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イベリス

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第三十一話 男の子の食べものその十

「そうしたこともね」
「努力して」
「それでよくしていく」
「そうして真面目に経営もしていかないと」
「駄目ってことね」
「そう、お金のことも」 
 このこともというのだ。
「ちゃんとしないとね」
「駄目なのね」
「もう何でも努力しないと」
 彼は真剣な顔で話した。
「駄目ってことだね」
「お店だけじゃなくて」
「何をするにもってことね」
「若し努力しなかったら」
「誰もが駄目ってことね」
「そういえば」
 ここで咲はテレビによく出ている人物達を思い出して言った。
「政治家でも野党の人達は努力していないから」
「もう全然駄目よね」
「あの人達ってね」
「文句ばかり言って」
「他人に厳しく自分に甘い」
「そんな人達だから」
「ああなったら」
 それこそとだ、咲はさらに話した。
「終わりよね」
「政治家だけじゃなくてね」
「どんな人でもよね」
「ああなったら」
「おしまいよ」
「努力も何もしないなら」
 咲は今度は眉を曇らせて言った。
「ああなるってことね」
「もうどうしようもないわ」
「その時点で」
「零点の人間になるわね」
「最低の人に」
「特にね」
 女子の一人がここで言った。
「あの白い服で黒髪を短くした」
「ああ、あの人ね」
「元タレントで」
「物凄く目付きの悪い人」
「駝鳥が怒って無理矢理人の歯がくっついたみたいな顔の人」
「あの人みたいになったら」
「もうね」
「終わりよね」
 人間として、というのだ。
「本当に」
「そうよね」
「ああなったらね」
「代表の男の人も大概で」
「元総理なんかついつい汚物を見る目で見ちゃうけれど」
「女の人だとね」
「あんな人先輩に絶対に欲しくないわ」
 その女子は断言した。
「アルバイト先の上司の人でも」
「あっ、若しそうだったら」
「もうそのアルバイト先辞めたくなるわね」
「部活にもいて欲しくないわね」
「担任とか教科の先生でも」
「親でもね」
「どんな立場でもね」
 彼女はさらに言った。
「絶対に近くにいて欲しくないわね」
「もう何言われるか」
「滅茶苦茶意地悪そうだし」
「ずっと前のことネチネチ言いそうだし」
「いつも上から目線で言うし」
「それで自分にも甘いし」
 他人にはあれこれ言うがというのだ。
「そんなのだとね」
「もう絶対に近くにいて欲しくないわね」
「あんな性格の人だとね」
「性格悪いのわかるし」
「それも凄く」
「ああした人こそ反面教師にしないと」
 咲は真剣に考えつつ言った。 
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