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冥王来訪

作者:雄渾
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異界に臨む
  転移 その2

 
前書き
初投稿です 

 
深夜2時、紫煙が立ち込める執務室に一人の男が立っていた
灰色の制服を着て、両切りタバコを手にした男は、机に置いた報告書を眺めていた
彼が目を落とした書類には、秘密を表すスタンプが押されている
ドアをたたく音が聞こえて、男は呼びかけた
「入り給え」
ドアが開くと書類を抱えた深緑の指揮員(軍官)の服を着た男が入ってきた
「昨晩の続報をお持ちしました」
そして報告書の内容が彼の口から説明された
蘭州の西方300キロにいた《BETA》の大群は、一晩で≪消え≫、そこから150キロほど先で怪しげな人間を≪保護≫したと言う
全長が50メートルもあろうかという白色の戦術機に、日本から来たと話す男女。
男女の服装や態度からすると、黒の軍服を着た男がおそらく指揮官で、強化服に似た服を着た女がパイロットという推測
男は中国語は全く話せないが、多少は英語が出来る様であり、今は同行している女が通訳の代わりを務めているという

彼は、タバコを黙って差し出すと、軍官は深くお辞儀をし、火を点けた
「日本語のできる通訳はいないのかね」
男は椅子に腰かけながら、話し始める
「なにせ、文革と今回の動乱で通訳できる人間は前線にいませんからねぇ」
深くタバコを吸うと、こう続けた
「ロシア語なら前線でも用意できるのですが……」
灰色の制服を着た男はタバコを片手に執務室を歩き回る
男はじっと下を向いたまま、待った

そして、こう告げられた
「この報告は党中央には上げない。一旦、私が預かろう」
男は驚いた表情をしながら、話し始めた
「省長、それは……」
タバコに火をつけながら、続けた
「党への背信行為になるかもしれんが、あまりにも報告書の内容が酷過ぎる。
 それに、男の方から何も聞けていないのだろう。
 丁度良い所に、日本語の出来る男が、居るではないか」
笑いながら省長と呼ばれた男は、椅子に近寄った。

彼は腕時計を見た後、灰皿に、タバコを捨てながら、こう続けた
「8時までに、新品の軍服と上等な食事を用意してやれ。そして尋問が終わった後、北京に報告しろ
。以上だ。」

軍官はタバコをもみ消した後、立ち上がり敬礼をすると、部屋から静かに出て行った

「しかし、興味深い話だ。本当ならば……」
新しいタバコに火をつけながら、彼は佇んでいた 
 

 
後書き
批判、批評おまちしております 
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