八条学園騒動記
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第六百四十二話 修羅道その十一
「駄目だ、そしてそうした団体でなくともな」
「それでもか」
「そうした団体と同じ様なことを言っているなら」
「信じないことか」
「その団体の関係者でない様でだ」
そう見えてというのだ。
「その実はな」
「違うか」
「裏にいるか実はつながっている」
「そうしたことがあるか」
「そうでなくとも自分が気付かないうちに影響を受けている」
「気付かないうちにか」
「人は自分の考えに近い意見に影響されやすい」
タムタムはその人間の習性の話もした、このことは人間が人間である限り変わらないことであろうか。
「相手もそれがわかっていてだ」
「言っていてか」
「影響を与えていってな、若しくはな」
タムタムはフランツにワインを飲みつつ苦い顔で話した、そのワインも苦みがあるがより苦いものを味わってのことだ。
「団体がそうした意見を学んでだ」
「それでか」
「自分が操れそうな相手の好む言葉を第三者のふりをして吹聴してだ」
「相手が気付かないうちに影響を与えてか」
「自分と同じ様な意見にさせてだ」
そのうえでというのだ。
「共に動かす」
「そうしたこともしてくるか」
「カルト教団はそうしたことのプロだ」
こうした工作のというのだ。
「だからだ」
「そんな回りくどいこともするか」
「カルト教団は手段を選ばない」
一切、そうした言葉だった。
「自分達の影響力を拡大させる為にはな」
「影響を与えやすい言葉を学んでか」
「そしてそれを第三者のふりをしてな」
「ネットでの無名の書き込みか」
「それだ」
まさにとだ、フランツに答えた。
「それであれこれ書き込んでな」
「相手を気付かないうちに取り込んでか」
「徐々に自分に近いそしてやがてはな」
「同じ考えにか」
「していってな」
そうしてというのだ。
「勢力を拡大させてだ」
「自分達の思惑通りに世の中を動かすか」
「それが手だ」
そうした団体のというのだ。
「そして戦争もな」
「煽るか」
「そうする、だから俺はカルト教団が嫌いだ」
鶏の皮、串に刺さったそれを噛んだ。そうして串から食い千切って口の中に入れてそうして咀嚼しつつ語った。
「やり口がこうしてだ」
「汚いからか」
「しかも教理は大抵碌なものじゃない」
それ自体もというのだ。
「他の宗教のつなぎ合わせで教祖への個人崇拝だ」
「それになっているか」
「カルト教団の特徴の一つだ」
教理が他宗教のつなぎ合わせで教祖への個人崇拝はというのだ。
「しかも教祖は生きている」
「生き神様か」
「そうした団体はほぼ確実にそうだ」
教祖を神としているというのだ。
「代理人だの言わない」
「預言者ともか」
「しかも異様に金に汚い」
「そういえばそうだな」
フランツはつくねを食べつつ頷いた。
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