耳の中まで清潔に
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第一章
耳の中まで清潔に
林若葉は奇麗好きである、職業はOLでいつも自分の席は整理整頓していて部署の掃除は怠らず課の皆が使うコップもだ。
「いつも熱消毒からしてるわよね」
「だってそうしたことはしっかりしないと」
若葉は同僚の井伏早苗に話した、黒い髪の毛を後ろで束ねていて切れ長の気の強そうな目と面長で顎の先が尖った顔をしている。唇は紅でやや大きく鼻は高く耳は大きい。背は一六四位でグラビアアイドル並のスタイルである。
見れば爪は短く服も汚れがない。髪の毛からはシャンプーの香りがしている。
「汚いでしょ」
「だからなのね」
「そう、だからコップとか湯呑もね」
「毎日熱消毒してるのね」
「そうよ」
「それであんた自身もなの」
早苗は若葉に言った、茶色がかった黒髪はショートでおっとりとした感じの目でやや丸顔である。背は一六〇程で胸は大きい。二人共会社の制服である水色のブラウスと青の上着そして膝までのタイトスカートという恰好である。
「毎日ちゃんとなのね」
「当然お風呂に入ってね」
「三食の後歯磨きしてるのね」
「夏は朝にシャワー浴びてね」
「夜にお風呂ね」
「そう、汗かくしね」
「湯舟に入るとその分垢や汚れが落ちるし体臭もね」
こちらもというのだ。
「お湯に出るから」
「洗い落とすだけでなくね」
それに加えてというのだ。
「湯舟にも浸かってよ」
「奇麗にしてるのね」
「隅から隅まで洗ってね、それでお部屋もね」
自分が住んでいるそちらもというのだ。
「キッチンも玄関もおトイレも」
「全部いつもよね」
「奇麗にしてるの、食べものも」
これもというのだ。
「生ものは食べてもね」
「新鮮なもので」
「そうでないとね」
「じっくり火を通す」
「そうしてるわ」
「兎に角清潔になのね」
「そうしてるわ」
こう言ってだった。
若葉は毎日清潔にしていた、手もよく洗い傍には消毒用のアルコールが常備されていた。だがある日だった。
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