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レーヴァティン

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第二百三十二話 北の端までその五

「最初の相国、宰相でだ」
「建国を支えた」
「そうなのですか」
「善政を行い」 
 そうしてというのだ。
「主の劉邦の危機を常に救った」
「劉邦も神ですね」
「この世界の神の一柱です」
「中国の方の」
「そうなっています」
「俺の起きた世界では皇帝となった」
 英雄は劉邦のことも話した。
「器が大きく人を惹き付けてだ」
「そうしてですか」
「皇帝となったのですね」
「上様が起きられた世界の劉邦は」
「皇帝となってからは猜疑心の塊となったがな」
 そうして多くの功臣を粛清し蕭何にも執拗に疑いの目を向けた、その為皇帝になって以降の彼を好まない者も多い。
「しかしそれまではだ」
「器が大きかった」
「そうでしたか」
「そちらの世界の劉邦は」
「劉邦は戦えば常に敗れた」
 項羽にだ、もっともこれは項羽が強過ぎたと言うべきか。
「だが敗れてもその都度だ」
「蕭何がですか」
「助けたのですね」
「善政を行う彼が」
「戦場の後ろにいてだ」
 即ち後方にというのだ。
「その地を万全に治め軍に兵や兵糧や武具をだ」
「送っていましたか」
「常に」
「そうして助けていましたか」
「そうだった、劉邦の下には多くの人材がいたが」
 これも劉邦の器が引き寄せたものだ。
「その中でもな」
「蕭何は随一だった」
「そうだったのですね」
「上様が起きられた世界では」
「若し蕭何がいなければ」
 その場合はというと。
「劉邦は建国し国を統一出来たか」
「危うかったですか」
「あの神おらずして」
「そうでしたか」
「張良や韓信もいた」
 二人共この世界では神となっている、張良は知恵の韓信は戦いの神としてそれぞれ名を知られている。
「しかしそれ以上にな」
「蕭何がいた」
「だからこそ劉邦は勝てた」
「そうなのですね」
「あの項羽にな」
 項羽もまたこの世界では神だ、それも戦を司る神として非常に高位にある。
「そうだった」
「項羽ですか」
「劉邦も位の高い神ですが」
「項羽も然りです」
「ただ武だけなら恐ろしいまでの強さです」
「韓信以上です」
「力は山を抜き気は世を覆う」
 英雄は項羽が詠ったという詩も出した。
「その言葉通りだな」
「はい、項羽の強さは」
「まさに武の神の中の神です」
「その強さは群を抜いています」
「恐ろしい強さです」
「劉邦がその項羽に勝てた第一の功がだ」
 それがというのだ。
「蕭何にある、わかるな」
「そちらの世界の蕭何は常に兵や兵糧を送りましたね」
「軍に」
「若しそれをせねば」
「軍は戦いません」
「そうだ、飯を食わねばだ」
 そうしなければというのだ。 
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