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レーヴァティン

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第二百三十二話 北の端までその二

「本音を言うとな」
「本音?」
「本音といいますと」
「俺としてはここにいるよりだ」
 会津で全体の采配を振るうよりはというのだ。
「やはり軍勢を率いてな」
「そうしてですか」
「そうして戦いたいですか」
「上様としては」
「軍勢の采配を直接執ってな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「そうですか、しかしですね」
「上様としてはですね」
「この度はですね」
「ここで采配を執られますね」
「その様にする、これも戦でだ」
 そうしてというのだ。
「知っておくべきでありな」
「果たされるべきですね」
「戦だからこそ」
「左様ですね」
「そう思うから俺はここにいる」
 この会津にというのだ。
「そうしていく、しかしだ」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「余程のことがあれば動く」
 その時はというのだ。
「戦場に出てな」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「戦われますね」
「その様にされますね」
「決めたことは変えないが」
 それを続けるというのだ。
「時と場合に合わせる」
「そうして動く」
「臨機応変も大事ですね」
「政においては」
「政は常に動く」 
 そうしたものだというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「何が起こるかわかりません」
「だからこそですね」
「その都度行動を変える」
「そうされますね」
「そして戦ってだ」
 そのうえでというのだ。
「目的を果たす、では今は会津にいる」
 あらためて言った。
「そうする、これもまた戦だからな」
「わかりました、それではです」
「その様にお願いします」
「これからも」
「その様に」
「奥羽での戦が終わるまでな」
 実際にこう言ってだった。
 英雄は会津に留まり全軍の指揮を執り続けた、戦場には出ないが彼は常に戦場を見ていた。そうしてだった。
 盛岡に兵を進ませかつだった。
 軍をそれぞれ北上させて国人達もだった。
「そうか、秋田と宮古がか」
「はい、それぞれの国人達がです」
「彼等が降りました」
「そうなりました」
 報をする者達が英雄に答えた。
「そして男鹿の方もです」
「川井の国人達も降りました」
「そして北の国人達も」
「降る動きを見せています」
「これで盛岡を囲める、袋の鼠となるならば」
 それならというのだ。 
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