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八条学園騒動記

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第六百四十一話 餓鬼道その六

「害虫は害虫同士で集まるな」
「そういうことだな」
「それも草った場所に集まる」
「害虫らしくか」
「ゴキブリはゴキブリ同士ゴミに集まる」
 タムタムはこうも言った。
「だからだ」
「それでか」
「あいつはそうした世界でないとな」
「生きていけないか」
「そういう奴だ、性格も悪過ぎたら更正出来ない」
 そうなるというのだ。
「最早な」
「そのことを覚えておくべきか」
「絶対にな」
 それこそというのだ。
「宜しく頼む」
「更正するにもそれだけのものが必要か」
「一点でもあればいいんだ」
「一点か」
「ほんの少しでもな、しかし零だとな」 
 全く何もないならというのだ。
「もうな」
「更正も出来ないんだな」
「零だとな、流石にそんな奴は滅多にいないが」
「それでもか」
「いることはいる」 
 世の中にというのだ。
「更正させようとしてお寺や教会に入れる」
「そうした時は宗教か」
「宗教は何の為にあるか」
 タムタムはフランツに話した。
「人の倫理となり心の拠り所となりだ」
「人を救うか」
「その為のものだからな」
「そうした奴を更正するにもか」
「やはりな」 
 何と言ってもというのだ。
「宗教がだ」
「存在しているか」
「だからどうしようもない不良やろくでなしもだ」
「お寺や教会に入れてか」
「修行させて教えを学ばせてな」
 そうしてというのだ。
「更正させる」
「そうした話は多いか」
「実際多くの人がそれで救われている」 
 このことは人類の歴史がはじまって以来のことだ、だからこそ人類はその存在以来宗教と共にあるのだ。
「救われる人の方が圧倒的に多いだろう」
「それは一点でも持っている人か」
「百点満点でも一万点満点でもな」
「一点でも持っていたらか」
「それが種になってな」
 そうしてというのだ。
「救いの木となる」
「一点でも種になるか」
「それが百点でも一万点でもな」
「救いになるか」
「そうなる、しかしな」
「一点でもないとか」
「零点だとな」
 即ち全く何もないならというのだ。
「救われない」
「そうなるか」
「仏教のお寺に入れたとする」
 タムタムはフランツに具体的な例を話した。
「しかしだ」
「教えが耳に入らないか」
「頭にな、教えを理解して信じないどころか」
 タムタムは嫌そうに話した。 
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