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八条学園騒動記

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第六百四十二話 修羅道その五

「しかしそれでもだ」
「揉めてばかりだな」
「内輪揉めがない時期はない」
 その千年の間というのだ。
「まさにな」
「それで平和か」
「戦争がないだけで平和か」
 タムタムはフランツに自問する様に問うた。
「一体」
「戦争がないことはいいことだな」
「人が死んでものが壊れる」
「本当にいいことはないな」
「だから戦争がないことはいいことだ」
 このことだけでというのだ。
「特に宗教やイデオロギーが絡まないとな」
「いいか」
「尚更いい、しかしだ」
 それでもというのだ。
「それだけで平和か」
「戦争がないだけでか」
「各国間の武力衝突がなくてな」
 そして中央政府ともだ、連合では内輪で揉めても経済制裁等はあっても武力は誰も政治的解決の手段とはしないのだ。
「それでもだ」
「揉めてばかりでか」
「辺境には宇宙海賊もいるしな」
 このこともというのだ。
「問題だ」
「だからか」
「連合は平和であってもな」
 このことは事実でもというのだ。
「真のものか」
「平和は平和だろう」
「平和だがだ」
 それでもというのだ。
「真のものかというと」
「疑問か」
「間違いではないと思うが」 
 連合は平和であることはというのだ。
「しかしその通りかというと」
「疑問が残るか」
「真かというとな」
「真の平和は何かか、か」
「やはり人が争わずな」
「内輪揉めなぞしないでか」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「共に助け合い友好的にだ」
「暮らしているか」
「そうした世界がだ」
「真に平和な社会か」
「江戸時代の日本も真の平和と言えるかそう言うと疑問だが」
 それでもというのだ。
「今の連合よりはな」
「真の平和に近いか」
「俺はそう思う」
「そうなのか」
「多くの人種や民族、文明、文化、宗教が共存共栄していることは素晴らしい」
 連合のこのことはというのだ。
「だが内輪揉めばかりなのはな」
「よくないな」
「ああ、よりよくしていく様に努力する」
「それが大事か」
「エウロパの連中みたいに白人至上主義を掲げてだ」
 タムタムは連合の反面教師として敵である彼等の名前を出した。
「キリスト教徒でないと皆殺しで奴隷もいてだ」
 そうしてというのだ。
「植民地で搾取の限りを尽くす」
「俺達はそれはないな」
「全くな」
 そうした要素はというのだ。
「皆平等で血も好まずな」
「搾取もしないな」
「そうした素晴らしい国だ、だがもっと素晴らしくなる」
 今以上にというのだ。 
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