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イベリス

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第三十四話 中間テストの結果その十一

「そう思われますね」
「そうですね、どう聞いても」
「やはり復讐鬼に幸せは訪れません」
「憎しみに心を支配されていると」
「笑う門には福来るといいますし」
 速水はこの言葉も出した。
「憎しみに心を支配されていますと」
「幸せは訪れないですか」
「笑っていませんから」
 今言った言葉の逆にというのだ。
「ですから」
「そういうことですか」
「伍子胥が笑ったのは父と兄の仇の国を攻め」
 その楚をというのだ。
「そして墓を暴き」
「死体を鞭打った時ですか」
「その時でしょう」
「復讐を果たしている時ですか」
「その笑みは決していい笑みではなかったでしょうし」
「幸せは訪れず」
「結局です」
 その最期はというのだ。
「悲惨なもので」
「怨みも残ったんですね」
「そうでしょう」
「そう思うといいものではないですね」
「左様ですね」
「やっぱり笑う方がいいですし」
 咲はしみじみとした口調で言った。
「劣等感や憎しみをバネにしても」
「それよりもプラスの感情をそうしてですね」
「努力すべきです、ヒトラーにしましても」
「最期は負けていますね」
「ドイツを崩壊させました」
 一度は救った彼が愛して止まなかった国をだ。
「そうなりましたので」
「やっぱり、ですか」
「はい、劣等感は誰にでもあり」
「それをバネにしてもいいですが」
「重いと忘れて」
「プラスの方向で努力すべきですね」
「そうかと。人間は複雑ですが」 
 劣等感や憎しみからも成長するがというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「そうしたことも頭に入れて」
「頑張ることですね」
「それがいいでしょう、そして小山さんは」 
 速水はここでまたカードを引いた、すると今度のカードは教皇だった。彼はそのカードを見て咲に話した。
「学業はこのままされていかれますと」
「いいですか」
「はい」
 そうだというのだ。 
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