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イベリス

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第三十二話 夜の会話その十二

「沢山の人が死んだのよ」
「殺し合いで」
「それでこの人が生きていたらってね」
 その様にというのだ。
「思うこともあるの」
「そうなのね」
「ええ、けれど思っても」
「それは神様のお仕事ね」
「それでも出来る限り生きることよ」
 その努力はしろというのだ。
「いいわね」
「神様が決めていても」
「なる様になるところはあっても」
「自分自身も努力をして」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「生きていくことね」
「そうよ、だからお勉強も頑張って」
「寝ることもなのね」
「頑張るのよ、一切努力しない人は駄目だけれど」
 それでもというのだ。
「無理をしてもね」
「駄目なのね」
「よく寝なさい、寝て悪いことはないでしょ」
「そうね、じゃあ今から寝るわね」
「歯を磨いたわね」
「もう磨いたわ」
 咲は笑顔で答えた。
「お水も飲んだりおトイレも行ったわ」
「じゃあ心おきなくね」
「寝ることね」
「そうしなさい、そして寝て」
「テストを頑張るのね」
「そうしてね」
 こう話してそうしてだった。
 咲は母にお休みと言ってから自分の部屋に戻って寝た、そして朝起きてすぐに母におはようと言ってだった。
 朝食を食べたが母にその朝食を見て言った。
「今日はパンなの」
「トースト買ったけれどもう賞味期限だからね」
「それでなの」
「今日はパンにしたの」
 そうしたというのだ。
「今日はね」
「そうなのね」
「それでおかずもね」
 そちらもというのだ。
「パンに合わせてね」
「ハムエッグとプチトマトにしたの」
「飲みものは牛乳にしたの」
「成程ね」
「バターあるから」
 母は自分の席に着いた咲にトーストに塗るものの話もした。
「塗る?」
「それじゃあね」
「咲はトーストにはバターよね」
「普通の食パンだとジャムでね」
 この組み合わせでというのだ。
「トーストの時は」
「バターね」
「それが美味しいからね」
「そこお母さんと一緒よね」
「お父さんはどっちでもバターよね」
「お父さんジャムはヨーグルトに入れるのよ」
 そうして食べるというのだ。
「一番好きなのは苺なのよ」
「苺ジャムって一番人気あるわね」
「咲も好きでしょ」
「ううん、私はジャムは結構何でもいけるから」
 咲は自分のトーストにバターを塗りながら答えた、トーストの熱で塗られたバターが程よく溶けていっている。 
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