愛しい雀達
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第二章
「後はね」
「団体の方でだね」
「あの娘を自然に返してくれるそうよ」
「後は専門家の人達がやってくれるね」
「そうなったわ」
「それは何よりだね、ペッパーが救ってくれた命はね」
「これで自然に帰られるわ」
「それは何よりだよ」
夫もその話に喜んだ、この話はエリシャによってインターネットで拡散されたが。
その話を知ったスロベニアの街コペルに住む中年の夫婦イワノフ=ストラゴフとターニャの夫婦はこう話した。二人共ブロンドであり夫の目は青く妻は黒い。見れば夫の方が妻より三十センチは高い。
「雀の雛と出会うなんてね」
「うちと同じね」
「そうだね」
夫は妻と話してだった、ここで。
部屋の庭の隅にいる二羽の雀を見た、見れば彼等はご飯を食べている。
「チチチ」
「チチッ」
雀達を見ながら夫婦で話した、二人でリビングの中でスマートフォンでその話を見ながら話している。
「チビとマリとね」
「雌なのも同じね」
「この娘達とね」
「僕達は預かってね」
「ええ、保護してね」
「暫く育てて自然に返すつもりだったけれど」
それがというのだ。
「外に連れ出して巣立たせてもね」
「いつもすぐに戻って来るから」
「だからね」
そうした状況でというのだ。
「家で一緒に暮らして」
「今はこうして家の扉はいつも何処も開けて」
「自由に飛ばせてね」
「外出もさせてるけれど」
二羽を見ながら話した。
「いつもすぐに戻ってくれるし」
「僕達の近くにいるからね」
二人が仕事で家にいない時以外はそうしている。
「子供達にも懐いていて」
「子供達も大事にしてくれてるから」
「これからもね」
「この子達と一緒だよ」
「そこはイギリスのこの人達とは違うけれど」
「雀と出会えて保護したことは同じだね」
このことはというのだ。
「そうだね」
「ええ、そう考えるとこうした話もね」
「あちこちであるのね」
「うん、助けた命は大事にしないとね」
「よくないよ」
夫婦で話した、そしてだった。
夫の肩に左右一羽ずつ停まってきた彼女達に笑顔を向けた、そうして指を出すと二羽はその指の先をじゃれて軽く突いてきた。夫婦はそんな二羽を見て優しい笑顔になっていた。保護した二つの家族になった命を見て。
愛しい雀達 完
2021・12・27
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