純文学の方が
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第二章
「そっちの方が凄いよ」
「ああしたエロ本よりも凄いな、確かに」
「谷崎ってそうだよな」
「耽美っていってな」
「かなりハードな作品あるよな」
「実際発禁処分にもなって」
谷崎の作品はそうなった作品も存在している。
「国会でも話題になったな」
「芸術か猥褻かって」
「人妻同士の同性愛ものとかな」
「そうした作品もあって」
「かなり凄いな」
「そうした純文学の作品の方がな」
むしろというのだ。
「凄いな」
「そうだよな」
「本当にな」
「ああしたエロ本よりもな」
「純文学の方が凄いな」
「読んでみてわかったよ」
そうした作品をというのだ。
「エロ本よりもな」
「そうだよな」
「純文学の方が凄い」
「本当にな」
「実はそうだよな」
「ああ、そのことがわかったよ」
大学生になってとだ、彼は言った。そうしてだった。
谷崎の作品をさらに読んでいった、そしてその内容にこれはもう下手なそうした本を越えていると唸るのだった。純文学の方が凄いと。
そしてギリシア神話についても友人達に話した。
「兄嫁、義母、娘、人妻、息子の嫁、叔父と姪しかも同性愛もありでな」
「滅茶苦茶だな」
「もう何でもありだな」
「もう倫理観欠片もねえな」
「フランス書院だな」
「神話もかなりだな」
「ああ、本当に俺達が子供の頃読んだ本なんてな」
それこそというのだ。
「何でもないよ」
「本当にそうだな」
「谷崎も凄いけれどな」
「神話も凄いな」
「文学の方がな」
「かなり凄いな」
こう言うのだった、荷風は大人になってわかったのだった。そして子供の頃の自分の怯えていたことを鼻で笑った。
純文学の方が 完
2021・12・20
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