見えない鳥が見た幸せ
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第一章
見えない鳥が見た幸せ
その雌の白地で黄色いトサカがあり頬が赤いオカメインコを見ながらだった、ハワイに住んでいるドヤ=カウハメはインコを見ながら彼女を連れてきたケリー=バロウズ高い鼻で癖のあるブロンドを後ろで束ねている青い瞳の彼女に言った、見ればドヤは黒髪がかなり縮れていて後ろで長くしていて丸々と太っていて日に焼けた肌だ。目は黒い。
「目が見えないの」
「殆どね」
ケリーはこう答えた。
「だからあまり動かないでしょ」
「というか動けないのね」
「これまで飼っていた人が飼えなくなってね」
「私がそれならって言ったから」
「ええ、ここまで連れて来たケれど」
「任せて」
ボランティアでそうしてくれた友人に真面目な顔で答えた。
「目が見えなくてもね」
「この娘を幸せにしてくれるのね」
「約束するわ」
こう言うのだった。
「必ずね」
「お願いね、目が見えなくてもね」
それでもとだ、ケリーはドヤに切実な顔で話した。
「この娘は凄くいい娘だから」
「それに命だからね」
ドヤも言った。
「命ならね」
「ええ、大切にしないとね」
「そうよね、だからね」
「助けてくれるのね」
「そうさせてもらうわ」
こう言ってだった。
ドヤはそのインコを引き取りジンジャーと名付けた、そうしてだった。
家で飼っている多くの鳥達が一緒に暮らしている大きな鳥小屋の中に入れてそのうえで暮らしてもらった、だが。
夫のハウオ、大柄で妻以上に太ったやはり日に焼けた肌で縮れた黒髪ろ黒い目を持つ陽気な彼が妻に言った。
「早速僕にだよ」
「慣れてくれたの」
「うん、他の子達と同じ様にね」
左肩にそのジンジャーを停まらせつつ妻に話した。
「凄くね」
「懐いてくれてるのね」
「この通りね」
「そうなのね」
「よかったよ」
心からの言葉だった。
「こうしてね」
「チチチ」
ジンジャーは殆ど見えない、だが。
ハウオに顔を向けている、そしてとても親しそうに顔を向けている。
その彼を見つつだ、夫は妻に話した。
「仲良くなれて」
「そうね、この娘は他の鳥とも仲がよくて」
妻も笑顔で述べた。
「サムソンともね」
「そうだね、仲がいいね」
「そうよ」
「それでサムソンは?」
「今お店の中にいるわ」
二人が経営している観光商品を売っているそこにというのだ。
「そこで接客してるわ」
「看板になってくれてるんだ」
「そうよ」
アルバイトで来ている若い子と一緒にというのだ。
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