オズのラゲドー氏
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第九幕その四
「また旅かい?」
「ええ、イッソスの国に行くけれど」
「その途中にだね」
「ここを通るから」
「それでここに来たんだね」
「そうなの、ではこれからね」
鷲頭の人に言いました。
「お願いするわ」
「それじゃあね」
「では乗りましょう」
トロットは他の人達にも声をかけました。
「そうしましょう」
「わかりました」
ナターシャが応えました。
「今からヨットにですね」
「乗りましょう、そしてね」
「お空を進んで」
「向こう側に行きましょう」
「さあ、乗って乗って」
鷲頭の人は皆に言いました。
「船旅を楽しんでくれ」
「是非そうさせてもらうよ」
前ノーム王は鷲頭の人に笑顔で応えました。
「これからね」
「うん、それであんたは確か」
「前のノーム王だよ」
自分から名乗ります。
「ラゲドー、昔の名前はロークワットといったよ」
「そうだったね、しかし」
「しかし?」
「あんた凄く晴れやかな顔をしているね」
前ノーム王のその顔を見て言うのでした。
「今はね」
「そうかい?」
「にこにことして眼の光は穏やかで澄んでいて」
そうしてというのです。
「お肌もツヤツヤで赤々としていて」
「それでなんだ」
「凄くね」
「いい顔なんだね」
「今のあんたはね」
「さっきまでドーナツやケーキを食べていたよ」
「楽しんでいたんだね」
「そしてもう百年は楽しく暮らしているよ」
「だからだね」
それならとです、鷲頭の人も頷きました。
「今のあんたは」
「うん、幸せでね」
それでというのです。
「不平不満もないから」
「そんな顔になっているんだね」
「そうだと思うよ」
「いいね、今のあんたとはね」
鷲頭の人は笑って言いました。
「誰もが仲良く出来るよ」
「そうなんだね」
「そう思うよ、それじゃあね」
「それならだね」
「あんたも乗ってくれ」
ヨットにとです、こうしてノーム王も他の人達もヨットに乗りました。皆が乗り終わるとヨットはすぐにでした。
出発しました、すると風がないのにです。
ヨットは帆に凄い追い風を受けた様に進みはじめました、ナターシャはその速さに驚いて言いました。
「飛行機みたいに」
「速いね」
「はい」
キャプテンに答えました。
「これは」
「これがだよ」
「ここのヨットなんですね」
「そうなんだ」
こうナターシャにお話します。
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