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イベリス

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第三十四話 中間テストの結果その七

「そうですね」
「左様ですね」
「異常に眼光鋭いですが」
「それはありますね」
「あのお髭ないとかなり怖い顔になったかも知れないですが」 
 それでもというのだ。
「それでも顔立ち自体は」
「悪くないですね」
「そうですね」
「しかも背もありました」
「小男とか言われてたんですよね」
「実は背は一七五程ありました」
「高いですね」
 ヒトラーのその身長に驚いた。
「一七五って」
「当時のドイツでは高い方でした」
「そうだったんですね」
「そして女性の権利も保証したので」
「それでなんですか」
「女性からの支持も圧倒的で」
 それでというのだ。
「プレゼントがいつもうず高く積まれていました」
「プレゼントも凄かったんですか」
「しかもです」
 それに加えてというのだ。
「女性と浮いたお話がなかったです」
「言われてみると」
 咲はここでも気付いた。
「あの人そうしたお話ないですね」
「エヴァ=ブラウンという人はいました」
 恋人であり自殺直前に結婚した相手である。
「ですがそうした人がいてもです」
「ヒトラーにはですね」
「女性のお話はなく」
「女性に清潔だったんですね」
「そうです、ですから」
 それでというのだ。
「そのこともあってです」
「ヒトラーは女性に人気があったんですね」
「そうです、カエサルよりもです」
「もてたんですか」
「そうでした、人類の歴史上最もです」
「もてた人の一人ですか」
「私はそう見ています」
 こう咲に話した。
「ヒトラーはカエサル以上にです」
「もてた人でしたか」
「そしてドイツを立て直した人でもあったのです」
「そう思うと凄い人だったんですね」
「英雄と言えました」
「英雄ですか」
「そうです、一度はドイツを救った」
 戦争に負けたことは事実であるがだ。
「ドイツの英雄だったのです」
「当時はそうだったんですね」
「だから絶大な人気がありそれに見合う能力もです」
「あったんですね」
「少なくとも政治家としてはそうでした」
「優秀な政治家だったんですね」
「人類の歴史でもかなりのレベルの」
 そこまでというのだ。
「英傑でした、ですが劣等感はです」
「かなりあって」
「塊でした」
「そうだったんですね」
「しかしです」
「その劣等感からですか」
「あそこまでなりました」
 まさにというのだ。
「ドイツの総統にまで」
「美大の浪人生からですね」
「そうです、ですから劣等感はです」
「バネにもなるんですね」
「はい、ですがそれに押し潰れないことです」 
 劣等感、それにというのだ。 
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