健康なせいで

「調べたらわかると思うけれど」
「ネットとかで」
「興味本位で行かないことだよ」
「本当に危ないんですか」
「東京でもあるし福井でもね」
「あるんですね」
「社長そうした場所を番組に出すことはね」
　これはというのだ。
「止めてもらったんだ」
「私が行くこともですね」
「幾ら身体が丈夫でも」
　それでもというのだ。
「無理なことはあるね」
「怨霊に祟られたら」
　それこそとだ、里穂は顔を顰めさせて答えた。
「殺されますよ」
「そうだよね」
「そうなります」
「それで色々な場所に行っても」
「あっ、社長いつも安全には気をつけてますね」
「君一人では行かせないね」
「絶対に」
　それはというのだ。
「これまで一度も」
「そうだったね」
「そうでした」
「うちの社長はそうなんだ」
　マネージャーは微笑んで話した。
「ノリがよくて結構向こう見ずだけれど」
「それでもですか」
「タレントさん、社員のことも考えてね」
「経営してるんですね」
「そうなんだ、だからホワイトだよね」
「ギャラもいいですし」
「仕事がないタレントさんにも芸能以外でも仕事手配するしね」　
　食べる為のそれをというのだ。
「芸能界で言われるおかしな仕事は絶対にしないし」
「よく言われますね、芸能界だと」
　里穂もそうした仕事のことは聞いていて言った。
「嘘か本当か」
「少なくともうちではしていないから」
　マネージャーはきっぱりと否定した。
「安心してね」
「わかりました」
「それで社長はね」
「タレントや社員の人達のことをですか」
「考えているよ、酷使も使い捨てにもしないしね」
　そうしたこともしないというのだ。
「だからね」
「私も安全にお仕事が出来るんですね」
「色々なところに行って君の望まない仕事ばかりでも」
　アイドル志望なのに冒険の様なものばかり回されてというのだ。
「それでもね」
「私はですか」
「そう、安全にね」
「やれるんですね」
「だからそこは大丈夫だよ」
「そうですか」
「お祓いにも連れて行ってもらったね」　
　マネージャーはまた箸を動かしはじめた、ししゃもを食べつつ問うた。
「心霊スポットに行く前と後も」
「そうでしたね」
「あれもね」
「霊障がない様に」
「ちゃんとしたんだよ」
「社長はそうした人ですか」
「そこはわかってね」
「はい、ですが今度」
　里穂はここまで話を聞いたうえでだ、八条のいい面は受け入れて。