風呂がいいのね」
「ええ、それですっきりするわよ」
「そうなのね」
「けれどそうしようと思ったら」
風呂で二日酔いを解消しようと思えばというのだ。
「まずはね」
「早起きしないとね」
「それで頭が痛くても何とかお風呂に行って」
「お風呂に入ることね」
「そうしないと駄目よ」
「そこまでするのもね」
それはとだ、咲は母に答えた。
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