護法
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第一章
護法
奈良県には信貴山という山がある。
この山には古くから寺がありその寺にだった。
命蓮という聖がいた、この者の法力が凄いということは都の者達の耳にも入っていた。
「随分凄いらしいな」
「そうだな」
「その法力も」
「そして剣の護法というものを使えるらしい」
「凄い聖だそうだ」
「何故か寺から出ないそうだが」
「一度会ってみたいな」
「どういった者か」
こうした話をした、その中で。
時の帝、醍醐帝が病に伏せられた。すぐに多くの験者や医師が祈り見たが帝は一向によくならない。だが。
宮中のある者がこの命蓮の話を知っていてだった。
床に伏せっておられる帝に話すと帝はこう言われた。
「ならだ」
「その命蓮をですね」
「こちらに連れて来てくれ」
その者に言われた。
「そしてだ」
「祈祷をですね」
「する様にな」
「はい、それでは」
「すぐに信貴山に使者を送ろう」
こうも言われた。
「そしてだ」
「はい、命蓮殿をここに」
「それではな」
こうしてだった。
朝廷からすぐに使者が発ち信貴山に入った、そしてだった。
その命蓮に話した、命蓮は大柄で眉の太い四角い顔の初老の僧侶だった、使者はすぐに命蓮に対して言った。
「お話はわかりました、拙僧もです」
「帝をであるな」
「お救いさせて頂きます」
「よく言ってくれた、ではすぐに都に」
「いえ、この寺を離れる必要はありませぬ」
命蓮は使者に微笑んで答えた。
「一切。拙僧が赴くより」
「それよりもか」
「護法童子を向かわせ」
そうしてというのだ。
「帝の病魔を退治しましょう」
「護法童子とな」
「はい、拙僧は護法を使うことが出来ます」
その術をというのだ。
「それを使えばです」
「帝の病魔を退治出来るか」
「今にもです」
まさに今にもというのだ。
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