オズのラゲドー氏
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第六幕その十二
「全くね」
「そうだったのね」
「もう二度とああなりたくはないよ」
昔の自分の様にはというのです。
「何があってもね」
「嫌われて幸せになれないだけね」
「あんな風になったら」
こうも言う前ノーム王でした。
「人はおしまいだよ」
「そうね。幸せでないから」
「自分のことばかり考えると」
それこそというのです。
「自分以外の全てが嫌いになって」
「自分だけになって」
「自分のことだけが大事になってね」
そうなっていってというのです。
「自分以外の全てに嫌われて」
「ちょっとしたことで不平不満ばかり感じる様になって」
「どんどんだよ」
「幸せでなくなっていくのね」
「人も生きものも去っていって」
嫌われてというのです。
「幸せもね」
「逃げていくわね」
「そんな風にはなりたくないよ、けれど」
それでもというのです。
「オズマ姫は違うね」
「いつも皆のことを考えておられるわね」
「オズの国のこともね」
「そして誰もが好きだから」
「皆に好かれてね」
「幸せもなのね」
「訪れるんだよ」
オズマはそうだというのです。
「そうなっているんだよ」
「皆がどうしてオズマ姫が好きか」
「もうね」
それこそというのです。
「オズマが皆を好きでね」
「皆のことをいつも考えているから」
「そうなっているんだ」
「そうなのね」
「そしてかつてのわしは」
あらためて自分のことを言うのでした。
「オズマ姫とは全く違ったよ」
「あまりにも酷かったって言ってるわね」
「そうだよ、いいところなんて一つもなかったよ」
こう言うのでした。
「だから二度とね」
「ああした人にはならないのね」
「そうなる様に務めているよ、それでいて自分程偉い者はいないと思っていたから」
当時はというのです。
「本当に駄目だったよ」
「どういう訳か」
ここでナターシャが言いました。
「努力していない、もう駄目な人程」
「自分を偉いとだね」
「思っていますね」
「自分のことしか考えていないとね」
「他の人のこととか目に入らなくて」
「それでだよ」
「勘違いするんですね」
こう言いました。
「勝手に」
「かつてのわしがそうだったよ」
「そうですが、ですが」
「今はね」
「そうじゃないですね」
「いや、人のことを考えると」
前ノーム王は笑顔でお話しました。
「いいね、人を助けたら自分もね」
「助かりますか」
「そうでもあるからね」
それでというのです。
「これからもね」
「人のことを考えて」
「そして人を助けてね」
「幸せに過ごされますね」
「そうしていくよ」
笑顔で言うのでした、そして。
皆と一緒に先に進むのでした、旅はさらに進むのでした。
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