八条学園騒動記
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第六百四十四話 まずいものその七
「好き好んでした戦争じゃない」
「そういうことだな」
「連合は好戦的じゃない」
「むしろ好戦的なのはあっちだな」
「だからサハラにも攻め込んだ」
「そうだな」
「そうした国だからな」
連合はというのだ。
「だからな」
「戦争はないか」
「まずな、それでエウロパに行くことはない」
決してというのだ。
「後はカトリックの聖職者になってだ」
「エウロパに赴任するか」
「それ位だな」
「それもな」
「難しいな」
「かなりな」
ただ難しいだけでなくとだ、フランツは羊のレバーを食べつつ応えた。これもまた連合ではよく食べられているものだ。
「まずカトリックの信者さんでな」
「聖職者の勉強をしてだ」
「その資格を得てだな」
「赴任されないとだからな」
「そこまでして行きたいか」
エウロパにというのだ。
「それはな」
「そうはならないな」
「ああ」
どうにもとだ、フランツは答えた。
「どうもな」
「そうだ、だからな」
「エウロパに行く人はか」
「連合では殆どいない、だからだ」
「エウロパ戦役でか」
「あそこに行った人が話を持って来た」
そうしたというのだ。
「食べてみてな」
「噂を聞いてか」
「それでだ」
そのうえでというのだ。
「そうなっている」
「そうなんだな」
「俺はな」
タムタムもここで羊のレバーを食べた、そうして語った。
「その話を聞いて絶対に食いたくないと思った」
「イギリスの料理はか」
「アイルランドの料理はもっとな」
「そっちはさらにか」
「尚この四国はお互い仲が悪い」
「歴史的なことでだな」
フランツもすぐに答えた。
「それでだな」
「特にイングランドとアイルランドはな」
「さっきの飢饉か」
「イギリス政府は何もしなかった」
その飢饉に対してだ。
「多くの人が餓え死にしてもな」
「それでもか」
「容赦なく麦を取り立てた」
「麦を食えたのにか」
「採れなくなったのはジャガイモだけだった」
あくまでというのだ。
「それで麦は採れていたがな」
「その麦を取り立ててか」
「餓え死にするに任せた」
「それで今も仲が悪いか」
「アイルランドはイギリスに何かあると絶対にイギリスの敵に回る」
エウロパの中でそうしているというのだ。
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