歪んだ世界の中で
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最終話 再会その八
そうしたものを出してだ。こう希望に言うのである。
「せいらい食べて学校に行くんやで」
「そうしいや」
「うん、有り難う」
シャワーを浴びて制服を着てテーブルの前に出た希望は笑顔で応えた。
そのうえで席に座ってだ。二人に言うのである。
「全部食べさせてもらうね」
「御飯もやで」
「ちゃんと食べるんやで」
「そうするね。じゃあ」
早速だった。おばちゃんが丼に山盛りの御飯を出してきた。その御飯を受け取ってだ。
希望は早速食べはじめた。その中でだった。
おかずも食べてだ。それで言うのだった。
「美味しいよ。お魚も卵焼きも」
「酢のものどないや?」
「お漬物は」
「勿論美味しいよ」
そうしたものも食べてだ。希望はまた言った。
「何か今日は特別美味しいよ」
「そやろ。そやったらな」
「一杯食べて学校に行くんやで」
「そうするね。何かこんないいはじまりになるって」
はじめてだった。希望にとって。
「思わなかったよ」
「うち等は希望がそう思ってくれるからなんやで」
おばちゃんが笑顔で希望に話す。
「それで色々したくなるんや」
「だからなんだ」
「そやで。希望が笑顔になるさかいな」
それでだというのだ。
「それでこうしてるんや」
「そうなんやで」
ぽぽちゃんも笑顔で言ってくる。
「うち等は希望の親やさかいな」
「親だからなんだ」
「血はつながってないけれどやで」
「心がそやから」
「心だね」
心、それ故にだとだ。
希望も頷いた。例え血がそうであってもだった。
希望はあの二人を親とは思えなかった。それも全くだった。
しかし今目の前にいるおばちゃんとぽぽちゃんは違っていた。二人はというと。
「僕の親はやっぱりね」
「うち等やな」
「そう言ってくれるんやな」
「二人以外にないよ」
微笑んでの言葉だった。春の朝に相応しい。
「僕の親はおばちゃんとぽぽちゃんだよ」
「うち等もやねんで」
「希望は子供やねんで」
自分達のだ。それだというのだ。
「うち等の最後の子供や」
「心の子供やで」
「そうだね。僕はおばちゃん達の心の子供だよ」
にこりとしての言葉だった。
「それ以外の何でもないよ」
「じゃあ食べて行って来いや」
「今日から二年生やな」
「うん。二年になったよ」
その分成長したということもだ。希望はわかっていた。
それでだった。二人が作ってくれた御飯を食べて歯を磨いてからだ。
二人に挨拶をして家を出た。するとその前にだ。
真人がいた。彼が笑顔で挨拶してきた。
「おはようございます」
「おはよう。じゃあね」
「行きましょう。今から」
こう笑顔で挨拶を交えさせてだった。二人で登校する。
その朝の学校の校門を見る。本当に今の希望の家から見てすぐの場所だ。
校門に生徒達が次々に入る。希望は桜で飾られた校門を見て目を細めさせていた。
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