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イベリス

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第三十一話 男の子の食べものその四

「それも享保って」
「結構以上に前だよね」
「十八世紀じゃない」
「フランス革命より前だよ」
「それで歴史が浅いの」
「あそこは平安時代からだからね」 
 七九四年が遷都の年だ、そこから千年以上も日本の都であったのだ。それは明治維新まで続いたことだ。
「だからね」
「平安時代と比べたら」
「戦争って言ったら」
 京都ではというのだ。
「応仁の乱だから」
「第二次世界大戦じゃないの」
「その戦争のことなんだ」
 室町時代のその頃だというのだ。
「教科書にも出てるね」
「その頃江戸もないじゃない」
「江戸城だってないよね」
「太田道灌さんが築いたね」
 この城が朽ち果てていてそこに徳川家康が入ったのだ。
「そのお城もね」
「なかったよね」
「そんな頃のことなの」
「それを言うから、それもね」
 彼はさらに言った。
「嫌味そうに」
「京都の人って嫌味っていうけれど」
「実際そうした風に言うから」
「江戸時代からだと」
「それこそだよ」
「歴史が浅いのね」
「そうなんだ」
 これがというのだ。
「京都だとまだまだなんだ」
「新しいお店で」
「老舗じゃないんだ」
「そうなのね」
「例え新選組や志士の人がお菓子買いに来たことがあっても」
 幕末にというのだ。
「坂本龍馬さんが来てもね」
「大昔じゃない」
「けれど京都だと」
「まだまだなのね」
「あそこはそうした場所なんだよ」
「東京と違うのね」
「そうだよ、それで大阪や神戸にも暖簾分けでお店が出来て」
 そうしてというのだ。
「東京じゃね」
「浜崎君のお家ね」
「そうなんだ、何処も頑張ってるよ」
 どの店もというのだ。
「最近和菓子だけじゃないしね」
「作ってるのは」
「洋菓子も作ってるんだ」
「そうなの」
「特に今力を入れているのは」 
 それは何かというと。
「アイスクリームなんだ」
「完全に洋菓子ね」
「氷菓って言われてたけれどね」
 昔はというのだ。
「その頃の味を再現してかつ現代の人にも合う」
「条件厳しいわね」
「それを目指してね」
 そうしてというのだ。
「作ってね」
「売ってるのね」
「それが好評で」
 それでというのだ。
「売れてるよ、あと苺大福も」
「それは和菓子ね」
「これもね」
「売れてるのね」
「そうなんだ、和菓子を売って」
「洋菓子もなのね」
「最近スーパーやコンビニでも美味しい和菓子売ってるから」
 だからだというのだ。 
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