笑顔の妹は店頭に

　　　　　　　　　　　　　　　　笑顔の妹は店頭に
　川田玲奈はあるブランドの専門店、チェーン店の一つで店長をしている。黒髪を奇麗にセットしていて元々大きくはっきりとした目と紅の小さな唇に高い鼻を持ち一六五程の背で均整の取れたスタイルと結構なものだが。
　メイクとファッションでさらに整えている、それは何故かというと。
「やっぱりブランドですからね」
「それもファッションの」
「だからですよね」
「店長さんも外見には気をつけていますね」
「そうよ、お洒落になる為のお店でね」
　玲奈自身こう答えた。
「働いている私達が整ってないとね」
「お客さんも買わないですね」
「そうですね」
「そもそも」
「だからこのことはですね」
「当然のことよ」
　店の者としてとだ、店員達に話した。
「だから皆も気をつけてね」
「外見のことにはですね」
「メイクもファッションも」
「そうですね」
「こうしたお店で働くならそこも注意しないとね」　
　奇麗になる為の店で奇麗になっていない店員がいてはというのだ、だが。
　玲奈は店員達にこうも言った。
「言うけれど人は顔じゃないから」
「元の顔立ちじゃない」
「それは問題じゃないですね」
「そうですね」
「メイクとファッションで整えることよ」
　そうすべきというのだ。
「それで笑顔よ」
「元がどうでもですね」
「整えてそして笑顔でいる」
「それが大事ですね」
「そうよ、それが大事よ」
　こう言うのだった、そして。
　大学に通っている妹の晶紀に言った、見れば姉によく似た外見だが全体的まだ幼く垢抜けていない感じである。
「あんたアルバイト先探してるのよね」
「うん、大学の講義以外にも時間あるからね」
　晶紀は姉に答えた。
「だからね」
「丁度私のお店アルバイト募集してるのよ」
「だからなのね」
「よかったらうちで働きなさい」
　こう家で言うのだった、玲奈は独身で実家で暮らしているのだ。ただし交際相手はいて結婚も考えている。
「いいわね」
「けれどお姉ちゃんのお店って」
　晶紀もそのことは知っていて言った。
「お洒落で美人揃いの」
「だからあんたはっていうの」
「お姉ちゃんより落ちるから」
　自分でこう言った。
「だからね」
「外見はメイクとファッションでどうでもなるわよ」
　玲奈は腕を組んで言い切った。
「それこそね」
「だからなの」
「それは気にしなくていいの」
　こう言うのだった。
「私が色々教えるから」
「そうしてくれるの」
「というか今あんたが欲しいのよ」
　玲奈は強い声で断言した。